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公募戦士

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44 誘われたつもりだった公募

44 誘われたつもりだった公募

昔の話である。ある大学で公募が出た。大学院生の頃からずっと狙っていたポジションだった。
しかし、そのとき私は専任教員として大学を移ってまだ2年目。私のいる業界では「任期なしのポジションを得たら最低3年は動くな」という暗黙のルールがあった。どこでもそうか。
研究仲間からは「そんなこと気にせず出した方がいい」と勧められ、その大学に勤める知人からも「うちに出すんでしょう」と言われたが、なぜか決断できなか

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43 公募でSNSをチェックするか

43 公募でSNSをチェックするか

教員の採用人事に関わった経験は少ないが、その範囲で書く。審査委員は応募者のSNSをチェックするか。しない。少なくとも自分と周囲はしていない。
research mapでさえ相当気になった応募者でないとチェックしない。理由は以下の通りである。

・業務の合間を縫って大量の応募書類と業績を読むだけで精一杯だから(写真よりもずっと大量の書類を読むことになる)
・大抵は押し付けられて審査委員になっているの

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35  公募戦線に復帰しがたい理由

35 公募戦線に復帰しがたい理由

現在の勤務校は、本来私のような三流研究者が就職できる大学ではない。時の運、科目適合性の高さ、年齢構成上の需要、雑用への強い期待などがあり、奇跡的に滑り込めた。つまり私は不相応な地位におり、これ以上の異動を考える必要がない「すごろく上がり」の状態にある。

色々と手を尽くしてみたが、現在のファカルティの同僚とうまくやることは諦めた。もう定年退職してくれるのを待つと決めた。主要な方々が辞めるまでに15

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22 大学教員の労働条件

22 大学教員の労働条件

大学教員の求人に労働条件はほとんど記載されない。最近はおよその年収が提示されるようになったが、幅が広すぎて参考にならない。なにより知りたいのはコマ数と研究費だが、めったに情報がない。立命のように金額とコマ数を明示している大学はすばらしいと思う。
参考までに、私がこれまでどのように労働条件を通知されてきたかを記す。

ある大手私大 任期付きポスドクだが一応書いておく。労働条件通知書は着任前に郵送され

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14 公募と愛校心

14 公募と愛校心

公募で書類落ちが続いていた自分が面接に呼ばれるようになったのは、審査する側に大学への愛着があることに気づいてからである。

ある大学の学長が、自分の大学は偏差値が低いと嘆きつつ、そういう学生を愛してくれる教員を求めているとも言っていた。そこで気づいた。一部の教員は自分の大学を好きであることに。

当たり前だと思われるかもしれないが、そんなこともわかっていなかった。

特に人事選考を任されるような教

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