読書感想「生きのびるための事務 / 坂口恭平」
もし『理想の生活』があるならば、その生活の基礎となる『事務』をないがしろにしてはいけないことを学びました。生きのびるために。
タイトルの通り生きのびるための『事務』を教えてくれる本でした。
好きなことができないと感じていたり、あれもこれもしたいけれど出来なかったり、漠然とした将来への『不安』があったり、そんなモヤモヤを取り除くのが『事務』だった!
まず『事務』という言葉の概念。仕事での事務作業は身近なものであるけど、自分の生活においての『事務』とは?
この本では"僕"と事務が得意な"ジム"の会話による漫画で『生きのびるための事務』を教えてくれます。言葉通りの『生きのびる』ためで、びっくりし、腑に落ちました。
漫画なので読みやすいだろうと、購入してからパラパラ流し読みをしようとして、やめました。これは本腰を入れてじっくり読もう、とストップ。
そしてコーヒーを淹れて、2時間かけて一気読みしました。
また、この本における『事務』について、心当たりがありました。
私は前職で、現場作業のある仕事をしていて、その現場作業前の準備にこそ時間を使っていました。出来る限り早く、確実にポイントを抑えるための『事務』を重視してスケジュール管理していました。
他に、新しい家電を買ったり、家を決めたりするときにも、実際に動くその時より、その前の下調べ=事務に時間をかけています。
この本を読んで、なぜ仕事での事務は大切にしていたのに、自分の人生の事務は大切にしていなかったんだろう。と、衝撃でした。
この本を読んで事務をしてみると、『理想の生活』が現実味を帯びてきました。やってみると当たり前のことで、なぜ今まで意識してこなかったのか不思議に思います。今まで、当たり前のことができていなかったんだ、という気付き。
漠然とした『不安』を取り除くのも『事務』でした。私はすぐ不安になってしまい、そのことに悩んでいます。
前職も、向いていないことが分かっていながら、このままだと無職になってしまうと不安になって、とりあえず、で決めてしまいました。そりゃ上手くいかない。でも、責めるべきは自分ではなく、決めた過程という『事務』。自分を否定している時間など要らないことも、この本から学びました。
生きるために、変なところに力を入れて歩いていた気がします。勝手に肩が凝ってしまうような。自分の生活・人生における『事務』を考えることで、少し足取りが軽くなれそうな本でした。
ぼんやり不安が出てきたら、また読み直します。
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