数え足りない夜の足音。

こんな湿度の高い朝

バス停までの坂道を早歩きしていると

水が肺に入ってくるように感じます。


そうだ、僕は泳げなかったのでした。

泳げないことを思い出したのでした。


家を出るときには

「行ってきます。」

と言いたいところです。

誰も起きていないので、

玄関出てからそっと振り返り呟きます。


「行ってきます。それで後で帰ってきます。」


出掛けてから、

そして戻ってくるまで

どうぞみんなが無事に過ごせるようにと思います。


あなたを考えることがあります。

坂道を歩きながら

何をしているだろうかとおもんぱかります。

大きなお世話かとも思います。


思う存分

言葉を取り扱ってみたいのです。

体が上手に動かない分

言葉を上手に促してみたいのです。


ハレーションを起こしているようです。


こんな湿度の高い朝は

どこかがハレーションを起こしているようです。

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