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我が子の心を壊したあなたへ     (副題:いじめられっ子の親からいじめっ子当人へ送りたい手紙)


我が子の心を壊したあなたへ

あなたは

我が子の現在の様子を知って
まだ嗤いますか

それともあれはただの遊びだったのにと
呆れますか

気味が悪いと 怒りますか

我が子はそうやって思い切れないから
今なお 苦しんでいます

あなたに我が子の頭が
おかしくなったと 言わせない

わたしの育て方が悪いからこうなったと
言わせない

十数年前に我が子を 産んだとき
わたしはとても 誇らしく幸せでした
無事にこの世に生まれてくれたことに
感謝しました 
充実した人生を歩めと願いました

しかし
我が子はあなたの言動で 
素直で温和な心を壊され
自己卑下で出来た堅い殻に閉じこもった

現在も我が子は 精神科に通院し
精神安定剤と 睡眠薬をもらっている
そしてわたしに 自分はなんのために 
生まれてきたのか なぜ生きるのかと問う 

あなたはいったい 何がおもしろくて
我が子をいじめたのですか
心無い言葉に哀しむ我が子を
さらにからかい 仲間と一緒に貶める

それらは今も あなたにとって
楽しい思い出になっていますか


満開の桜 山に紅葉 舞う吹雪
空は青くて海も蒼くて
小鳥は唄い 獣は走る
道路には自動車
学校には子どもたち
大勢の生きものがこの世に行き交う

しかし我が子は 何もかもが怖くて
外出できません

我が子があなたと出会う前に
時が戻せたらどんなにいいか

できもしないことをこうして書き連ね
我が子を救えぬ愚かな親
それがわたし

でも だれがなんといおうと
わたしからみたあなたは 犯罪者


また冬が来る
まだ夜のまま

つぼみのまま枯れた花と 
哀しそうな顔をした動物たちが
無言で わたしたちの家を囲む

骸骨が朽ち木の影から 我が子を招く

ああ 連れて行かないで

死は 我が子の苦しみの終焉ではないはず


さきほどの骸骨が 家に入り
ふとんの中にいる我が子を抱き
一緒に逝こうと優しく囁く

もうこれは あなたの勝ちかもしれません
だからわたしは あなたが許せない

当時のあなただけでなく 
幸せな今のあなたも

言い訳は いりません


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ふじたごうらこ
ありがとうございます。