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『小説』永遠に宇宙に~さよならは言わない~ 2章 第14話

「おいでやす、女将さん!!いらっしゃいましたよ?」
龍次「先に部屋に通してくれないかい?女将とは部屋で話しをするから」
「畏まりました、ではこちらへ」
スタスタスタ
龍次「今日はどの部屋なんだい?」
「霧の間で御座います」
虎次「おォ霧か」
龍次「久し振りだね?」
虎次「俺の1番好きな部屋だ」
スゥ~~~~
「どォぞ中でお待ち下さい」
スタスタスタ┄┄ドスドス、トスットスッ、ドスッ
ニーナ「落ち着いた良い部屋だわ」
サラ「うん、素敵な部屋だね?」
龍次「この部屋が1番和を感じられるんだよ」
スゥ~~~
由姫「挨拶が遅れました、女将の由姫(ゆき)です、本日はご贔屓にして頂き誠にありがとうォ御座います、本日は確りと努めさせて頂きますので」
虎次「堅ェ堅ェって織姫(おりひめ)ちゃん、俺達にはいつも通りで良いって」
由姫「もォ嫌だわァ虎さんったらァ、昔の源氏名で呼んでェ、折角練習したのにィ」
虎次「アハハハハ、姫っちには似合わねェって」
由姫「もォ!!これでも一応女将なのよ?」
龍次「フフフまァまァ、はい由姫さん、いつもの┄些々たるものだけど収めて下さい」
由姫「ありがとォ龍さん、電話以外での物で何かある?」
龍次「虎次は?」
虎次「肉って何があんだ?」
由姫「今日は┄桜と牡丹と鴨で、牛は飛騨、豚は黒、鳥はコーチンだけどさっきドラゴが」
ニーナ(この人もドラゴって)
龍次「由姫さん、全部持って来て構わないよ?」
由姫「ステーキはどォするの?」
龍次「サーロインとテンダーロインをミディアムレアで」
虎次「んじゃ今度は俺のな?」
由姫「タイガは海鮮でしょ?煮付けは鰈か金目」
虎次「んじゃ金目」
由姫「焼きなら鮎か鰆」
虎次「ん~~鮎」
由姫「〆鯖もあるけど?」
虎次「お?忘れてた、出してくれ」
由姫「刺しは広島から牡蠣、北から帆立と鯨、他には伊勢海老と真鯛、黒鮑も仕入れといたわ?船で良いんでしょ?」
虎次「あァ、2葉頼む」
由姫「あ!!ごめんのどぐろがあった」
虎次「出せるなら出してくれ」
由姫「栄螺と鰻のいいむしはタイガだけで良いの?」
虎次「用意出来んのか?急だったから頼まなかったけど」
由姫「電話貰って直ぐに用意した」
虎次「凄ェな、ヤッパ出来る女は違ェぜ」
サラ(何かムカつく┄何で虎時はあの女に優しく)
由姫「ご飯はドラゴの好きな五穀米で良いんでしょ?」
ニーナ(ドラゴの好きな食べ物まで)
由姫「飲み物は?ドラゴとタイガは枡をお冷でしょ?お連れ様は?」
龍次「そォだね?何にする?」
ニーナ「出来ればワインが良いんだけど?」
龍次「ん?日本食に合うのかい?」
サラ「ママとは良く飲んでたわよ?」
由姫「そォですね?外国人の方は良くご注文されます」
サラ「私は魚に合わせたいから白かなァ、ニーナは?」
ニーナ「私はドラゴの好きなお肉に合わせたいから赤で」
ティム「ワタシジュースデイイデス」
由姫「畏まりました、では少々お待ち下さい」
スゥ~~~
サラ「ねェ!!2人共女将と随分仲が良いみたいだったけど?」
ニーナ「そォね?少し仲が良いってレベルじゃなかったわね?2人の好みも詳しく知ってた」
サラ「そォそォ!!ちゃんと説明してくれるわよね!!」
ティム「ん?2人共何怒ってんだ?」
サラ「煩いティム!!黙ってて!!」
ティム「お、おォ┄┄」
龍次「ハハハ、別に怪しい関係では無いよ?由姫さんは昔銀座のホステスをしていたんだよ」
サラ「あァ~だから源氏名がどォのって」
龍次「俺達は、何度も接待で由姫さんの居たお店を利用していてね?」
虎次「んで姫っちは、ここの若大将と結婚して今は女将って訳だ」
サラ「そォだったんだ┄ニーナ納得した?」
ニーナ「べ、別に私は」
虎次「ここの食事の終わりにな?和菓子が出んだけどよ、姫っちの拘りが凄すぎちまって、和菓子職人を雇っちまう位なんだぜ?」
サラ「へェ~それは楽しみだわ」

サラ「ハア~お腹いっぱい」
ニーナ「もォ誰食べられないわ?」
虎次「龍次、車用意しとくな?」
龍次「あァ、頼んだ」
サラ「ホテルは近いの?」
虎次「いや、今から大阪に向かう」
ニーナ「京都のホテルじゃないんだ」
虎次「今日一日の疲れを残したまま大阪はちっとキツいと思ってな?一気に大阪まで行っちまえば、明日のスタートはゆっくりで良いだろ?」
サラ「そこまで考えていてくれたんだね?」
虎次「ん?行くぞ?ニーナ」
ニーナ「あ、うん」
スタスタスタ┄┄
龍次「由姫さん、今日はご馳走様でした、皆凄く喜んでくれていましたよ?」
由姫「ドラゴの為だもん、これ位当たり前だよ?」
龍次「ありがとォ御座います」
由姫「もォ┄私と2人の時だけは敬語止めて欲しいなァ」
龍次「そォは行きませんよ、あの頃とは違って、由姫さんはもォ個人では無いのですから」
由姫「だァってェ┄┄それってドラゴの所為じゃん」
龍次「そォでしたね?」
由姫「私が何度アプローチしたってさァ┄全然振り向いてくれなかったから」
龍次「それは┄すみません」
由姫「良いよ、知ってるから」
龍次「え?」
由姫「タイガに全部聞いた、だから私は今の旦那を選んだ」
龍次「虎次が?いつ」
由姫「珍しく2人で来た時あったでしょ?ドラゴがトイレに行った時、ちょっと涙が出ちゃってね?それをタイガに見られちゃって┄自分のお客を待たせて私の所に来たんだ」
龍次「あの時か」
由姫「アメリカに大切な人が居て、日本に来るのをずっと待っているだって┄タイガを責めないでね?」
龍次「責める理由がありませんよ」
由姫「ハア┄ヤッパドラゴは私のどストライクだわ」
龍次「ありがとォ御座います」
由姫「綺麗な人ね?私じゃ振り向いてくれない訳やっと分かったよ、あれじゃァ私に勝ち目なんて無い!!」
龍次「そんな事、由姫さんだって」
由姫「ストップ、それ以上言っちゃうと私止まらなくなっちゃうよ?だから駄目」
虎次「龍次!!車来たぞ?」
由姫「さァ行って?」
龍次「はい、あ!!ニーナと言います」
由姫「素敵な名前ね?」
龍次「えェ、では」
由姫「また来てね?」
龍次「えェ、必ず」
タッタッタッタッタッ
由姫「バイバイ龍さん」

虎次「あァ~さっぱりした、龍次も入っちゃえよ」
龍次「そォだね?このメールが終わったら入るよ」
虎次「仕事か?」
龍次「ん?あァ、まァね?」
トントントン
虎次「ん?誰か来たぞ?」
ガチャッ
虎次「んァ?どォした?ティム」
ティム「スコシハナシイイデスカ?」
虎次「あァ、入れよ」
バタン
虎次「座れよ、風呂は入ったのか?」
ティム「YES、ハイリマシタ」
カチャッ┄┄バタン
虎次「ビールで良いか?」
ティム「Thanks」
プシュッ
虎次「で?どォしたんだ?」
龍次「サラの事だろ?」
ティム「え!!」
龍次「フフフ、気付かないとでも思ったのかい?」
虎次「俺達ァ直ぐ気付いたぞ?」
ティム「ワタシタチハイトコデス」
虎次「血は繋がってねェだろ?」
龍次「まァそれだけではないんだよね?でもティム?サラは今大きな夢を持って、遠い国に来ているんだよ?」
ティム「ハイ」
虎次「まァ離れちまう伸のは寂しいし辛ェよな?」
ティム「ハイ」
虎次「でもよォ┄お前にだってでっけェ夢があんじゃねェのか?」
ティム「ハイ、アリマス」
龍次「君の夢も簡単じゃないよ?他国の文化を自国で行うんだ、並大抵の努力では成せる事じゃないんだぞ?」
ティム「┄┄┄┄┄┄」
龍次「まず優先す可き事は?」
ティム「ワカテマス」
虎次「安心しろ、サラがアメリカに戻るまでは、俺がちゃんと守ってやる」
ティム「サラトワカレルノハツライデス┄デモ┄┄トラジトリュウジトワカレルノ、モットツライデス、フタリハワタシノオニイチャンミタイニ」
龍次「そォか、確かティムは一人っ子だったね?」
虎次「悪ぃ、俺達には気付けない悩みだった」
龍次「うん、俺達は産まれる前から兄弟たったからね?」
虎次「でもな?俺だってティムの事弟の様に思っているんだぞ?」
ティム「ホントデスカ?」
龍次「アメリカに戻っても好きな時に連絡してくれば良いから」
虎次「あ、先にメールの方が良いな?」
ティム「ドシテデスカ?」
虎次「時差があるだろ?電話来て、爆睡してたら出れねェじゃねェか」
ティム「ア、ソデスネ?」
龍次「俺達は君のお兄ちゃんだ、気にしないでいつでも連絡しておいでよ?」
ティム「ハイ!!アリガトウ、オニイチャン」
虎次「んじゃァ明日に備えて今日はもォ寝ろ」
龍次「そォだね?明日は君に取ってとても大切な日になるのだから」
ティム「ワカリマシタ、デハオヤスミナサイ」

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