「100の稽古もだけど1の本番」を改めて実感した舞台だった
2年間半、仲間と運営してきたYouTubeチャンネル「琉球芸能活動中リュウカツチュウ」、初の県内公演を終えた。↓
今回の舞台は「稽古照今」と題した。古を稽え、今を照らすという意味だ。
この言葉に出会ったのは大学院時代。現代を生きる自分を見つめなおす、人としてどうあるべきか考え直す←きっかけが伝統芸能だと再認識する言葉であり、大切にしている想いだ。
そもそも私たち伝統芸能はレッスンや練習ではなく、稽古という。
練習が技芸の向上を目指すものならば、稽古であるからには、プラス古をかんがえなければならない。古きを学び現代との共通点が見つかればそれはまさしく普遍。長い年月と沢山の人が見つけた普遍こそ本質だとも思う。そして、伝統を学び、触れるほど人生が豊かになる。
伝統の技と心は、古をかんがえなけれ成り立たないものであるからこそ…この界隈で稽古を練習、レッスンという言葉で表すのはどこか腑に落ない自分がいたりいなかったり
長くなったが、そんなコンセプトの舞台で今回、踊ったのは琉球舞踊「天川」と「まるまぼんさん」。この2つの演目は昨年自ら設定した課題曲で、1年間向き合ってきた。
特に舞台で演じる予定があったわけでもないが、大学院や組踊養成研修が終わり、学びの場が稽古場だけになった自分が自身の高みを目指すためにやってきたものだ。とはいえ、今回人前に出してとてもよかったと感じる。
100の稽古より1の本番というが…100の稽古もだけど1の本番だと思っている。が、まさにそうだった。
着物の着付け、舞台の使い方、たくさんの人が見守り緊張の糸が張り詰めた空間。まさしく舞台でしか得られないものだらけだ。
プロセスの充実度的にももちろんそうで、舞台があるというだけで本番までの日々の過ごし方は変わるし、師匠も自分も熱量が変わる。本番を想定した稽古がいかに重要かよくわかるし、そんなあくまでも”稽古”でしかないからこそ、イメージするかしないかがすごく重要なんだと思う。
だからこそ、本番というのは自身の挑戦であって、もちろん終演後はドッとくるものがある…。
ふと、"独演会"という形式での舞台を主催する人たちのことを考えると尊敬とその心にとにかく拍手したい。自ら主催し、時間も金銭も心も費やし、人前にでて、いろんな言葉を受け止め、現状の自分の技を披露する。まさしく舞踊家の鏡だ。そんな心持ち立派な舞踊家になるべく…稽古に・舞台に励もう
5月は
5月13日(土)国立劇場おきなわ組踊公演「孝行の巻」
5月14日(日)沖縄芝居研究会母の日公演「思案橋」