私に似合う服⑦


ダサい服を着られなくなった私には、何が似合うのだろう。

ダサい服が着れなくなったけれど、可愛い服を着るのはまだ少し怖かった。

それなら濡れ衣が似合うままの私でいたかった。


素敵な彼の隣を歩けることはこんなに嬉しいのに、ダサい服のままでは歩けなくて、だけど可愛い服を着るのも怖くて。だって私には濡れ衣が似合っていたのだから。可愛い服を着たら、流行りの服を着たら、怒られるから。


濡れ衣を着せられるようになって、可愛い服をやめた。可愛い服をやめて、ダサい服を着た。

服はダサいくらいが心地よかった。

濡れ衣を着せられなくなって、彼氏ができた。

私は彼のために、ダサい服を脱がないといけなくなった。脱ぎたいと思った。

だけど、私は可愛い服を着られない。


彼は私を変えてくれるかもしれない。
彼のためなら変われるのかもしれない。


私はもう一度可愛い服を着たいと思った。

もう濡れ衣が似合う女の子にはなりたくない。

(つづく)

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