恋人の話

元彼に浮気をされて散々な恋愛をした私は、
「もう一生独身のままで、1人気ままに過ごそう」
と決めていた。だって傷つくのはもう嫌だったから。
そう決めて過ごしてはいたけれど、やっぱりどうしても人肌が恋しくなってしまう時がたまにあった。出会いを探しにというか、
いつでも遊べる友達が欲しかった私は、マッチングアプリを入れていた。

マッチングをアプリを入れてみたはいいものの、下心丸出しの人にしか出会えなくて、
「私どんだけ男運ないんだろ…」
と落ち込んだ日もあった。そんな時に、今の恋人と出会った。
仲良くなるのに時間がかかるタイプだったのに、彼と話すと、すぐに仲が打ち解けた。彼と話しているととても楽しくて、いつの間にか彼と話すことが毎日の楽しみになっていた。

連絡を取って1ヶ月くらい経った時、その日はなかなか寝付けず、だらだらとスマホを見ながら夜を過ごしていた時だった。彼から連絡があり、話をしていたら流れで彼と会うことになった。
もう日が登り、朝になろうとしていた。少しだけでいいから会って話してみたいと彼から言われ、私も会ってみたいという気持ちが前々からあったので、会ってみることにした。
どんな人が来るんだろうと、ドキドキしながら待っていたのをとても覚えている。彼が私の家に着き、
「ついたよ、今部屋行くね」
とLINEがきて、待ちきれず外に出てみた。
初めて会った時の彼の印象は、正直に言えば
「思っていたのと違うなあ」だった。
髪が結べるくらいあって、背が高くて、綺麗な目をしていた。
何を話したかはあまり覚えていないが、世間話をしながらSwitchで桃鉄をやり、朝くらいに解散した。解散した後、友達としてはとても楽しい人だなあと思った。そこから何回かご飯に行ったり、ドライブをしたりして遊んだ。

彼のことを意識し始めたのは、付き合う前に行為をしてしまった時。彼にそれを言うと、
「人生なにがあるか分からないなあ」
と不思議そうにしながら笑われる。でも私はその時に彼を異性として初めて意識したのは事実。行為をしてしまった後も、何度か遊んだりした。でも前とは違う感情が私の中ではあった。

彼は優しくて、とても包容力がある。
私が「会いたい」と言うといつでも来てくれた。仕事の事で落ち込んで少し弱音を吐くと、「君はとても頑張ってるよ、凄いよ」と言ってくれたり、仕事終わりに甘いものを買って私に来てくれた。彼の優しさが私の心を少しずつ癒してくれた。そして、彼のことを好きになっていった。

付き合った日に彼と水族館に行ったことがある。
まだその時は友達の関係だった。彼といるとやっぱり楽しくて、彼のことが好きだと再確認出来た。夜になり、まだ一緒にいたいと言って、彼と星空を眺めながら煙草を吸って色んな話をした。
今気持ちを伝えないと後悔してしまう気がすると思った私は、
「月が出てたら月が綺麗ですねなんて言えたのにな」
と言った。言葉の意味を知っていた彼は、
「それが本当だったら嬉しいんだけどなあ」
と笑いながら私に話してきた。
「本当の事だよ。好きなんだよね」
もう少しかっこよく言えないのかよ、私！と思いながらも、焦りすぎてもう好きと言葉に出てしまっていた。彼は少し驚いた表情を見せて、「俺も、君とずっと一緒にいたいよ」と手を握ってくれた。色々締りは悪かったが、私たちはそこで友達から恋人という関係に変わった。

付き合ってからも、彼は私のことをとても大事にしてくれる。
毎日「大好きだよ」「かわいいね」「愛してるよ」と気持ちを言葉で伝えてくれる。恋人ができたのは約2年ぶりで、久しぶりの事だったので、未だに好きと言われると照れて恥ずかしくなってしまう。私の昔の事も含めて好きでいてくれる彼には感謝してもしきれない。今日も貴方が愛おしくて仕方ないです。

どうか、この幸せがずっと続きますように。
どうか、終わりませんように。

そんな事を毎日祈りながら過ごしている。