深夜のドライブ|短編小説
富士の裾野を沿うようにして流れるハイウェイは緩やかに波打っていた。走行車線をゆったりとしたペースで走る赤いステーションワゴンには、肌が白く、華奢な体躯をした男と世話好きで長身なすらっとしたスタイルの女が座っていた。旅行からの帰り道ずっとハンドルを握っていたのは男の方だった。
二人は離れて暮らしていた。お互いの中間地点である関西方面で合流し、束の間の旅行を楽しんでいた。そのまま現地で別れてしまうのが惜しくなり、「家まで送って」と男に無理なお願いをしたのは女の方だった。そう