落合陽一 『これからの世界をつくる仲間たちへ』 書評
たまにはまともな記事も書かないと見離されそうなので、書評やりますね。
こないだ読んだ一冊、『これからの世界をつくる仲間たちへ』をちょっと備忘録的にまとめてみます。
俺自身はこの本のターゲット層にはいないと思うんですが(もっと若ぇのがターゲット)、落合陽一、この人は何を語る人なのかということを知る意味で入門編として選んだ。読んでみればなるほどおもしろい。「現代の魔法使い」が何をどう見て考えているかの視座に、おう、なるほど、と教わる。
近代の産業革命の折、マックス・ウェーバーが「脱魔術化」と呼んだ現象、つまり「まじない(=理由はわからないけど結果が使えること)に説明がつく」現象、これが二十世紀まで続いたと。例として食品に火を通すと長持ちすることが挙げられている。パスツールが腐敗の原因である細菌を発見するまでは、なぜ火が食品を腐りにくくするのかは「まじない」ないし「魔法」であったこと。
この脱魔術化の時代ののち、現代へ至ると「再魔術化」が現れているという。「なぜそうなるのかわからないこと」が増えている。例として交通系ICカード、Siriなどの技術がブラックボックスとしてあり、それを消費者は仕組みがわからないながらも使っている。このブラックボックスが生産者にしかわからないという魔術。そしてその裏側にいるのが魔術師、魔法使いであること。ここで魔法使いというとき、その人物は「暗黙知」を持った「クリエイティブ・クラス」である。
この暗黙知とは「誰も盗むことのできない知識」であり、クリエイティブ・クラスとは「創造的専門性を持った知的労働者」であるとまとめられている。
ほんの少しまとめただけでもこんだけの情報量があるんで、興味ある方は読んでみてください。良書でした。
私見ながら、ある程度の幅のジャンルでは、クリエイティブ・クラスになるための道場としてnoteが使えるんじゃないかとは思う。既に道場としての意味合いを超えているプロフェッショナルの方々も多い。プロアマ問わず読んで読まれてというこの場の尊さよ、と思うものであります。