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井筒俊彦についての読書ノート!

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井筒俊彦の思想に触れたい!と言う人のためのマガジン。何かしらのヒントになれば幸いです。
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2023年7月の記事一覧

読書ノート 「老子道徳経」 井筒俊彦・古勝隆一訳 【追記 再投稿】

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読書ノート 「ロシア的人間 井筒俊彦著作集3」 井筒俊彦

 慶應義塾大学出版局ではなく、中央公論社の著作集。  付録に付いている江藤淳のエッセイが興味深い。大学における井筒の言語学概論授業の様子を鮮やかに描き出している。 「井筒先生は、ベルが鳴ると同時に白墨を鷲掴みにして教壇に現れた。ノートを持っているわけでもなければ、本を抱えているわけでもない。いつも太いストライプのワイシャツを着て、ネクタイピンで襟元をとめ、突然即興的に話し出すというスタイルの授業である。したがって、雑談もなければ脱線もない。仮に脱線があったとしても、それはど

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読書ノート 「読むと書く 井筒俊彦エッセイ集」 井筒俊彦

 『井筒俊彦全集』未収録のエッセイ集。   ここには例えば、   ラカンの心理学は「無意識はコトバである」という基本テーゼが示すように、著しく言語関与的であり、その上、元来ソシュールの言語理論を継承し展開させたといわれる彼の立場は、この点では、むしろ唯識哲学の中核をなす「言語アラヤ識」論の系統に属すといっても過言ではないほど東洋的 など、琴線に触れるフレーズがいっぱい。   読むべきなのは第二章「言葉とコトバ」にある「東洋思想」「意味論序説―『民話の思想』の解説をかねて」

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読書ノート 「『コーラン』を読む」 井筒俊彦

 最重要の「開扉」ーメッカ啓示、こんな感じです。 「慈悲深く、慈愛遍きアッラーの名において、讃えあれ、アッラー。  万世の主、御神、裁きの日の主催者。  あなたこそを、我々は崇め祀る。  あなたにこそ救いを求める。  願わくば我々を導いて正しき道を辿らしてください。  あなたの怒りを被る人々や、踏み迷う人々の道ではなく、  あなたが良しとする人々の道を歩かせてください」 これだけの文を、390ページ以上のテクストで説明するという本。実際に行われた10回の講演録

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読書ノート 「岩波講座 東洋思想第二巻 ユダヤ思想2」 

 井筒俊彦の「中世ユダヤ哲学史」中心に読む。  序  1 中世ユダヤ哲学前史  2 サアディアー・ベン・ヨーセーフ  3 イブン・ガビーロール  4 バヒヤー・イブン・パクーダー  5 イェフーダー・ハレービー  6 イブン・ツァッディークとイブン・ダーウード  7 マイモニデーズ  8 ハスダイ・クレスカス  おお、誰一人知らん。流石、井筒俊彦。

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読書ノート 「イスラーム古典叢書 ルーミー語録」 ルーミー 井筒俊彦訳・解説

 ジャラール・ッ・ディーン・ムハンマド・ルーミーは、1207年ペルシャに生まれた。  12歳より家族で流浪の民となり、アナトリアのコニヤで旅は終わる。学者として名を成した父が他界し、受け継ぐ形でルーミーはコーラン、神学、哲学、伝承学の大家となっていく。その後スーフィズムに傾倒し、イブン・アラビーやスフラワルディーのような神秘哲学者になっていく。  ただしその哲学ないし思想はことごとく、詩的形象として著された。その後、托鉢僧シャムス・タブリーズィーとの出会いがあり、その時からル

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読書ノート 「井筒俊彦の学問遍路 同行二人半」 井筒豊子

 井筒俊彦の伴侶である井筒豊子は、大阪布施の出身である。「極楽とんぼ」など、関西の言い回しや、その突き抜けた明るくポジティブな性格が、我が母親などを想起させ親しみが持てる。とは言っても東大ですが。彼女による井筒俊彦の生活に重点を置いたインタヴュー、エッセイ、論文集。巻末に掲載されている「言語フィールドとしての和歌」「意識フィールドとしての和歌」は読み応えがある。自分の研究以外は無口で無頓着な旦那と、お喋りで社交的な奥さんは、きっとお似合いの夫婦であったのだろう。

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読書ノート 「井筒俊彦全集2 イスラーム文化」 井筒俊彦  

 1993年刊行の中央公論社版井筒俊彦全集その2。現在は慶應義塾大学出版部からの全集と、英文著作翻訳コレクションの2つが参照される事が多い。とはいうものの無論この全集の内容も井筒の著作であることに、そしてその重要性に何ら変わりはない。付録のパンフレットの末尾の編集部だよりに「井筒俊彦先生は、1月7日、逝去されました。告別式はご意思によりとり行われませんでした」という記載が、切迫感とともに、重大な歴史的な場面に遭遇した気持ちになる。  付録にある丸山圭三郎の「追悼 井筒俊彦先