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寒空の下 [中編小説]

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西山拓己は両親をはじめ、周囲の大人から過度に甘やかされて生きてきた。結果、特別な才能もないくせに、プライドだけは非常に高い人間に育ってしまった。彼は単位が足りず、大学を留年するこ…
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#警備員

連載小説|寒空の下(20)

 勤務を終えた足で、駅近くにある会社の事務所に向かった。最後の給料をもらうためだった。い…

諸星颯太
2年前
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連載小説|寒空の下(19)

 最後の数日も相変わらずショッピングモールの「東側平面駐車場出入り口」に立ち、仕事を続け…

諸星颯太
2年前
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連載小説|寒空の下(17)

 ショッピングモールを利用したこともないのにネルーダは厄介なクレーマーだと認定された。俺…

諸星颯太
2年前
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連載小説|寒空の下(16)

 竹岡はあっという間に昇格した。新体制になってからたったの三日で、俺は笠原から譲り受けた…

諸星颯太
2年前
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連載小説|寒空の下(15)

 ショッピングモールに起こった革命によって自由を失った。仕事を続けていくのがいよいよ辛い…

諸星颯太
2年前
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連載小説|寒空の下(14)

 俺だけはどういうわけかクビにされなかった。嫌がらせをされることになるのだろうと思った。…

諸星颯太
2年前
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連載小説|寒空の下(13)

 社会的組織の中でどれだけ長く貢献しようが、方針にそぐわない行動を取っていればすぐに切り捨てられる。笠原の10年以上の労働は、たった1回の失敗で全て吹き飛んだ。やはり一人の人間など紙屑のような存在に過ぎないのだろうか。  控え室で仕事をサボり、酒を飲もうが、一度街頭に立ったならば酒は飲まないという約束で俺たちは行動していた。俺の場合、そこまで強いわけでもないから街頭に立っているときまで酒を飲みたいとは思わなかった。だが、笠原は違った。彼は呼吸をするように酒を飲んでいた。正真

連載小説|寒空の下(12)

 職場は知らず知らずのうちに、春休み中の居場所になっていた。俺がしていたのは仕事と呼べる…

諸星颯太
2年前
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連載小説|寒空の下(11)

 花蓮さんと手を組んだことによって、労働環境は見違えるほど改善された。午前に2時間、午後…

諸星颯太
2年前
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連載小説|寒空の下(10)

 警備員として働き始め、1週間ほど過ぎた日。俺は時間という概念に縛られすぎている自分に気…

諸星颯太
2年前
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連載小説|寒空の下(9)

 数日働いただけで心が折れかけていたが、どうしても大学生という自由な身分を失いたくなかっ…

諸星颯太
2年前
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連載小説|寒空の下(8)

 ショッピングモールで働く生活が始まった。俺は笠原にアドバイスを受けながら「西側の立体駐…

諸星颯太
2年前
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