金の絨毯
あめのほどうにきんのじゅうたん
ふみつけるのはせつなくてしゃどうすれすれを
あるいた
ああ
はなざかりにあるけばよかった
みあげるかきねにまばらにのこった
ちいさなちいさなこんじきのはな
むかし
ははがだいすきで
にわのきんもくせい
ことしもさいたわ
しょうじきね にんげんはうそつきでもこのはなはあきをわかってる
はさみをもち
いくつかのちいさなえだを
こっぷにさして
だいどころにかざって まるでちいさなこどものえがおでにっこりわらっていたすがたを
なんとなく
おぼろげになったとおいきおくが
よみがえった
さいているあいだはうれしそうで
かわいいからこれもと
ぎんもくせいもとなりに
きんぎんのちいさなはなが
かえりついたらおかえりなさいとかんけげいしてくれたあきのにわ
とおいきおくのなかのははのえがおに
あいまいにはならないあのえがおを
にくみたいと
あれから
ははをにくめないまま
おわりゆくあきに
ねえ ゆーはさみかしてえだをきるから
こっぷにさしたきんぎんのはな
いいにおいね
かれて
かさかさのはなびらが
おちるとあのえがおはきえて
ちるとはながちるから すてておいて
はながおわるとつれなくなるはは
おかあさん まま
あなたをわすれたい
あなたのむすめであったことも
あのいえに うまれたことも
わすれてしまいたい
きんのじゅうたんはあのころへのみちあんないのとびらへとつづいている
さよなら まま
きんのじゅうたん
あなたにそっくりなおもざしになったわたし
このうえをあるけば
あのころの あのにわに
まよいこむような
こんわくと おそろしさと
やさしいおもいでに
あさのけんそうにまぎれ
あのにわにつながっているきんのじゅうたんのこみちをよけてあるく
さよなら まま おかあさん
わたしはあなたによくにてきたわ
ばすは はしりだす
とおりすぎるばすから
きんのじゅうたんのこみちをふりかえる
さらさらとかぜ
まいあがるはなびら
あのにわへのみちが きえてしまうのをねがいながら
かぜにきえてくように
おかあさん まま
もう わたしをかいほうしてよ
あのひとのすきだったはなのほうこうが
びくうから
あなたのこえを すがたを
おもいだしてしまう
かぜにきえたきんのじゅうたん
あのにわへのとびらを
かぜがとじてくれていた
きえてしまったきんのじゅうたんのこみち
すっかりとじられたとびらに
ぎゅっ とまぶたをとじる
まんいんのばすのなかで
あなたのすがたをさがす
いるはずもないのに
まいとし つぶやく
まま おかあさん
わたしはあなたのことは
すっかり わすれてしまいました
はなはうそをつかない
そしてわたしはきんもくせいのはなに
くるしまぎれのうそをつく
せいふくのおんなのこたち
ざんこくなえがおでてをふっている
ゆー。