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ほとんどの離職防止策が“的外れ”である理由
「今月もまた離職者がでました!どうしましょう?」
「原因とか分かってるの?」
「私には差しさわりのないこと言ってましたが、同僚に聞くと、上司に不満があるみたいです」
「じゃぁ管理職・リーダー向け研修探してみようか…」
人事担当のみなさんは、離職防止に「管理職やリーダー向けの研修」が効果がありそう?と思いつつも、具体的にはどんな研修を選べばいいかで悩んでいるのではないでしょうか?
しかし、残念ながら、多くの離職防止研修は効果がありません。それは、“本質的な原因”を無視しているからです。
今回は、多くの離職防止研修が的外れである理由と、人事担当者だからこそ行うべきアクションについてお伝えしたいと思います。
■「管理職・リーダーの能力アップ」だけでは意味がない
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多くの研修は対話・会話の方法やコミュニケーション能力のスキルアップを中心に行います。確かにコミュニケーションは大事。
なぜなら、以前の記事でお伝えした「待遇以外に人材を定着させる6つの要素」を職場に作るには、コミュニケーションは必須のツールだからです。
しかし、重要なのはココから!
彼らは研修で学んだコミュニケーションを必死に職場で使うことはほとんどありません。
なぜなら、多くの管理職やリーダーにとって、離職率が改善しようがしまいが、業務が回る限りは自身の評価を下げることはないからです。
私が多くの離職に悩む中小企業を見てきた経験上、離職率の高い企業には下記の共通点があります。
離職率を数値で把握してない
離職率が上司の評価項目に入っていない
現場の状況を知らない上層部からの評価が結局すべて
つまり、管理職・リーダーがどれだけ自身の評価を重視しているかに関わらず、”業務さえ回っていれば、わざわざ必死に離職防止に取り組む必要がない”ことが根本原因なのです。
■的外れなのは「離職対策が自分ごとになる仕組み」を作らないから
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私の研修にくる管理職・リーダーの中には「忙しいのに、行けと言われたから渋々きた」というスタンスの方も少なくありません(笑)
離職防止が実績として評価される仕組みがない以上、彼らからすると「人材をグリップして生産性の高い職場を作るスキル」は、言葉で効くよりも価値の薄いスキルなワケです。
ですので、効果的な離職防止には、以下の3つの取り組みを同時に行うことが重要。
「人材を定着させる6つの要素」を学ぶ研修を実施
管理職・リーダーの評価項目に「離職率」や「部下からの評価」を盛り込む
(人事が旗振りをして)経営上の優先順位が高いことを通知する
接していると管理職・リーダーは「自分は仕事ができる」という自負とプライドを持っている方が多いと感じます。
それは裏を返すと、「仕事ができる」という評価・認識に、職場の離職率や部下からの評価が含まれていないことに他ならないのです。
■「研修+コーチング」がおススメ!
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多くの離職防止研修で教えているコミュニケーションのスキルは、職場に「人材を定着させる6つの要素」を作る大事なツールですが、道具である以上、知識があることよりも“使い方”が圧倒的に重要です。
特に、職場で実践した際の『効果』を、管理職やリーダー自身が確認することが難しい。
なぜなら、職場のメンバーが管理職やリーダー、上司に忌憚のないフィードバックを返すことはまずないからです。
だからこそ、メンバーとの間に立って、離職防止の施策を現場に一緒に作り上げていく伴走者が必要なのです。
■まとめ
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離職防止研修を受けること自体は一歩前進ですが、それだけでは不十分。
管理職やリーダーが離職率を自分ごととして捉え、具体的なアクションを起こすための環境を整えることが、今人事担当者に求められている役割なのです。