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家族を一つのシステムとして考えると見えてくる6つの特徴【ついついやってしまいがちなNGな考え方】

最近はどんな社会問題も根底には家族関係が原因のひとつなのでは?なんて思っています。
生まれてから最初に関わる社会が家族ですからね。
やっぱりこの影響は大きいんだと思うんです。

そこで今回は家族システム理論をベースに家族という集団のとらえ方を考えてみます。


家族=一つのシステムにおける6つの特徴

家族という集団を一つのシステム…それぞれが有機的につながり相互作用する構造として考えた場合、次の6つの特徴が浮かび上がってきましたよ。

  1. 相互作用と循環的な関係がある

  2. 家族全体の力と役割分担がある

  3. 変わらない力と変化する力が混在している

  4. 境界線の役割が曖昧だと混乱する

  5. 世代を超えたつながりがある

  6. 個人の問題は家族の問題である

それぞれ少し深堀りしてみます。

1. 相互作用と循環的な関係がある

 家族の中では、メンバーの行動や感情が互いに影響を与え合い、循環的なパターンが生まれます。
 たとえば、子どもの成績低下が親の叱責を招き、子どもが反発して学校を休み、さらに成績が低下するという連鎖が見られることがありますね。
 このような相互作用は、家族全体の関係性を理解する上で重要なポイントになるはずです。
 問題を解決するには、個人の行動だけでなく、家族内の関係性のパターンを分析し、改善する必要があります。
 具体例として、子どもの不登校の場合、家族全体でのコミュニケーション改善が、問題解決の糸口となることがあります(当たり前のことですが、結構見落としがちな点です)。


2. 家族全体の力と役割分担がある

 家族は、個々のメンバーが独自の役割を持ちながら、一緒に機能するシステムとして存在します。
 たとえば、夫婦が家族の意思決定を担い、子どもたちが家族の日常生活を彩る役割を果たすといった構造です。
 この役割が明確でない場合、家族全体のバランスが崩れ、混乱を招くことがあります。
 アルコール依存症の親を持つ子供は、家族の意思決定を子供が担ってしまっているケースが多く、そのため家族内の役割バランスが崩れてる…なんてことがあるようです(Parentified childなんて呼ばれる現象です)。
 それぞれが役割分担を理解し、適切なバランスを保つことで、家族の機能を最大限に発揮できるんですね。


3. 変わらない力と変化する力が混在している

 家族システムには、「現状を維持しようとする力(モルフォスタシス)」と、「変化を受け入れる力(モルフォジェネシス)」が同時に存在します。
 これらのバランスが取れている場合、家族は安定しつつ、新しい環境や状況にも柔軟に対応できます。
 一方、現状維持の力が強すぎると、変化に適応できず、問題が固定化されることがあります。
 逆に、変化の力が強すぎると、家族全体が混乱し、機能不全に陥る可能性があります。
 具体例として、父親が転勤する際なんかがあげられますね。
この場合、家族全体で新しい環境に適応する力を高めることが重要になってきます。


4. 境界線の役割が曖昧だと混乱する

 家族には、「家族の内側と外側」や「世代間」の境界線が存在します。
この境界が明確でない場合、役割の混乱や依存関係が生じ、家族機能が低下する可能性があります。
たとえば、親が子どもに過干渉する場合、子どもが自立する機会を失うことがあります。
 逆に、境界が強すぎると、家族の絆が弱まり、メンバー間のつながりが希薄になることもあります。
 具体例として、親が子どもの進路をすべて決めるのではなく、適切にサポートすることで、境界の健全性を保つことができます。
 あと最近多く感じるのは、親が過去に叶えられなかった理想像を子供に投影してしまうケースですね。
 子供をアイドルや芸能人にしようと子どもの意思に関わらずオーディションを受けさせたり、過度な練習を強要する親や、自分が行けなかった名門大学を目指すよう子どもに強制し、過剰な塾通いや勉強を課すケースがそうでしょうね(代理的満足ってやつです)。


5. 世代を超えたつながりがある

 家族システムは、今の核家族だけでなく、祖父母など過去の世代から影響を受けています。
 このつながりを理解することで、家族内の繰り返される問題やパターンを見つけることが可能です。
 たとえば、「親が仕事に没頭し、子どもが孤独を感じる」というパターンが、数世代にわたって続いていることがあります。
この場合、家族全体で過去のパターンを見直し、新しい関係性を築くことが必要です。
具体例として、家族療法で祖父母の育児スタイルが親世代に影響を与えていることを分析し、解決策を探るアプローチが挙げられます。
どこかでこの負の連鎖を断ち切る必要があるんですね。


6. 個人の問題は家族の問題である

 家族内の問題は、しばしば特定の個人の行動や症状として現れますが、実際には家族全体の関係性の中で生まれることが多いです。
 たとえば、子どもの不登校やうつ病は、家庭内のストレスや親子関係の問題が影響している場合があります。この視点を持つことで、問題の原因を家族全体で共有し、解決に向けた協力が可能となります。
 個人の行動を単独で解決しようとするのではなく、家族全体のコミュニケーションや支援体制を見直すことが重要です。
具体例として、家族療法で、親が過剰に子どもを叱責していたことを見直し、家族全員の関係改善を図ることで、子どもの症状が改善することがあるようです。

まとめ

親が子どもに期待をかけるのは自然なことです。
良い人生を送ってほしいし、自分が経験したような苦労はできるだけ避けてほしいですからね。
でもその期待や配慮が、純粋に子供のためを思っているのではなく、親自身の未完の夢やエゴから来ている場合、やっぱり親子関係に歪みを生むことがあるんです。
親自身の理想と子どもの人生を切り離し、子どもが自分の人生を自由に選べる環境を整えることが大切なんでしょうね。


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