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2024冬の道東撮影記録(撮影編)


0.所持品

撮影機材は下記のとおり。
カメラ本体:NikonD500
レンズ
 ①17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM(SIGMA)
 ②AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED(Nikon)
 ③150-600mm F5-6.3 DG OS HSM(SIGMA)
iPhone14Pro ※③を使用中に広角で撮りたいときに使用。
装備や服装等は下記参考。

服などを入れていたリュックサックが約6.4kg、カメラ本体とレンズ3つで約3.6kg。合わせて10kg。そりゃ肩凝るわ。

そういや、本編に入る前に。今回、前入り日を含め4泊5日の行程で、ざっくりとした移動は下図のとおり。

でっかいどー

これだけでは大きさがうまく伝わらないので、新千歳空港に降り立った旅行客を驚かせるアレを置いておく。

新千歳空港駅の「アレ」

1.前入り(2024/2/21)

<行程>
①HND20:40→22:15CTS(JAL0531)
②新千歳空港駅→千歳駅(JR北海道・快速エアポート)
飛行機はほとんど満席で、羽田新千歳便の力を思い知る。こうして北海道入りし、千歳エアポートホテルに宿泊。

2.いざ羅臼の町(2024/2/22)

2-1.北海道横断

ANA4881便から眺める芽室町中心部(進行方向左側)
ANA4881便から眺めるオンネトーと阿寒富士・雌阿寒岳
(進行方向左側)

<行程>
①CTS8:05→9:00SHB(ANA4881)
②タクシー:中標津空港から中標津バスターミナルへ
 ※空港連絡バスと③のバスのダイヤが悪く、5分差で乗り継ぎが不可能。なんとかならんかねえ。
③中標津バスターミナル9:35→11:00羅臼診療所(阿寒バス)
羽田を出て約14時間、知床半島最果ての町・羅臼に到着した。

この2日間の移動。西から東へ大忙し。

平日に羅臼行きを決断したのは、以下2つの理由だった。
・平日のほうが羅臼行きのバスの本数が多い。平日4本、休日2本。
・2月の羅臼は人気で、前の日が休日だとツアーやホテルが満員・満室の可能性が高い。

今回、道東各所を巡るにあたり、路線バスの利用が多くなるため、事前に「4/7daysフリーパスポート」を購入した。7日間のうち任意の4日間で、釧路・根室・羅臼・中標津エリアの路線バスが乗り放題になるパスで、お値段9,000円。オンラインで購入すれば、スマホの画面を見せるだけで自由に乗降ができる代物。

4/7daysフリーパスポートのスマホ画面

ただ、中標津から羅臼の間、私を含めて2人しか乗っていなかったのは非常に辛かった。いくら平日といってもこれは悲しすぎた。

2-2.羅臼の町巡り

この日はフリーだったため、羅臼の町をうろついた。カモメの鳴き声が響く中、自然豊かな漁業の町の雰囲気は大変良かった。

羅臼神社。羅臼はシャチが有名で「幸守(しゃちまもり)」が購入できる。
道の駅に併設されている知床食堂にて。
特大ホッケ焼き定食(2,300円)
雪は漁港に捨てるスタイル。
目を凝らして見れば街中にもオジロワシがいた。

2-3.宿泊

<行程>
①羅臼本町15:00→15:10八木浜(阿寒バス)

このバスの中で地元のおばあさんと世間話。60年くらい前に羅臼に嫁いできた御年86歳の貴婦人。昔に比べて流氷が少なくなっている話や、60歳頃に夫婦で九州と沖縄を巡った経験から、「歳を取ると時間は増えるが体が動かなくなるので、行きたいところは若いうちに無理してでも行っておくほうがよい」という話をしてもらった。ありがとうございました。

この日はリブマックスリゾート知床シーフロントに宿泊した。リブマックス系列だが、元は「羅臼の宿 まるみ」というお宿で、地元のお宿感が強かった。晴れていれば国後島が見える露天風呂がオススメ。

宿の裏の海で。残っていた流氷の上でオオセグロカモメが寛いでいた。

3.羅臼の海(2024/2/23)

3-1.根室海峡クルーズ

今回は、ゴジラ岩観光さんにお世話になった。羅臼の中心部から車で10分かかる宿までお迎えに来ていただき、本当に頭が上がらなかった。この時期(撮影コース)は朝5:30と朝9:00の2便あるが、早朝便が1か月前の段階で既に満員で、今回は朝9:00の便を選択。

参加者全員が早く揃い、9:00より少し前に羅臼漁港を出発。船長さん曰く「船の1階がワシの目線の高さ」とのことで、寒さに耐えつつ1階で待機。漁港付近に流氷はなかったものの、船で10分ほど進むと・・・

根室海峡に残る流氷。奥に見えるのは知床連山。
オオワシ(左)とオジロワシ(右)

これですよ、これ!流氷と猛禽類!
これを見たかった!!!!

船から投げられる魚でワシたちを寄せる。
海に浮かんでいる魚は足でキャッチ。
飛んでいる姿がかっこよければ・・・
流氷の上で佇んでいるのもかっこいい。奥に見えるのは国後島。
知床連山をバックに。

もう全てがかっこよかった。眼福。目の保養。ワシの動きが早く、SSを1/1600~1/2000にして連写しまくった結果、2時間で撮影枚数は余裕で1,000枚を越えた。
ただ、速さに追従できずピンボケしたものは泣く泣く削除することとなったので、超望遠レンズは日常的に触って練習しておく必要があると反省。

下船後、昨日同様知床食堂で昼食(知床ポーク豚丼)を食べ、冬晴れの羅臼岳を横目に名残惜しく羅臼を後にした。

国道334号の奥にそびえる羅臼岳。
冬は知床峠が通行止めで「宇登呂32km」が遠い。

3-2.道東縦断

<行程>
①羅臼営業所13:00→14:28中標津バスターミナル(阿寒バス)
②中標津バスターミナル14:56→16:42根室花まる前(根室交通バス)

・・・①も②も1日に片手で済むほどの本数しかないのに、昨日(2-1)が嘘かと思うくらいに最高な乗り継ぎである。嬉しい。
時間に少し余裕があったので、バスターミナル内の鉄道資料館(標津線、平成元年に廃線)を見たり、近くのはせ川さんでお土産を買ったりした。標津羊羹ラブ。

鉄道資料館。窓口の方に声をかけて、
鍵を開けてもらうシステム。

また、祝日ということもあり、①も②もそれぞれ10名以上乗客がいたし、私含めて4名が①→②の乗り継ぎをしていた。嬉しい。

②のバスは別海高校を通る。
2024年のセンバツ出場おめでとうございます。
「シカ注意」。珍しく羅臼では見なかったのに
根室に入った途端現れるもん奴ら。

一方で、2時間半の船上撮影で既に疲れている中での大移動だったため、もう何も考えられず、ただ美味しそうな名前のバス停で降りた。

根室花まる前バス停から徒歩1分、「根室花まる」の本店。
お寿司も美味しいけどオススメは「花咲がにの鉄砲汁」。

3-3.宿泊

根室花まるから10分ほど歩き、この日はねむろ海陽亭に宿泊。和室の部屋と大浴場が心地よいホテルだった。

この日の移動。道東を北から南へ。

4.風蓮湖、厚岸(2024/2/24)

4-1.根室の海

この日は5:30起き。この日の根室の日の出は6:04で、もう既に若干明るかった。ねむろ海陽亭の売りのひとつが朝食バイキング(7:00開始)なので、後ろ髪を引かれながらホテルを後に。根室の海にも流氷が残っていたので、少し遠回り。海岸へ立ち寄った後、根室駅前バスターミナルへ向かった。

流氷の奥に沈もうとする月。黒い点はカラス。
根室市役所横の交差点にて。
二手に分かれた道の先それぞれに海が見える好きな場所。

<行程>
①根室駅前6:40→6:55東梅(根室交通)

4-2.流氷残る春国岱

東梅バス停で降りて春国岱へ。軽くアカゲラとエゾシカを撮影。今まで何回も撮ったことのある動物だが、小さい鳥を見つけるのはやはり楽しいし、エゾシカも流氷をバックにして見たことはなかったので嬉しかった。

アカゲラ。枝を叩く音が小さく響く。
根室湾の流氷をバックにエゾシカ。奥に見える山は方角的に国後島。
エゾシカの撮影方向。国後島は遠く離れているが、
望遠で撮影したこともあり、大きくくっきり写った。

この後、このエゾシカたちが国道44号線を横切った。トラックの運転手さんがすぐに気づいてブレーキをかけ、事故にならずに済んだものの、鹿の飛び出しの怖さを改めて実感した。

「横切りそうやな」と思って構えてたら案の定横切る奴。

4-3.飛び交う猛禽類

東梅から15分ほど歩き、コテージ「レイクサンセット」に到着。

いきなりこれだけの人がいるとびっくりする。

他の歩行者とすれ違わなかったのに、いきなりこれだけの人。しかも全員とんでもない長さのレンズ持ち。半数以上は中国か台湾からの旅行客だった。おもしろそうなので私も参入。

餌を巡って争うものたち
餌を巡って争うものたち

・・・迫力あるけどこわい。コテージの人(?)が餌(魚など)を置いた瞬間、どこからともなくオオワシやオジロワシ、トビが飛んできて、我先にと餌を奪い合った。よほどおなかがすいていたのかな?

ハクチョウの群れは少し遠くから傍観

4-4.厚岸の港

<行程>
①レイクサンセット付近→道の駅スワン44ねむろ(徒歩20分)
②道の駅スワン44ねむろ11:05→11:24厚床駅前(根室交通)
③厚床駅11:51→12:36厚岸駅(JR北海道・花咲線)

③の途中。やはり敵。

列車に乗っている最中、エゾシカのせいで減速することが何度かあった。運転手さんのおかげで衝突せずに済んだが、衝突すれば1時間程度の遅延は覚悟しなければならない。やはり敵。奈良公園のものとは扱いが違う。

こうして無事に厚岸駅に到着し、道の駅コンキリエへ。相変わらず牡蠣が大きいうえに美味しくてとても良かった。月に1回くらいのペースで厚岸に牡蠣を食べに行きたい。

道の駅の入口。たぶん厚岸で一番有名な人。しかしどなた?
かきぶた合戦丼。うまい。
「はまなか ほえいとん」の豚丼に、カキフライが3つ。うまい。

次の列車まで時間があるので、10分程度歩いて漁港へ。海・ハクチョウ・列車と、ずっと見ていられる風景が広がっていた。「いい写真撮れましたか?」と声をかけてくれたおっちゃん、いい写真撮れましたよ。ありがとうございました。

予想以上にハクチョウがいてびっくりした。
花咲線とハクチョウ。花咲線にキハ40充当は珍しい気がする。

4-5.釧路にて宿泊

<行程>
①厚岸駅15:04→15:53釧路駅(JR北海道、花咲線)
②釧路駅→幣舞橋(徒歩15分程度)
この日の釧路の日没は17時前。釧路には何回も来たことはあったが、ようやく夕暮れの幣舞橋を見ることができた。

幣舞橋。橋の上にいる人の影も良い。

夕暮れを堪能し、釧路ロイヤルインにチェックイン。翌朝5時チェックアウトなので、夕食をセイコーマートの惣菜で早々に済ませ、寝た。

この日の移動。バスに徒歩に鉄道に。

5.鶴居、標茶(2024/2/25)

2年前の1月に鶴居村でタンチョウを撮影したことはあり、今回も同様のルートを取るのはおもしろくなかったので、最終日は趣向を変えて、森山さんのガイドツアーに申し込んだ。ホテルを5時に出発。

5-1.鶴居村のタンチョウ

音羽橋へ。ここの川は真冬でも凍らないので、タンチョウの寝床になっている。-12℃とはいえ気嵐ができるほどの冷え込みではなかったものの、朝日に照らされた綺麗な寝床を鑑賞することができた。

この日は-12℃で気嵐は少し
徐々に起き始めて移動するタンチョウたち

続いて、同じ鶴居村にある鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリへ。タンチョウの餌が少なくなる冬場に給餌が行われる場所。タンチョウの美しさに魅せられ、気づけば来るのももう3度目である。今回もすごく良かった。

寝床から飛来してくるタンチョウ
つがいによる鳴き合い
求愛ダンス

ただ1羽だけ、黒っぽいツルがいた。ガイドの森山さん曰く「マナヅル」という種類で、本来は鹿児島県あたりに渡来するものだとか。調べてみると鶴居にマナヅルが現れたのは17年ぶりらしい。孤独感?を感じている様子もなく、餌をがつがつ食べていた。

紛れ込んだマナヅル

5-2.塘路湖への道中にて

鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリを後にして、塘路湖の方面へ案内していただいた。運が良かったのか、さすが道東、野生動物と多く遭遇した。

つがいのエゾフクロウ。少し目を開けてこっちを見ているようだった。
キタキツネ。伏せのままじーっと見てくる。
じーっとこちらを向いてくるのでよりズーム。
道沿いにいたタンチョウ。近くの仲間と叫び合っていた。
塘路湖。冬は全面凍るので、湖上を歩き放題。
ワカサギ釣りのテントがそこそこあった。
ワカサギ釣りの跡。1日経つと開けた穴も凍るみたい。

5-3.釧路湿原を眺める

塘路湖を後にして、釧路湿原を眺める細岡展望台のほうへ。道中、黒いキツネのようなものを森山さんが発見してくれた。「十字狐」といい、警戒心が強くなかなか見られない種らしい。先程のキタキツネはある程度の距離があればじっとしていたが、この十字狐は車を見るとすぐに茂みへ入ってしまった。この姿を撮れただけでもとんでもないことなんだろう。

十字狐。珍しいらしく見られたのは嬉しいけど、しっぽが心配。

細岡展望台に着くと、唐突に「エゾシカを探せゲーム」が始まった。

釧路湿原。さて、エゾシカはどこにいるでしょう。

見渡す限り草木が広がっているだけで動物なんてひとつも見えなかったが、いざ超望遠レンズでズームしてみると・・・

この点々、手前も奥も全部エゾシカ(焦点距離600mm)

奴が大量にいた。嬉しさというよりはその数に対して困惑してしまい笑ってしまった。

運にも恵まれ、道東の大自然を満喫でき、大満足でガイドツアー終了。旭橋付近で森山さんと解散し、釧路川を渡るSLを見つつ、釧路空港へ向かった。

<行程>
①旭橋→釧路駅(徒歩15分)
②釧路駅前バスターミナル16:30→17:15釧路空港(くしろバス)
③KUH19:55→21:45HND(JAL544)

SL冬の釧路湿原号。補機としてDE10がついていた。
スパカツとサッポロクラシックで〆(釧路空港)
この日の移動。車中で写真整理に追われていたので
どの道を通ったかはあんまりおぼえてない。

6.振り返って

天候や巡り合わせに恵まれ、想像以上で最高な5日間を過ごすことができたと思う。道東贅沢巡り。「冬の羅臼に行きたい」から行程を立て始め、公共交通機関が続く限りあれもこれもと盛り込んだ甲斐があった。

自然豊かな道東に興味を持った方が1人でも増えますように。

<ちなみに>
「4/7daysフリーパスポート」(9,000円)は、下記のとおり元を取れた。
2/22:中標津バスターミナル→羅臼診療所:2,430円
2/23:羅臼営業所→中標津バスターミナル:2,430円
2/23:中標津バスターミナル→根室花まる前:1,920円
2/24:根室駅前→東梅:640円
2/24:道の駅スワン44ねむろ→厚床駅前:840円
2/25:釧路駅前バスターミナル→釧路空港:950円
  →合計9,210円。ごっつぁんです。