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カスタマーサクセス部門が抱える最大の課題とは?CS専門のOneBoxの事業責任者が見据える、CSの現在地とミライ

近年、顧客体験向上のため、カスタマーサクセス(CS)部門の設置が企業の間で広がりを見せています。しかし、CS部門の立ち上げや運営には多くの課題が伴います。
CSの専門家としてこれまで数多くの企業のCSを中心とする支援に携わってきたOneBox取締役の鎌田貴史が、CSをめぐる現状や多くの企業が抱える課題、その解決策などについて語りました。

■プロフィール
鎌田 貴史(かまだ たかふみ)

OneBox株式会社 取締役
1994年北海道釧路市生まれ。
釧路工業高等専門学校卒業後、長岡技術科学大学に進学。

カスタマーサクセスを取り巻く現状と課題

――CSをめぐるここ数年の変化について教えてください。

鎌田:ここ数年でCSという概念が日本の企業にも浸透し、多くの企業がCS部門を設置するようになりました。特に、デジタル化が進んだ業界での動きが顕著でした。

CSという言葉はセールスフォース社が2000年初頭に使い始めたもので、日本では2010年代後半から徐々に使われ始めました。

(出典:Google Trends「検索キーワード:カスタマーサクセス」、2024年12月30日時点)

Googleトレンドで「カスタマーサクセス」というキーワードを検索すると、ご覧の通り、ここ数年で人気度が急上昇していることが分かります。企業が顧客との長期的な関係構築に力を入れるようになった結果、CSがますます重要な役割を担うようになったことを示していると私たちは見ています。

特に日本の市場では顧客獲得のコストが高い上に競争が激しいこともあり、リテンション(既存顧客の維持)の重要性が増しているという背景があります。

一方で、カスタマーサクセスに懸命に取り組む姿勢があるからこそ様々な課題も顕在化しています。組織内の理解不足、データ管理や活用の課題、プロアクティブ対応の難しさ、スケーラビリティ、人材不足、顧客の多様性への対応、ROI測定の難しさ…本当にたくさんの課題に直面しています。特に、属人化は大きな問題で、特定の担当者がいないと業務が回らない状況に陥りがちです。

OneBoxは2020年からCSに特化した企業支援を開始し、多くの企業に対してコンサルティング、リサーチ、CSのBPO、顧客基盤開発などの支援を展開してきました。

その中で、「新規営業が強く顧客数が毎月増えるが、CS人材の正社員雇用はリスクが高い」「カスタマーサクセス部門を新設したが、少数チームのために思うように進まない」「取り急ぎ実施しないといけない施策があるが、人員が足りず施策を回すことができない」などといった、「リソース」に起因するCSを取り巻くさまざまな課題が成功・成長の障壁となる場面を、OneBoxは何度も目の当たりにしてきました。

企業が成功・成長するための最も重要な要素のひとつである「リソース」が不足していることが成功への障壁となっているケースも少なくないのです。

もっと多くの企業に確実な成功を届けるためには、リソース提供を通じて「サクセスの加速」を支援することが必要だとOneBoxが確信しローンチしたのが、「SuccessBox(サクセスボックス)」です。

SuccesBoxが提供する価値

――「SuccessBox」の特長を教えてください。

鎌田:SuccessBoxは、CSの外注体制を作ることができるサービスです。OneBoxのプロフェッショナル領域を総動員し、CSの外注体制の構築による売上への貢献はもちろんのこと、長期の資産となるCSの“型”のトレースやナレッジを提供するのが大きな特長です。

SuccessBoxではCSに特化したコンサルタントが業務の最適化を進め、外注体制の構築・アップデートを推進します。顧客対応を行うCSフロント人材のアサインから人材管理・育成まで支援します。低リスク、お手軽にお試しいただけるようにするため、CS人材の募集から面談まで無料で提供しています。

CSコンサルタントが定期的に貴社の課題をヒアリングし、無料でサポートすることでCSをめぐる課題を整理。課題やニーズに基づき、CSに求められる折衝力のある人材をはじめ、より貴社のニーズにマッチした人材をアサインします。

さらに顧客単価アップ、過去顧客の掘り起こし、顧客ヒアリング、クレーム対応、顧客NPS・満足度調査&分析、競合比較・動向調査&分析、CSフロントの教育体制構築、CSオペレーション構築といったCS部門特有の課題についてひとつひとつ解決しながら、外注体制を作ることができるのも大きな特長です。

私たちの強みは、CSに特化している点です。CSにおける長年の経験とノウハウを活かし、お客様の課題に合わせて最適なソリューションを提供しています。

――他のBPOサービスなどとの差別化ポイントはどこにあるのでしょうか?

鎌田:他のBPOサービスとの大きな違いは、CSに特化している点とCSの仕組み化支援でノウハウの移植を徹底している点です。多くのBPOサービスは、カスタマーサポートやインサイドセールスなど、複数の業務を扱っていますが、私たちはカスタマーサクセスに特化することで、より深い専門性とノウハウを提供できます。

また、私たちは単に業務を代行するだけでなく、お客様のビジネス成長に貢献することを目指しています。顧客の声を収集し、分析することで、お客様のビジネス課題を特定し、改善策を立案、惜しみなく私たちのノウハウをお客さまのチームに仕組み化として伝授することも徹底しています。

具体的なポイントは次の通りです。

①外注体制を整えるコンサルティングのレベルの高さ
数々の現場で培った外注体制を整えるCSコンサルタントは、営業代行やインサイドセールスの代行が兼務するCS代行とは一線を画したレベルの高さであると自負しています。

②顧客折衝ができるCSフロント人材の採用・教育体制
CSフロント人材については、完全に自社で審査し育成しています。顧客折衝など7つのスキルを定義し、9段階で評価。エース級の人材が貴社の顧客対応にあたります。重くて難しい顧客対応であればあるほど、CSのチャンスです。負荷が大きい顧客の対応も安心しておまかせいただけます。

③体制整備から稼働管理・育成まで、難しい対応でもまとめておまかせ可能
プロ人材・副業人材の紹介サービスと異なり、SuccessBoxは体制整備から稼働管理・育成まであらゆる業務をまとめてご発注可能です。

④成功するCSの“型”が自然と身に付く
短期の成功・成長につながるリソース確保の後に鍵を握るのは、中長期の持続的な成長を実現するナレッジや再現可能な“型”のトレースです。お客様の一歩先の未来の成長を見据えた一連の伴走支援を通じて、OneBoxが蓄積・最適化してきた成功するCSの“型”を自然に自社に取り込むことができます。

⑤安心の料金体系
SuccessBoxでは、CS人材の募集から面談まで無償でご提供いたします。追加の有償プランの契約の締結がされない限り、何度でも無料にてご利用いただけます。SuccessBoxの魅力を低リスクで感じていただけるよう、はじめやすい・試しやすい料金体系となっております。
1月21日に開設したSuccessBoxのサービスサイトでは、詳しいサービス内容や料金などをご紹介しております。ぜひご覧ください。

CSの未来とOneBoxの展望

――今後、CSは企業の中でどのような役割を担っていくと考えていますか?

鎌田:CSは、企業にとってますます重要な役割を担っていくと考えています。顧客との長期的な関係を構築し、顧客の成功を支援することで、企業の収益向上に貢献できるからです。

各業界において市場での競争が激化し、サービスが拡充され平準化していくなかで、CS部門の成熟度合いが企業の差別化要因となっていく未来もそう遠くないと考えています。

そして、今後は企業内でのCSをやり切ることの重要性が認知され、地位もより向上していくことが予想されます。

一方、CSという職種がとても新しいだけに、世の中を見渡すと人材そのものがまだまだ足りていないのが現状です。

転職サービス「doda」がカスタマーサクセスやインサイドセールスを「新しい時代に求められる営業職」と定義し、その求人数を調べたところ、2019年〜2022年の3年間で実に12倍に増加したとのことです。これは2022年の調査ですので、現在ではさらに増加していると見ています。

出典:転職サービス「doda」、「第3回”新しい時代に求められる営業職”に関する調査」を実施「インサイドセールス」「カスタマーサクセス」職のテレワークが可能な求人は3年間で約4倍に上昇~フリーワード検索ランキングでも上昇傾向に~ 転職サービス「doda」ニュースリリース(2022年2月24日) 、グラフカラーのみ当方で改変

実は、CSは営業職からのジョブチェンジが多いです。SuccessBoxのワーカーへは、法人営業経験者がCSにジョブチェンジできるように体制を整えています。

CS自体が新しい職種であり、新卒がゼロから目指すキャリアパスがそもそも確立されていないことが背景にあるのは間違いないでしょう。

ーーどんなジョブチェンジの形があるのですか?

例えば、新規開拓の法人営業経験を3年以上積んだ後、お客様に価値を届ける業務をやってみたい、もっと心からおすすめできる商品を取り扱いたいといった思いからCSにジョブチェンジしたワーカーは、気配りができてカスタマーサクセス向きな性格であることもあり、SuccessBoxの厳しい審査を通過した後に、CSフロントとして大活躍しています。

OneBoxでは、これまでのCS支援の実績やナレッジを土台とした育成体制やキャリアアップ支援があります。グレードを基にした評価制度と育成体制を整えており、CSフロントから開始してグレードアップ後に、CSフロント(プロ路線) / CS企画 / CS分析 / CSマーケとキャリアの選択肢を持つことができます。

こうした育成の仕組みを持っている会社は実際にそれほど多くはないはずです。

――個人のビジネスパーソンにとって、CSというキャリアはどのような価値がありますか?

個人にとっては、CSへのニーズの急速な高まりを受け、時代にあったキャリアの選択肢をさらに広げるという意味合いが大きいと思います。

CSのキャリアは、よく比較されるカスタマーサポートのような受動型のサポート業務と比較して、能動的に他部署と連携して利益を追求していく能力が求められるため、顧客対応、マネジメント、企画、データ分析など、多様なキャリアパスがあります。

CSとしてのキャリアに限らず、営業マネージャーやCSマネージャーなどのマネジメント職、戦略を練る企画職、顧客のデータ分析をする技術職などカスタマーサクセスを経験した先に広がるキャリアは多岐に渡ります。

また、カスタマーサポートのような後方支援業務と比較して、フロントに立ってお客様の事業価値をともにブラッシュアップしていくことで、お客さまからの信頼や感謝の言葉などを頂く機会の多いやりがいのある仕事といえます。

誰かの役に立ちたい、喜ぶ顔が見たいなど、人間の根源的欲求を満たしてくれるような仕事でもあります。お客さまのことを思って試行錯誤するのは楽しくもあり、苦しくもありますが、やはりお客さまからの賛辞や感謝の言葉は、大変さが吹き飛ぶほどの原動力になりますよね。

――OneBoxの今後の展望を教えてください。

鎌田:OneBoxは、「商売をもっと楽しく」というビジョンを掲げています。やはりまずはカスタマーサクセスに携わる人たちが自分の仕事を楽しいと思えるような環境を作っていきたいと考えています。

働くことを楽しめる人が増えて、その楽しさが周りに伝播していくことで、活力のある社会、元気な日本社会を創り上げる一助になりたいですね。

具体的には、以下のような展望を抱いています。

  • 人材育成:独自に研究開発した実践的なカリキュラムでカスタマーサクセスの専門家を育成し、業界全体のレベルアップに貢献します。

  • CSの地位向上:社内下請けになりがちなCSを、 企業の重要なプロフィットセンターとして他部門とフラットに連携が取れるような地位の確立を支援します。

  • 地方創生:オンラインを活用した働き方ができる点を活かして都市部だけでなく、地方在住者にとっての新たな職種としての確立を模索していきます。

CSのリーディングカンパニーとして、お客さまの商売をもっと楽しく、そしてそこで働く方々が活き活きと自己実現して成功(サクセス)できるように、私たちが先陣を切ってCSの追求と体現に努めていきたいと思います。

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