戦国武将「武田信玄」の言葉を読み解く 「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵」
織田信長も恐れていたといわれる武田信玄の言葉
僕の故郷は山梨県南アルプス市です。山梨はかつては甲斐国と呼ばれていました。甲斐といえば「武田信玄」、あの織田信長が最も恐れていたといわれる戦国武将です。そういえば、信玄の母の大井夫人は実家近くの出身です。
武田信玄はこんな言葉を残しています。「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵」・・・「人=家臣の持つ能力を十分に引き出し、適時活用すれば、堅牢な城、強固な石垣、深い堀以上になる」と解釈できます。
「情けは味方、仇は敵」は「情けをかけると味方になるが、権力で押さえつけると必ず反発する」と解釈できます。信玄は「信頼してこそ、人は尽くしてくれるもの」とも語ってるように、関係づくりを大事にした武将です。
ファンは相手への強い関心から育っていきます
少々深読みかもしれませんが、経営に置き換えると「人=ファン」とも読み替えられます。「熱狂的なファンは、堅牢な城(企業・店舗)、強固な石垣(仕組み)、深い堀(集客・販売)以上の存在である」。
「情けは味方、仇は敵」は手段です。情けが巡り巡って自分に戻ってくることを「情けは人のためならず」といいますが、情けは「思いやる、いたわる心」。仇討ちという言葉があるように、仇は「恨みや危害」を指します。
情けは「関心」であり、仇は「無関心」につながります。初めての客であっても、関心を抱かなければ、信頼関係は生まれません。無関心のままだと単なる「お金と商品・サービスを交換する一過性の関係」で終わります。
谷根千(谷中・根津・千駄木)はファンづくりのサンプル
谷根千にある仕事場の近くに「よみせ通り」があります。日々の暮らしの品を扱う古くからの店と、新しい感性が散りばめられた店が混在した商店街です。ウチの社員はそのなかの一軒の魚屋さんをよく利用しています。
価格や品揃えだけならば、スーパーマーケットには敵わないかもしれませんが、根強い地元のファンが支えている店です。初めて店を覗いたときに、相当年配のご主人らしき人に声をかけられました。
「この蛸の足、生でも煮ても美味しいよ、480円だけど最後だから280円でいいよ」、蛸好きなので即購入。「お元気ですね、おいくつですか」「僕?91歳、まだ現役だよ」・・・ファンはこういうやりとりから生まれます。