鳥展・貝類展など@科博
今月の平日一人休みは国立科学博物館だった。少しロジカルな方向に思考を整えるリセットが必要な気がしていた。レトロ建築の日本館も楽しめる。
ボーッとしている上に思考が組み立てられない感じは少し問題があるような気もしていた。
クリスマス頃に読んだ長野まゆみ・著「鉱石俱楽部」の影響もある。著者は、科博は楽しいが興味が満たされないような話を書いていたが。何しろ「旨味しそう」な鉱石が好きな人。科博の説明では何か違うのだろう。
とはいえ、かなり不可思議な雰囲気で表現するこの著者は、理系な感覚というか現実主義というか。そんな感覚をベースに作品を作っていると思う。
「鉱石俱楽部」には石が飛翔するような話もあるが、その後に出版された別な本で、あり得ない話を書いてしまった後悔の話を読んだりもした。
とても良いお天気での休暇。寒いと思い込んで着込んだが、少し着込み過ぎた気がしたくらい。少し冷えてもすぐに暖かく感じられる、心地良い晴れの日だった。
なので。
特別展用の通路から敷地へ入り、「入口はそちらです」とのスタッフさんの案内に頷いておきながら、そちらとは反対側に曲がってすぐの地球館入口へ。屋上が閉鎖されていないことをエレベーターホールで確認して直行。
科博への到着前にコンビニで買って、コートのポケットに入れておいたサンドイッチと、ペットボトルを片手にスカイデッキへ行った。
直射日光を前から浴びる席でサンドイッチを食べてくつろいだ。展示は、屋上のハーブガーデンすら観ていなかったが、既に満足だった。
「やっぱりヒトには光合成が必要だよね」と、科博で声に出すなら、怒られるか呆れられるかしそうなことを考えていた。
鳥展に関して言うなら、羽の美しさ、カラフルさ、鳥のかわいさなどを楽しみに来ていた人もいただろう。理系に強い人ばかりとは思わなかった。
印象で言うなら、理系かどうかよりバードウォッチングに親しんでいるのだろうと思う人たち、あとは学生らしき若い世代が多かった。
が、常設エリアを落ち着いて楽しむ大人は、理系に強い人が多そうな場所。うかつな思考を口にして悪目立ちしたくはない。
鳥展も常設エリアも人がとても多かった。特に多かったのは常設エリアでの中学生。ショップも大混雑。週末の方が空いていたのかと思うくらいだった。
なので、人の少ない場所をのんびり楽しめたのは、屋上と、鳥展の後に行ったB3階だけ。
私は小さなバッグを斜めがけし、とても身軽に家を出た。鳥展の前にロッカーに入れたのはコートとペットボトルだけ。
多数の鳥の剥製のある展示室。他に動画、解説の文章・漫画を楽しんだ。
動画では、附属自然教育園でのオオタカの孵化、成長の動画も見られた。一昨年の様子だったか。きれいな水色の卵から育つらしい。
鳥ではない「はやぶさ」セットが第2会場に展示されていたりもした。
のんびりと気ままに、気になった剥製や解説を見たり撮ったり、動画に見入ったり。人混みを避けながら、ウロウロと楽しんだ。
家族に「鳥展へ行くね」と伝えたときには、コウモリも鳥類だと思っていた。
子どもと一緒に無意味にコウモリの動きをしながら、「コウモリも鳥だよね?」と言い終わらないくらいのうちに、夫は呆れ顔。「コウモリは哺乳類」だそうで。
コウモリの動きで子どもとシンクロするのは、千葉市科学館の企画展示室へ、錯視がテーマの展覧会のときに家族で行ってから。
そこで何だか面白い動きをしていたイラストのコウモリの映像を見た。それ以来、無意味に一緒にコウモリしていたりする。
鳥展にはコウモリも展示されていた。哺乳類だが飛ぶようになった動物。ヨタカ目のそばに、コウモリと比較した文があった。
会場入口に近いエリアでは、滑空という飛び方をする哺乳類・ムササビも見かけたと思う。爬虫類もあったような。
ヨタカという言葉と、採油の話が気になった。
京極夏彦著書だったと思うが、夜の仕事の人を夜鷹と表現していたような気がしたり。どこから得た知識かは不明。
調べると、連想したそんな内容は合っているようだった。英語nighthawkでも、夜型人間など似た意味を持つ様子。
油ってどうやって採るの? 鳥のどこに油? と思ったり。
ヨタカは他の鳥たちと比べて頭部が大きく見えた。頭は骨の分量が多そうだし?と思ったり。
調べると、昔は油分の多い果実を食べる、成鳥より大きなアブラヨタカの雛を、煮詰めて絞って採油していた、という情報を見かけた。
ここからしばらくは、個人的に気になった写真を並べていく。過去の読書の影響やら、友人たちと一緒に見たり話題になったりしたものやら、いろいろ。会場の標本は600点以上。どれが気になるかは人それぞれだろう。
昔は剥製を怖いと思っていた。が、20代で読んだ京極夏彦著書で、作り方やその剥製を愛でる登場人物がいて印象が変わった。
数年前になるのか、子どもと見た科博についてのテレビ番組で、今は場所を取る形で剥製を作ることが少ないことも知った。
飛んでいる姿など、形状や生態が伝わる剥製自体も貴重なのだろう。薄い引出しに納まる、ペラペラな状態で保存されることが多いという話だった。
中学に入ってすぐに学校で勧められた、英語での文通相手から知った鳥。相手はニュージーランドの人だった。国鳥。WEBのない時代のこと。飛べない鳥? それは鳥? 何だろう…? と疑問だらけだった。
その写真の隣にはキーウィの卵や、卵が体内にあるキーウィのX線写真もあったり興味深かった。とても大きな卵を産むらしい。
卵の殻はX線を透さないんだなと思って帰宅した。が、写真を見ると、卵の輪郭内から輪郭外に繋がる脚らしき2本の骨。会場では気づかなかったらしい。
くちばしの先端に鼻孔があり嗅覚がある。土の中のエサを探るらしい。夜行性で視覚より嗅覚に頼る生活は「鳥というよりも哺乳類的といえる」と、一緒に写った文章に繋がる。
葉加瀬太郎・作曲だと帰宅後に気づいた。インストが好きな私は昔、コンサートに行ったことがある。ホームコンサートのような暖かい演出が、そのときの気分と合って心地良かった。
うちのリビングの天高と同じくらい、というようなトークもあったが、フツーに大きなホールが会場だった。
この日は、「かはくのモノ語りワゴン」も楽しみにしていた。そのプログラムは日本館での開催も含めていくつもある。
が、私としては地球館B3階での「隕石からわかること」。隕石を触ったり持ち上げたりできるようで気になっていた。
ただ、時刻は決まっているものの、実施されるかどうかは不定。鳥展を見終える頃には、開始時間が近いことに気づいていた。
鳥展の特設ショップに、気に入ったトートバッグがあった。友人たちへの小さなお土産とともに購入しようと考えた。
そのトートのデザインは「ぬいぐるみ動物園 CHIBA ZOO」のショップで見かけたデザインと、同じイラストレーターさんによるような? そちらも好きなデザインだったが何も買ってない、と思ったもの。
その千葉そごうでの展覧会では、ハシビロコウを含め、動物のぬいぐるみがカラフルにたくさん展示されていて楽しかった。
そのトートなどを買った、という話の流れに当然なりそうなところだが、残念なことに買えなかった。勘違いにより。「モノ語りワゴン」に急ぐ気持ちがあったとはいえ…
鳥展の前のロッカーに、お財布などの荷物を入れてきてしまったと思っていた。
ロッカーに入れたのはコートとペットボトルだけ。なので、私の背中には斜めがけされたバッグが丸ごとあった。当然、お財布も。
レジ方向を見ると、スマホでの非接触やバーコード決済ができない気がしたので、諦めてショップを出た。
勘違いに気づいたのは、出口を抜けロッカーに向かう途中。「戻る100円玉。忘れないようにしまわなきゃ」と思ったとき。コインを戻すお財布は背中にあると気づいた。
こんなに身軽に外出することは初めてではないが。昨秋から年末近くまで、肋骨のヒビが気になっていた。
昨秋、ライブを身軽に楽しむために買ったバッグだが、ライブだけではなく何度も使っている。バッグは違っても身軽に出ることは多かった。
それでも、小さなバッグ一つで出歩くことに慣れていないらしい。バッグ自体もシアー素材で100gもない。そんな理由で買えなかった。
「モノ語りワゴン」を探しにB3階へ急いで向かったが、ささっと会場全体を巡っても見当たらなかった。なので、実施されていないと判断。そのままそのフロア「自然のしくみを探る」を楽しんだ。
後で気づいたが、その日に実施されるプログラムは、地球館へ入ってすぐの掲示にあった。WEB上のそんな案内と、リアルな掲示の両方を見落としたらしい。
帰宅して写真を見ていて気づいたが、ベテルギウスはいちばん大きい赤丸ではない。その星の名前は書かれていないが、ベテルギウスより大きい赤色超巨星はある。勘違いして眺めてきたらしい。
ベテルギウスは、もうすぐ爆発が見られそう、明るくなってから見えなくなる、と数年前に話題になったオリオン座の明るい星。
先日の千葉市科学館プラネタリウムで、ベテルギウスのないオリオン座を見られた。結局、爆発が地球で見られるのが、どれくらい近い話かは知らない。
展示で黄色く表現されている太陽は、赤色巨星に変化すると予測されている。今の地球の公転軌道近くまで大きくなる、50億年後の太陽を見るのは誰だろうか。
天文学は出てくる数字が大きいために呑気な話に聞こえるが、星や銀河の動きは、身の周りに見えるものの動きと比べると爆速。
巨大なものも含めて、爆速で動き変化し続けるのが宇宙。ヒトや植物など生物の進化、ヒトの技術の進化はどうか知らない。
次の写真から日本館。貝類展メインで楽しもうと思っていた。
貝類展入口そばの吹き抜けで撮った次の写真。それを送った友人は怖いと言っていた。
怖いと言わずに見ていただけましたら幸いです。ダイオウイカの実物大模型。1枚に入り切らず3枚に分かれてます。
とても好きな日本館だが、インパクト大き過ぎるイカ。実際の日本館を知らないと伝わりにくい大きさだが、日本館出口のクジラとどちらが大きいだろうか。
その屋外のシロナガスクジラは30m。
ダイオウイカの模型の大きさは不明だが、2本ある長い触腕まで入れて18mの個体は観察されたことがある様子。
あ。ダイオウイカが怖くなさそうなら、反対側の目も見に行ってください。私は写真は撮ってません。裏側という感じですが、通路なので見られます。
貝類展は、イカも貝なのかと思いながら見始めて見終えているので、おそらくいろいろと理解しなかった。人も多く、写真も撮っていない。ナメクジも貝だと思って終了した。
ただ、後半のコレクションなどに、きれいな貝がたくさんだった。「人はなぜ貝に魅せられるのか」というタイトルの雰囲気を感じる展示を楽しんだ。
企画展示室と同じ1階で、常設展「自然を見る技」も楽しんだ。昔の望遠鏡や天球儀など、味わいある展示。天文の話だけではなく、古い時計・地震計・顕微鏡のエリア。
B1階では何度も楽しんだことがある「シアター36〇」へも行った。プログラムは「深海-潜水艇が照らす漆黒のフロンティア」。
どこからでも見えるように作られているとはいえ、生き物の映像は、ほぼ見えない場所で楽しんでしまったので、物足りない感じはあったが。その生き物の映像は、海展など、どこかで見た雰囲気に似ていそうだとは思った。
混雑していたミュージアムショップにも入った。鳥展で買えなかったものは売っていなかった。ラウンジの奥で、久しぶりにプロジェクションマッピングを眺めて外に出た。
私がボケボケだったこともあり、人が多かったこともあり…
鳥展でも常設エリアでも、見なかったり見落としたり勘違いしたりは多かった。私の思考をロジカルとは反対へ向かわせる人の幻影も見た。
帰宅してから夫に、ダイオウイカの実物大模型の写真を見せると、「それは見たことある」とつっこまれた。私も見たことあるような気はしたが、気のせいかと思って写真を撮っていた。
きっと何年か前の常設エリアでの企画展「日本の海洋調査への挑戦と歩み」のときだろう、と思ったりした。
が、もっと前の特別展に行ったのだろうか。特別展に行った記憶が私にはない。子どもには、そのインパクト大き過ぎる模型の記憶はないらしい。
友人たちには「イカ・タコ・ナメクジは貝類!?」と驚かれたり。
改めて調べると、遠い過去で言うなら貝で合っていた。
が、現生で言うなら、貝と同じ軟体動物仲間で、貝とは言わないだろう。「イカの骨」と表現される硬いものは貝殻なので、痕跡はあるが。
幸せな気分で休日を楽しんだのは間違いないが、ボーッと見て帰宅してしまったらしい。少しロジカルな方向にリセットという目的は、あまり達成していないような。
帰宅後に「何か間違えてる!?」などと、あれこれ調べているうちに、思考力は戻ったので問題ない。
…ということに勝手にしておく。