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推しのグッズを自作する背景にある6つの心理

さて、推しのK-POPアイドルグループ(Baby Monster)のコンサートのアップグレード席が当選しました。
そうなると、ペンラを含む公式グッズを購入しコンサートに向けての準備…ですが、ふと「グッズを自作する」という欲求にも駆られまして…。

このグッズの自作の背景には、どんな感情があるんだろ?と思い調べてみました。


グッズの自作の裏にある心理とは?

グッズを購入するだけでなく「自作したい」「自分で何かを作って推しを応援したい」と感じる背景には、調べるとファンダムや消費行動、創造活動に関するさまざまな理論が関係しているようです。

代表的な観点を以下に解説します。

参加型文化(Participatory Culture)とファン労働(Fan Labor)

メディア研究者のヘンリー・ジェンキンス(Henry Jenkins)が提唱した「参加型文化」という言葉があります。これはファンがただ受動的にコンテンツを消費するだけでなく、自ら創作活動を行い、そのコンテンツやコミュニティに積極的に関わる文化を指すようです。

これは、ファン自身が手間をかけ、作品やアイドルの二次創作・グッズ制作・SNSによる情報発信(いわゆる布教活動)といった行為をファン労働(Fan Labor)といいます。

自作グッズは、まさに「ファンが主体的にクリエイター化する」行為といえ、推しを応援するだけでなく、自身の創造的欲求を満たす側面も強いということです。

「既存のオフィシャルグッズ」ではなく「自分が思う理想やデザイン」を形にできる喜びがあり、それがファンのモチベーションとなります。

うーむ。これってすごい作業療法だなと。

心理的所有感(Psychological Ownership)

「心理的所有感」とは、実際に所有していない対象でも「これは自分のものだ」と感じる感覚を指します。

自分で手を動かしてグッズを作る過程で、作品やアイドルに対する“愛着”や“関わっている感”が強まるってのは、多くの人が共感できる感覚だと思います。

既存商品を買うだけでは得られない「自分だけの推しグッズを作った」という感覚が、「より深く推しを所有している」「自分が推しを支えている」という強い意識に繋がるんですね。

拡張された自己(Extended Self)理論

消費者行動論の分野では、ラッセル・ベルク(Russell Belk)の「拡張された自己(Extended Self)」という概念があります。

これは、人は所有物(服、車、グッズなど)を自分のアイデンティティの一部とみなし、自己像を拡張するとされています。特にファン活動において、アイドルや作品に関連する持ち物は「自分がどれだけ推しを愛しているか」を示す記号になるようです。

オフィシャルグッズを買い集めるだけでなく、自分が作ったオリジナル作品を所有することで、その推しとの「一体感」や「拡張された自己」としての意味合いがさらに強化されるんでしょうね。

クリエイティビティの発揮と自己実現

「好きなアイドル(作品)に関連するものを作りたい」というのは、創作意欲や自己表現の欲求が同時に満たされる行為になります。マズローの欲求段階説でいえば、「自己実現の欲求」と関係しているとも考えられます。

ファンアートやハンドメイドグッズの制作は、作るプロセスそのものが楽しいと感じやすいですし(M・チクセントミハイのフロー理論)、pixivでファンアートを投稿し、YoutubeにMAD動画をアップロードし、ハンドメイドグッズを作ってInstagramにのせるといったSNSで発信し、「いいね!」の反応をもらうことは、承認欲求やコミュニティとのつながりを得ることになります。

コミュニティの一員としての貢献意識

ファンコミュニティでは、公式の商品だけでなく、ファンが作ったデザインやグッズを交換し合ったり見せ合ったりする文化が根付いている場合があります。これは日本のコミケに代表される二次創作の文化といえます。

そこには「自分もコミュニティに何かを提供したい」「盛り上げたい」という意識がはたらきやすいですし、自作グッズを作る行為は、コミュニティ内で一目置かれたり、喜んでもらえたりする行為でもあるといえます。

いわゆる「ファンダム(Fandom)」の一員として積極的に活動することで、所属感自己効力感が高まるってことですね。

独自性・差別化欲求(Uniqueness Theory)

社会心理学で提唱される「独自性理論」は、人は他者と似すぎても、異なりすぎても不快感を抱き、適度に差別化された状態を求めるとされています。

そうすると、公式グッズは多くのファンが同じものを持っているため、「自分だけが持つ特別なもの」を求める心理が働きやすいといえます。そこでグッズを自作することで、完全にオリジナルの一点物を手に入れる(あるいは他のファンに自慢できる)という満足感が得られることになります。

「自分らしさ」を推し活に反映したい、という気持ちが強いファンほど自作欲求が高くなる傾向があるといえますね。

この心理って作業療法に活用できるよね?

推しに関するグッズを自作するって活動は、作業療法の世界でよく言われる「意味のある作業(Meaningful Occupation)」と言えます。これは非常に自己効力感の獲得や社会参加の促進につながるんです。

こう考えると、作業療法のひとつに、「推し活療法プログラム」というリハビリテーションプログラムを開発、普及していく必要性ってあると思うんですよね。

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