![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157925679/rectangle_large_type_2_d4cf2f7d5495831dd6205169bee1192a.jpeg?width=1200)
映画『パリタクシー』で、92歳のマドレーヌが語った言葉が心にちくっと刺さった
Prime Videoで『パリタクシー』という映画を観た。ストーリーはパリの中年タクシー運転手が、終活に向かう老女とともに、パリを横断しながら思い出の場所をたどるというものだ。現在と過去が織りなすように描かれている。
タクシー運転手のシャルルを「ダニー・ブーン」、92歳の女性マドレーヌをフランスを代表するシャンソン歌手「リーヌ・ルノー」が演じている(ちなみにリーヌ・ルノーは現在94歳だ)。二人とも実にいい味を出している。
監督は「クリスチャン・カリオン」、同監督の作品を観るのはたぶん初めてだが、思わぬ拾い物だった。ネタバレになるので詳細は書かないが、ナチスの犯罪やDVが背景となっており、ストーリー自体は想像以上に重たい。
マドレーヌがタクシーに乗車すると、二人の会話が始まる。不機嫌な顔のシャルルにマドレーヌは亡き父の格言を語る。それは「ひとつの怒りでひとつの老い、ひとつの笑顔でひとつ若返る。若くありたいなら何をすべきか?」。
これに対してシャルルは「いまはどこも怒りだらけだ」と言葉を返す。するとマドレーヌは柔和な笑顔をこわばらせて、「私も怒りには覚えがある。よく知っているわ」・・ここからマドレーヌの壮絶な過去が紐解かれていく。
観終わっても、マドレーヌの言葉は心にちくっと刺さったままだった。怒りではないが、このところ気が重いことがあり、なかなか笑顔にはなれなかったからだ(数日前にひと区切りついて、少しだけ軽くなったけどね)。
それにしても、タクシーをテーマにした映画には名作が多いと思う。ロバート・デニーロの『タクシードライバー』、ヴィゴ・モーテンセンの『グリーンブック』、ソン・ガンホの『タクシー運転手』・・他にもありそうだなあ。