見出し画像

映画『パリタクシー』で、92歳のマドレーヌが語った言葉が心にちくっと刺さった

Prime Videoで『パリタクシー』という映画を観た。ストーリーはパリの中年タクシー運転手が、終活に向かう老女とともに、パリを横断しながら思い出の場所をたどるというものだ。現在と過去が織りなすように描かれている。

タクシー運転手のシャルルを「ダニー・ブーン」、92歳の女性マドレーヌをフランスを代表するシャンソン歌手「リーヌ・ルノー」が演じている(ちなみにリーヌ・ルノーは現在94歳だ)。二人とも実にいい味を出している。

監督は「クリスチャン・カリオン」、同監督の作品を観るのはたぶん初めてだが、思わぬ拾い物だった。ネタバレになるので詳細は書かないが、ナチスの犯罪やDVが背景となっており、ストーリー自体は想像以上に重たい。

マドレーヌがタクシーに乗車すると、二人の会話が始まる。不機嫌な顔のシャルルにマドレーヌは亡き父の格言を語る。それは「ひとつの怒りでひとつの老い、ひとつの笑顔でひとつ若返る。若くありたいなら何をすべきか?」

これに対してシャルルは「いまはどこも怒りだらけだ」と言葉を返す。するとマドレーヌは柔和な笑顔をこわばらせて、「私も怒りには覚えがある。よく知っているわ」・・ここからマドレーヌの壮絶な過去が紐解かれていく。

観終わっても、マドレーヌの言葉は心にちくっと刺さったままだった。怒りではないが、このところ気が重いことがあり、なかなか笑顔にはなれなかったからだ(数日前にひと区切りついて、少しだけ軽くなったけどね)。

それにしても、タクシーをテーマにした映画には名作が多いと思う。ロバート・デニーロの『タクシードライバー』、ヴィゴ・モーテンセンの『グリーンブック』、ソン・ガンホの『タクシー運転手』・・他にもありそうだなあ。

こちらにも映画の記事を書いています

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集