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CONNECT-ラポールを形成するためのフレームワーク

リハビリテーションに限ったことではないのですが、医療、介護や福祉の現場において、いかにクライアントと良好な信頼関係を築けるか?って非常に重要になってきます。
その分「いつも自分の時だけ拒否される」「うまく良い関係性を築けない」なんて悩むセラピストが多いようにも感じます。

今回はクライアントとラポール(信頼関係)を築くテクニックをフレームワークに当てはめて解説します。


ラポールとは?

そもそも“ラポール”とはどのような意味でしょうか?
調べてみると次のような一つの定義がみつかりました。

ラポール (rapport) とは臨床心理学の用語で、セラピストとクライエントの間で相互を信頼し合い、安心して自由に振る舞ったり感情の交流を行える関係が成立している状態を表す語

wikipedia

ふむふむ。つまり、“相手との信頼関係”のことを指すんですね。
そうなると臨床で“クライアントとラポールが築けている”というのは、“クライアントと良好な信頼関係を構築できている”という意味として解釈できますね。

そもそもの意味は“架け橋”?

 ラポールとは、フランス語で「架け橋」を意味する言葉で、心理学ではセラピストとクライアントの間に築かれる信頼関係を指します。この「架け橋」という概念は、医療や福祉の現場で、クライアントとセラピストが心理的に繋がることで、お互いが理解し合い、協力的な関係を築くことを象徴しています。うん。まさに架け橋。
 ラポールを築くことにより、クライアントは安心感を抱き、治療や介入に積極的に取り組むようになり、より効果的な支援が可能となるんですね。

ラポールの形成方法をフレームワークで考える

では、このラポールの形成方法はどんなふうにすればよいのでしょうか?
一つの提案として、「CONNECT」というフレームワークで整理できます。このフレームワークはそれぞれのステップがラポールを形成するプロセスを反映しています。

C - Calibrate(キャリブレーション)

 相手の表情や声のトーン、身体の動きを観察し、相手の心理状態や感情を理解することから始めます。キャリブレーションは、他の手法を効果的に活用するための基盤を築くステップです。

O - Observe and Mirror(観察とミラーリング)

 相手の行動や話し方を観察し、それに合わせて自分の行動を調整します。ミラーリングを通じて、相手に安心感や共感を感じてもらい、コミュニケーションの円滑化を図ります。

N - Natural Pacing(自然なペーシング)

 相手の会話のペースや呼吸、テンションに合わせて自分のテンポを調整します。これにより、相手とのリズムを合わせ、信頼感を高めます。

N - Navigate with Feedback(フィードバックを通じて導く)

 相手の発言や行動に対して適切なフィードバックを行い、相手の考えや感情を尊重しつつ、コミュニケーションを深めます。フィードバックは、理解を示し、関係を発展させるための重要なツールです。

E - Engage with Empathy(共感を持って関与する)

 バックトラッキングやオウム返しを用いて、相手の発言を繰り返し、共感を示します。これにより、相手は自分の気持ちが理解されていると感じ、ラポールが深まります。

C - Cultivate Connection through Eye Contact(アイコンタクトで関係を深める)

 適切なアイコンタクトを維持することで、相手との信頼感や共感をさらに強化します。アイコンタクトは、言葉以外のコミュニケーションを通じて関係を深める効果があります。

T - Tailor with Humor and Common Ground(ユーモアと共通の話題で個別対応)

 ユーモアを交えたり、共通の話題を見つけることで、リラックスした雰囲気を作り出し、相手との距離を縮めます。これにより、より深い信頼関係が築かれ、効果的なコミュニケーションが促進されます。

若いセラピストこそこのラポールを!

 1年目のセラピストからよく聞かれる「まだ何も患者さんにしてあげれることがない」ってセリフ。もちろん知識も技術も経験も少ないからそう思ってしまうことは当然かもしれません。でもラポールを形成して、少しでも安心感を与えることは1年目からだってできるはず。「相手の行動変容を促す」というのがリハビリの目標だとしたら、ラポールを形成することはそのための一つの手段になり得るんじゃないですかね?


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