私に似合う服⑧

私はもう一度、可愛い服を着たいと思った。

もう濡れ衣が似合う女の子にはなりたくない。


彼のために。彼の隣を歩くために。


だけど私は可愛い服を着られなかった。


彼のためなら、可愛くなれる。彼なら私を変えてくれる。そう思ったはずなのに、私は可愛い服を着るのがやっぱり怖かった。


あんなに楽しみにしていたデートも、私は誰にも怒られない、ダサい服を着て行った。隣を歩く彼には少し申し訳ないような気がしたけれど、もう可愛い服の選び方もわからなくなっていたし、もう今更お母さんに可愛い服を買って欲しいなんて言えなかった。

初めてのデート、待ち合わせ場所に現れた彼は少し緊張しているようにも見えたけれど、私の顔を見ると嬉しそうに笑った。この人は私をいじめないのかもしれないと思った。


だけどその次のデートも私はダサい服を着ていった。


そのあと何度も何度も、彼とデートを重ねたけれど、私は毎回毎回ダサい服を着て行った。

彼のためならば変われると思ったのに、やっぱり私は変われなかった。



やっぱり私にはまだ濡れ衣が似合うのだと、心のどこかで思っているのかもしれない。

(つづく)

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