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野口恒生
2019年12月31日 09:14
ま遠く オルガンの音(ね) 小学校舎から 運ばれてくる 子供たちの 歌唱(うたごえ) 腕のなかに 眠りから覚めて 彼女が微笑む ふたりきりで この部屋に 目覚めることの しあわせ ゆるやかに たわむ薄むらさき
2019年7月3日 09:57
貴女が微笑んで 小首を傾げると テーブル脇の 棚に置かれた 一輪挿しの水引草が その髪にかかる すぅーっと二本 きらめいてそれは 簪のよう まだ間もない 二人の会話が 水引草に沿われるように 澪標を伝い 滑っていく ときおり ちらちらと 揺曳する 細かな紅に 照らされたりしながら
2019年7月3日 15:44
こたえて くれなくて いいんだ ただ そこに いてくれるだけで わかってほしい だけど かんたんにわかるよと いってほしく ないんだ ただ そこにいて いてくれるだけで いいんだ 木がそこにあるように
2019年7月3日 16:25
涼しい目もと という表現の適格さを あなたに逢って 初めて知った 翳つくる長い睫毛 見つめられるたび 風が渡る僕の草原 見晴るかす遥か うねる波 緑の光がきらめいて どこまでも続く
2019年8月18日 06:20
樫の巨木(き)が在る かつて この地に 独りの巨人(ひと)の 席捲(せき)したことを 偲ばせて 地に巨人(ひと)はあまり 立ち尽くし 時劫(とき)のかたへ