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「数字で考える」は武器になる(読書メモ)

数字が「理解できる」から「使える」に変わる1冊です。

本書はリクルート時代に「KPI」「数字の読み方」の社内勉強会を約11年間担当した著者が、数字を使った「仕事の考え方」「データの見方」を解説した1冊となっています。

統計学などの専門知識を使わず、四則演算を使ったアプローチのため、即実践できる内容です。

全体的な感想としては、
・正しい数字の見方、分け方
・あらゆるものを数値化する重要性
・ビジネスシーンにおける数字の活用方法

などが勉強になりました。

では、いつも通り印象に残った内容をピックアップしていきます。

Speed is Power

著者の主張に全面同意で「仕事が速い」はめっちゃ武器になると思います。個人的には量・質以上に速度を大事にしています。

「仕事が速い」というのは、周囲から「仕事ができる」と思われる、とても重要だけれど簡単な方法なのです。私は、これをSpeed is Powerと呼んでいます。
一般的に仕事の成果はQDCで評価されます。Qは成果物の品質、 Qualityです。Cは投下したお金や時間などのコスト、 Cost。Dは納期、 Deliveryです。翌日、あるいは 2、 3日後というのはDが短い、早いということ。納品が早いと人は感動します。 Speed is Powerです。
Speed is Powerを実践していない生産性の低い人の大半は、「納期で管理」だけをしています。そして生産性の高い人は「納期と工数の両方で管理」しています。

「平均的な人」なんて存在しない

平均に限らず、パーセントなど使い方によっては実態以上によく見えたりするので注意が必要ですね。

平均売上380万円と比較すると半分以下の月間売上100万円から150万円に半分弱の人数の営業担当が存在しています。そして、残りの半分強は平均売上380万円より2割程度多い450万円から500万円に存在しているのです。そして、この2つのグループを平均している380万円にはだれ一人該当する営業担当がいません。つまり、平均値としての380万円は数字的には正しいのですが、月間売上380万円の営業担当は存在しないのです。
平均のもとになっている分散の数値を確認することで、現象のリアルに迫ることができます。ぜひ、平均値を見たら、分散を確認する習慣をつけてください。

「売上が高くても利益がゼロ」を防ぐには

現在の自社における課題をまんま指摘されました(笑)。社員全員が売上思考から利益思考へのシフトするためにも、実態把握と見える化は大事ですね。

顧客別の売上から原価を除いた粗利益までは見ている会社も多いと思います。その粗利益から一定のルールで配賦(部門や製品を横断して発生する費用の配分処理)した一般管理費を引いた営業利益まで管理している企業は少ないのではないでしょうか。
特定の大口顧客などでは、関係者の工数も多いことに加えて、値引きが大きいために結果として営業利益が赤字の場合もあるのです。赤字だとするならば、何のためにその顧客に特別対応しているのか分かりません。しかし、売上しか見ていない組織ではよくあることなのです。

経営者が、固定費より変動費を好む理由

意外とこの辺を理解できてない経営者は一定数いそうで怖い。

固定費とは「売上の増減とは無関係に支払わなければいけない費用」のこと。一方の変動費は、「売上と連動して支払わなければいけない費用」のことを指します。売上が増えれば、それに合わせて増加する費用ということです。逆に言えば、売上がなければ、変動費は払わなくてよいということです。  
先に結論を書くと、経営者は同じ費用を使うのであれば、いかにして固定費を下げ、変動費の割合を増やすかということを考えているのです。つまり同じ 100万円を支払うにしても、固定費の割合を下げたいと考えているのです。なぜか?  
それは経営者が、うまくいかなかった場合のことを考えているからです。
大雑把に覚えておいてほしいのは、事前に売上が想定以上に見込めるケースの場合は、固定費を高めに設定して、利益がより多く得られるような体制を構築すればよいのです。具体的には、すべて自前で準備するなどです。  
しかし、事前に売上が想定通り見込めない場合(大半がそうでしょう)は、できる限り変動費を高めに設定してリスクに備えることが重要なのです。

損益分岐点を下げる3つの方法

効果で見ると、「固定費を下げる>価格を上げる=変動比率を下げる」とのこと。わかりやすい説明で勉強になりました。

1つは売上のグラフの傾きを上げる方法です。傾きを上げると、損益分岐点を表す交点部分は、左側に移動します。具体的な施策としては、傾き =商品の単価ですから、単価の値上げをしたり、値引きを改善したりするわけです。
2つめは固定費を下げる方法です。固定費の中の無駄を省き、単純に固定費を削減する。あるいは固定費を変動費にする。たとえば自社に保有するのではなく、利用する都度支払いするように変えるなどが考えられます。
3つめは、変動費のグラフの傾きを下げる、つまり商品 Aを販売するのにかかる変動比率を下げるわけです。すると損益分岐点を表す交点は、左に移動します。これには単純に発注価格を下げる方法も考えられますし、あるいは業務フローを見直して、無駄な工程を省く、合体させるなどして、安くする方法などもあります。
ちなみに、3つの方法「価格を上げる」「固定費を下げる」「変動比率を下げる」のうち、どの方法が損益分岐点を下げるのに最も効果があるのでしょうか?  
詳細は省きますが、最も効果的なのは、「固定費を下げる」なのです。優秀な経営者は常に損益分岐点を下げたいと考えています。つまり、優秀な経営者は「固定費を下げる」ことが最大の関心事なのです。これを覚えておいてください。

その費用は投資かコストか

コストは「あなたが効果を計算していない費用」という主張は自分に言われてるようでグサッときました(笑)。でも、その通りだと思います。あらゆるものを数値化する習慣は必要ですね。

たとえば ROIが 1倍以下である場合は、投資よりも効果が小さいことを意味します。そのような施策は意味がありませんので、絶対に実施しません。当然です。 1倍を超えるのは必須です。  
しかし、実際は、想定通りに施策が進まないケースも少なくありません。ですので、 ROIは、その施策がうまくいかない危険性も考慮して割引する必要があります。たとえば、計算上の ROIを 5割の「危険率」を掛けて計算します。 ROIの数値が 2倍で、その危険率が 5割であれば ROI = 2 ×危険率( 5割) = 1となります。
企業が使用するお金、費用は2つに大別することができます。投資とコストです。この2つの違いを理解して費用のコントロールをすることが必要です。投資は効果が計算できる費用。コストは効果が計算できない費用です。コストを正確に表現すると、「あなたが効果を計算していない費用」です。
会社にはたくさんの無駄があります。一例を挙げると、資料作成や会議。ただし、それに対して無駄な資料を作るな、無駄な会議をするな、と言っても人は動きません。そこで、お金に換算して無駄を「見える化」してみましょう。すると ROIが明確になります。結果、人は無駄を削減しようと考え出すのです。つまり行動変容しやすくなるのです。

顧客満足度とロイヤルティの注意点

実は顧客満足度とロイヤルティは必ずしも相関関係ではないという話。こういう先入観は他にもありそう。

確かに、顧客満足度が高まるとロイヤルティは高まっています。しかし、その関係性はいくつかパターンに分類されるのが分かります。具体的には、顧客満足度が高くなってもあまりロイヤルティの数値が高まらないグラフ。もう一つは逆に顧客満足度が低くてもロイヤルティが高いグラフ。  
何が違うのでしょうか。違いは「代替商品への変更が容易かどうか」です。  
マーケティング用語ではスイッチングコストが高い、あるいは低いといいます。スイッチングコストが高い商品とは、代替商品が少ない、あるいは、あったとしてもそれに変更する手間やコストがとてもかかる商品です。

未経験分野でリーダーに就くときのタイムマネジメント

個人的にはDay30の1on1がポイントだと思っています。自分を知ってもらうと同時に、メンバーごとのモチベーションや組織課題の吸い上げをどれだけできるか。これ次第で以降の改善速度が変わる気がします。

Day 0 :組織を取りまく現状把握
Day 1 :私が何者であるのかを伝える
Day 30 :メンバー全員との1on1ミーティングと組織の主要メンバーと事業計画の達成確率の確認
Day 100 :短期成果を上げることで、経営陣とメンバーからの信頼を得て、長期成果が出続ける仕組み作り

伝える単位を変えるとチームは動く

リーダーのあるべき姿だなと純粋に思いました。イメージの共有や合意形成が得意なリーダーは数字での説明がうまい印象です。

ある期末の話です。私が担当するグループは幸い目標達成できていたのですが、 Oさんのグループは、期末 1週間を残して、 2週間分の大きな目標数字を残していたのです。まさに絶体絶命の崖っぷち。通常の思考であれば、目標達成はほぼ無理でした。  
ところが Oさんだけは、あきらめていません。大きな残目標数字を因数分解して、メンバー一人ひとりが持てる大きさにしたのです。  
その結果、あきらめていたメンバーが息を吹き返し、目標達成に向けて行動し出したのです。まさに「思考が変わると行動が変わる。行動が変わると結果が変わる」を体現したのです。
因数分解、つまり持てる大きさにすることは、メンバーと一緒にミラクルを起こすきっかけになるのです。

4P(マーケティングミクス)の活用方法

恥ずかしながら言葉だけの理解でしたが、「4つのPの整合性をチェックするフレーム」という事例を踏まえた説明でかなりクリアになりました。

売れている商品は、この 4 Pに「整合性」があります。高額な商品を販売する場合は、高額( Price)な商品( Product)を取り扱うメディア( Promotion)を使い、適切な販売チャネル( Place)を活用します。これに整合性がないと売れないのです。

ミスゼロを目指す日本、ミスはある前提で考える諸外国

日本の過剰品質問題。実際に自社も同じ問題に直面していて、コストメリットがある海外製品のシェアが伸びてきてます。国全体で根本的に考え方を変えないとダメな時期かもしれません。

6 Σから学んでほしいのは、ミスは起きると考えるか、起きないと考えるかという思想です。製造業であれば、最終的には 6 Σ程度に抑えたいと思っています。非製造業であれば製造業ほど、繰り返し業務がありませんので、 6 Σではなく 5 Σや 4 Σ、場合によっては 3 Σくらいかもしれません。  
私は、ミスは起きると考えています。 6 Σから、ミスを「見える化」して、一定量のミスは許容するという思想を知ってください。

まとめ

以前に別の投稿でも書きましたが、数字で考える力はあらゆるビジネスシーンで武器になると経験を通じて確信しています。

また「数字で判断」と聞くとドライに感じるかもしれませんが、数字を使うことで心情面の納得を得られることも多く、ビジネスパーソンの必須スキルと言えるのではないでしょうか。

職種問わず数字で考えることに苦手意識がある人にはおすすめです。

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