ミモザが織りなす春の香り、イナムラショウゾウへの道
千駄木の仕事場を出て、三崎坂(さんさきざか)を上り、左に曲がると谷中霊園に出る。霊園を横目に眺めながら、朝倉彫塑館の裏手から見上げると屋根の上には女性像、視線の先には何があるのだろうか?
さらに右手、左手とクランク状に角を曲がり、初音小路の手前を右に折れて住宅街を抜けていく。谷中の路地は複雑に入り組んでいる。
目指しているのは「パティシエ ショコラティエ イナムラショウゾウ」だ。住宅街の角を曲がると突然鮮やかな黄色が目に飛び込んできた。
ミモザの花だ。道にかぶさるように咲いている。こんなに早く、色鮮やかなミモザを見たのは初めてかもしれない。
フランスではミモザは春を告げる「冬の太陽」と呼ばれるそうだ。厳しい寒さのなかでほころぶ鮮やかな黄色が太陽をイメージさせるのだろう。
いつからここに根を下ろしているのかわからないが、地元の人たちに毎年春の訪れを告げているはずだ。ひと枝持ち帰りたい欲求にかられる。
ミモザの後ろの建物にイナムラシュウゾウのスタッフが出入りしている。材料などを持ち出しているのを見ると、同店の建物なのかもしれない。
「イナムラショウゾウ」にはミモザがよく似合う。ミモザをテーマにしたケーキがあるかと思ったがなかった。そんなに都合良くはいかない。
店舗や施設だけでなく、周囲の草花や植栽も世界観を醸し出す要素の一つだなあ。そんなことを考えながら店頭の列の最後に並んだ。
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