キャリアモデルとその具体例を考えてみる。
転職を考えているわけではないのですが、この年齢になると今後のキャリアってものについて考えます。
特に作業療法士は「生活を支援する」とはいえ扱う範囲や手段、関わる領域も広いため、キャリアアップに悩みやすい印象を持ちます。
そこで、一つの参考としてキャリアアップの型について考えてみたいと思います。
一般的なキャリアモデル
以下のような人材タイプが、一般的なキャリアモデルとして挙げられます。
I型人材
T型人材
π型人材
△型人材
H型人材
W型人材
それぞれの特徴を解説します。
I型人材
I型人材は、特定の分野に深く特化した知識とスキルを持つスペシャリストを指します。このモデルは、専門分野における高い技術力や知識を活かして職務を遂行する点で特徴的です。I型人材は、特定の課題解決や高度な専門知識が必要な分野で重宝されます。
メリット: 専門性の高さが競争力になる。
デメリット: 専門分野以外の柔軟性が乏しく、環境変化への対応が難しい。
T型人材
T型人材は、特定の分野での専門性に加え、幅広い知識やスキルを持つことが特徴です。「T」の縦棒が深い専門性を、横棒が幅広い知識やスキルを表しています。
メリット: 異分野の専門家との協業が得意で、イノベーションを生み出す力がある。
デメリット: 幅広い知識が浅くなりがちで、専門性に集中できない場合がある。
π型人材
π型人材は、2つの専門分野を持ちながら、幅広い知識も兼ね備えた“ダブルメジャー型”です。複雑な課題に対して柔軟かつ創造的な解決策を提供できる点で、希少性が高い人材です。
メリット: 2つの専門性を組み合わせた競争力が高い。
デメリット: 2つの分野で深い知識を維持するには継続的な努力が必要。
△型人材
△型人材は、3つの専門分野を持つ“トリプルメジャー型”です。幅広い専門性を活かして、複数の領域で高い発想力と創造性を発揮します。
メリット: 複数分野を統合し、新しい価値を生み出す力がある。
デメリット: 3つの分野すべてを深めるための時間と労力が課題。
H型人材
H型人材は、特定の分野における専門性を持ちながら、他分野との橋渡し役を担う人材です。
メリット: チーム間の調整や異分野連携でイノベーションを生む力がある。
デメリット: 橋渡し役に特化しすぎると、自身の専門性が薄れる可能性がある。
W型人材
W型人材は、複数の知識やスキルを掛け合わせた柔軟性の高い人材を指します。「W」の形が表すように、幅広いスキルセットを基盤に、多様な業務を遂行します。
メリット: 幅広い役割を担い、多様な視点で問題解決ができる。
デメリット: スキルが浅いと評価される可能性があるため、基盤構築が課題。
職種の具体例
そうなると上記の各キャリアモデルに対応する具体的な職種って?…と思いこれも調べてみました。
I型人材
特定分野に深く特化したスペシャリスト
医療分野: 外科医、専門看護師(がん看護、集中治療など)
技術職: AIエンジニア、データサイエンティスト
研究職: 大学教授、専門研究員(薬学、生物学など)
アート分野: 彫刻家、ピアニスト(クラシック専門)
職人系: 和菓子職人、刀鍛冶
T型人材
専門性を持ちながら幅広い知識やスキルを活かすスペシャリスト兼ジェネラリスト
医療・福祉: 作業療法士(リハビリ専門+心理学や教育の知識も持つ)
技術職: フルスタックエンジニア(特定のプログラミング言語に精通+幅広い開発スキル)
ビジネス: プロジェクトマネージャー(専門分野の知識+チーム運営スキル)
教育分野: STEM教育の教師(数学専門+プログラミング教育にも対応)
アート分野: デザインディレクター(グラフィック専門+UX/UI知識)
π型人材
2つの専門分野を持ちつつ幅広い知識を持つダブルメジャー型
医療×IT: ヘルスケアITコンサルタント(医療現場の知識+ITシステムの専門性)
教育×心理学: 教育カウンセラー(教育理論に精通+心理療法の知識を持つ)
技術×ビジネス: ビジネスアナリスト(データ解析スキル+経営戦略の知識)
デザイン×テクノロジー: インタラクションデザイナー(デザイン理論+プログラミング技術)
環境×建築: 環境建築士(建築の専門知識+環境科学のスキル)
△型人材
3つの専門分野を持つトリプルメジャー型
医療×教育×IT: 医療教育プログラム開発者(医療現場の知識+教育スキル+IT知識)
技術×デザイン×ビジネス: UXデザインコンサルタント(ユーザー体験設計+デザイン+マーケティング)
環境×農業×経済: サステナビリティコンサルタント(環境保全+農業技術+経済分析)
教育×心理×福祉: 特別支援教育コーディネーター(教育理論+心理療法+福祉の知識)
アート×テクノロジー×文化: デジタルアートクリエイター(アート+プログラミング+文化研究)
H型人材
専門性を持ちながら他分野の橋渡しをする連携型
医療×多職種連携: チーム医療コーディネーター(医療知識+他職種の調整スキル)
技術×マネジメント: イノベーションマネージャー(技術スキル+プロジェクト運営能力)
教育×地域活動: 地域教育プランナー(教育知識+地域社会との橋渡しスキル)
ビジネス×社会貢献: CSRマネージャー(企業経営+社会貢献プログラムの調整)
芸術×社会活動: アートプロデューサー(芸術知識+地域活性化プランニング)
W型人材
幅広い知識やスキルを持ち、多様な業務を遂行できる柔軟型
医療×リハビリ×心理: メンタルヘルスリハビリ専門家(リハビリ+心理療法+カウンセリングスキル)
技術×ビジネス×教育: テクノロジー教育者(プログラミング教育+企業研修+IT開発スキル)
イベント企画×マーケティング×デザイン: イベントプロデューサー(企画力+デザイン+マーケティングスキル)
スポーツ×健康×ビジネス: 健康コンサルタント(運動科学+栄養学+経営知識)
エンターテインメント×IT×デザイン: マルチメディアプロデューサー(映像制作+IT技術+クリエイティブデザイン)
自分はどのタイプか?
こうしてみると、ある程度自分はどのタイプかイメージがつくと思います。
専門知識を深めてきたのか。
いろんなことを幅広く行ってきたのか。
得意不得意もあると思うんです。
でも、たぶん重要なのってこれから「どんなふうに仕事をしたいのか?」を重要視したほうがよいのかなって。
専門性を深めたい?
いろんなことにチャレンジしたい?
どんな人材になりたいか?から逆算して考えていったほうが、建設的なんだと思うんですよね。
VUCA時代で生き残るには?
現代は個人が活躍する時代って言われています。
それは変化が激しい時代だからこそ、大きな組織が柔軟に対応できず、個人の機動力が求められるから…だと思います。
大昔に隕石が落ちて環境が変化した際、恐竜はその大きな体ゆえに対応できず、小さな哺乳類であるネズミが生き残りました。この事実は、VUCA時代においても当てはまると言えるはずです。
これからのキャリアを考える際には、身軽に動ける力や柔軟性を意識し、自分に合ったキャリアモデルを選んでいきたいものです。。