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ゲシェンク〜ちょっと意地悪、でも楽しい大人のゲーム

皆様おはようございます、こんにちは、こんばんは。
前回の記事「趣味にボードゲームをお勧めしたい5つの理由」が想像以上に皆様からご好評をいただけて、すっかり大喜びの18toyaこと冬夜です!感謝、感謝!圧倒的感謝です!!☺️🙏✨✨✨


これはボードゲームに興味をお持ちで「趣味にしてみようかな?」と思ってる方が結構いらっしゃるという事でしょうか?
それともボードゲーマー仲間が意外と楽しく読んでくれたという事でしょうか?
どちらにしても望外の喜びです!!^^

さて、上記記事のご好評に大喜びしてしまった私としては早速ゲームをご紹介したい!!😆

という訳で今回の記事では

ルールはそこまで複雑ではないのに駆け引きや心理戦を楽しめる、大人同士で遊ぶのに相応しい「嗜みとしてのボードゲーム」

となる1本を皆様にご紹介したいと思います!


と言っても、私の記事ですので多少の捻りがございまして。
初心者向けボードゲームとしてよく紹介されるゲームって、割とパーティーゲームだったり、ファミリー向けのゲームが多い気がするんです。私だけでしょうか。

でも、入り口になるようなゲームが欲しいのは、上記のような層ばかりとも限らないですよね?こんな声もあるのではないでしょうか。


「うんうん、そういうのも良いんだけど、40代50代とかが遊んでも違和感がない大人な雰囲気のゲームで、ルールは複雑じゃないのに人の性格とかが滲み出るような、しっとりしたボードゲームって無い?」


勿論あります!そのお言葉、待ってましたとも☺️✨


そんな訳で、本日はルールはシンプルながら大人の駆け引きを楽しめる傑作ゲーム「ゲシェンク」をご紹介しましょう!


本日のお品書き:ゲシェンク(Geschenkt)


プレイ人数は3~7人。かかる時間は1ゲーム30分程度です。

準備

この作品では3〜35の各数字が1枚ずつの、計33枚のカードを使います。
33枚をよくシャッフルした上で、カードの中身を見ないように9枚を脇に避け、24枚の山札を作ります。
各プレイヤーは、遊ぶ人数によって7〜11枚のチップを受け取ります(詳しくはルールブックをご参照ください☺️)。
これで準備は完了。


ゲームの流れ

マイナス点をどうやって避けていくかのゲーム

このゲームはいかにマイナス点を取らずに逃げ切るか、というゲームです。
先ほど準備した24枚のカードは3~35の中から9枚、何が抜けているか分からない状態ですが、どんなカードであってもその数字は、あなたのマイナス点になってしまう。

ですので、なるべくカードは引き取らない方が良い。特に大きい数字のカードは

では、どうやってカードの引き取りを避けていくのか。

ゲームは、誰がスタートプレイヤーになるかを適当な方法で決め(大抵はじゃんけんになるでしょう)、24枚の山札からカードを1枚捲って始まります。

例:最初のカードが14だった

例えば
あなたを含めた6人で遊んでいて、チップは1人9枚。
あなたがスタートプレイヤーで
捲ったカードが14だと仮定するところから始めましょう。

箱に入っているのは最初に脇によけた9枚。

あなたはそのカードを引き取りますか?そのカードを引き取るといきなりマイナス14点を受けてしまいます。あまり引き取りたくはありませんよね。

自分の番で出来ることは2択です。
「カードの引き取りを断るために自分のチップを1枚、カードの脇に置くか」または「カードを引き取るか」です。

あなたの手元にはチップがまだ9枚残っています。まだまだ余裕もありますので、引き取りたくないなぁ、とチップを出しますよね。

さて、チップは実は「+1点」の価値があります。
従って、あなたが断った「14」のカードにチップが1枚付いた状態は
「マイナス14+1」でマイナス13点になっています。ちょっぴり失点は下がりました。

そうなんです。カードを引き取る事にした場合、それまでに出された「引き取り拒否のチップ」も一緒に持って行くのです。

こんな調子で最初の1周はあなたを含めた6人が皆「引き取らない」と言ってチップを出したとします。
そして、2周目のあなたの番に回ってきました。
今やカードの失点はマイナス8点(マイナス14+チップ6枚)まで減っています。しかし初めてのゲームでは要領も掴めないもの。あなたは「やっぱり引き取りたくない」とチップを出したとします。

あなたの次のBさんに回る時にはカードの失点はマイナス7点となっています。そろそろかな?仕方ない、貰いましょ!とBさんは拒否を諦め、カードを引き取ることにしました。この時、マイナス14点のカードと合わせて、「拒否のために使われたチップ」もBさんが引き取ります。

Bさんは「最初の1周でチップを1枚使ったが、14のカードの脇に置かれた7枚のチップも手に入れた」。これによって、Bさんのチップは15枚に増えました



チップは点数でもあるが、拒否権そのものでもある

さて、ここでちょっと考えてみましょう。

自分の番で出来ることは「カードの引き取りを拒否してチップをカードに載せる」か、または「カードを引き取るか」です。逆に言うと、チップが無くなったら実質「失点となるカードを引き取る」一択しか選べなくなる訳です。

今、あなたのチップは7枚になっています。つまりあと7回しか拒否できる回数がない。しかしBさんはマイナス14点となるカードを引き取った代わりに、チップは15枚になっています。つまり15回拒否できる権利を持っているということ。

カードは最初の1枚が捲られただけで、まだ山札には23枚もカードが残っています。しかもその中には30番台の「最初に捲られた14よりも、もっともっと引き取りたくない」カード達も混ざっている、かもしれない(最初に9枚、カードを脇によけたことを思い出してください。もしかしたら、30番台のカードが山札にない可能性も無いとは言えません)。

あなたはたった7回の拒否権で、残り23枚のカードの受け取りを全て断り続け、失点の大きいカードを受け取らずに逃げ切ることが出来るでしょうか?


…と考えていくと、何となくこのゲームの骨組みが分かってきたでしょうか。


「カードの引き取りは仕方ない。全部を避ける事は難しそう。でも、どうせカードを引き取るなら、なるべくみんなにチップを出させてから引き取りたい

そんな狙いが頭をよぎるはずです。

勿論、その考えは大正解でしょう。
ただし、同じことを考えている5人のライバルがいることを除けば、ですが。


引き取るべきか、引き取らざるべきか。それが問題だ

みんなにチップを良いだけ出してもらってから引き取りたいのはアナタだけではありません。となると、欲張りすぎると他の人にチップごと取られてしまうかもしれない。

だけど、こんな枚数しかチップが付いてないのに、本当に引き取って良いの?

本作ではこういった自問自答が心の中で繰り広げられる事になります。


カードを引き取ることにはメリットもデメリットもある。デメリットは失点を受けることですが、メリットは「拒否権そのもの」であるチップを獲得できること。

一方で、引き取りを拒否することにもメリットデメリットがある。メリットは失点を受けずに済むこと、デメリットは拒否のためにチップを失う+もし引き取れば得ていたチップを得ることができないという「機会損失の可能性」。


このように、どちらにもメリット・デメリットがある上に「どちらが望ましい」とは一概に言えない選択肢の間に挟まれる状態が「ジレンマ」です。そして、このジレンマこそがボードゲームの醍醐味と言って良いでしょう


実生活でのジレンマは自分の人生に直結する深刻な問題です。だからこそ簡単には決断できないし、後々になっても「本当にこの選択で良かったんだろうか」と不安になることもあります。

しかし、ゲームにおけるジレンマはあくまでゲーム中だけの「時間限定」の話。
しかもゲーム終了時にはその選択が「どうやら合ってたか」「あんまり良くない選択だったか」が何となく分かる。こうした「緊張と解放」を短時間で味わえるのはなかなか楽しいものです。

恐らくボードゲーマーの結構な割合は、このジレンマを1番の面白みと感じているのではないかと思います。実生活では答えなんか出ないか、出ても相当時間が経ってからの話ですからね。こうした「刹那のジレンマ」を楽しめそうなら、あなたはボードゲームへの適性アリ!でしょう☺️


話を戻します。こうして、なるべく損をしないように、なるべくチップを得られるように、大失点を受けないように、参加者はそれぞれ工夫を凝らすでしょう。もしかすると「あ〜次私まで来たら取っちゃうな〜」とか、本当に思っているかどうかは分かりませんが「揺さぶり」をかけてくる人もいるかもしれません。

こうした「損を抑えるための立ち回りを模索すること」「駆け引き」「心理戦」はどれも本作ゲシェンクの面白ポイントです。

更に、他の人の残りチップ枚数も気になります。チップが心許ない人は思わぬタイミングでカードを引き取ったりして想定が崩れる事もありますからね。
「あれ〜最近カード引き取ってなくない?チップもう足りないんじゃないの?」「いやいや、多くはないけどもう少しあるよ?」さぁ、このやり取り、本当のことを言ってるでしょうか?🤣


こうした腹の探り合いをしながら、いよいよ更なる核心のルール、連番処理について触れていきましょう。


数字が連番で続いている場合、マイナス点は最小の数字分だけになる

表題の意味、ピンと来るでしょうか?
分かりやすくするため、先ほどの14が引き取られたあと、次に山札から捲られたカードが「15」だったとしましょう。

この15、普通の人にとってはただの「マイナス15点」の厄介なカードに過ぎません。しかし、14を引き取ったBさんにとっては違う意味を持つ。なんと、Bさんは15を取っても14と「連番」になるので「一切マイナスが増えない超美味しいカード」になるのです。

最初のスタートプレイヤーはあなたでしたが、次のカードからは「1つ前のカードを引き取った人」がスタートになります。つまりBさんです。

Bさんはこの15、取っても痛くも痒くもありませんよね。チップを出すのも勿体無いし、さぁいきなりカードを引き取ってくれるでしょうか?


お分かりですよね?勿論そんな事にはなりません。
Bさんはニヤニヤしながら「いやぁ、まだ受け取れませんよね」とチップを出して引き取りを拒んでくるでしょう。

他のみんなも「ですよね〜」と諦め顔になるでしょう。

ゲシェンクはこの瞬間が楽しくてニヤケが止まらない


ここでポイントになるのは「Bさんは別に引き取っても引き取らなくても良い」という事。
確かにBさんにとっては15はマイナス点が全く増えないカードなので、そもそも「引き取っても損はない」。その上、みんなが引き取りたくないカードなら何回もチップを他の人に出させてから最後に自分が引き取れば「美味しみ」しかない。
しかし、もし他の人が引き取ってくれてもそれはそれで「他の人の失点になるので悪くない」。
つまり他の人とは立ってる場所も見えてる視点も違うのです。

他の人にとってはそうはいきません。単純にこのカードを引き取ればマイナス点なのですから。


そんな訳でここでは、あなたの前のプレイヤー達はチップを出して、引き取りを拒んでいったとしましょう。

さぁ、三度あなたの番です。
今や15の脇にはチップが5枚置かれています。つまりマイナスは10点まで減っている。
しかも引き取る事にすればチップを5枚回収できる。今、あなたの手元にはチップが7枚。残り山札22枚を戦い抜くには心許ない枚数じゃないでしょうか?

第一、あなたが15にチップを出して受け取りを拒否したらBさんはどうするでしょう?これは火を見るより明らかです。「うわぁ、私のためにこんなにチップくれるの?ありがとさーん」と故坂田師匠のモノマネをしながら6枚のチップが載った15を意気揚々と引き取るでしょう。

最初の拒否にBさんは1枚チップを使ったものの、6枚のチップを取れれば5枚の得。マイナス無しのカードを取ってチップまで持っていくなんて、あなたには許せますか


結局、あなたはカードを引き取る事にしました。マイナス15点のカードを引き受ける事にはなったものの、チップは+5枚の12枚まで回復しました。今後、数字が大きい嫌なカードが出ても、少しだけ心の余裕を持って拒否する事が出来るでしょう


ゲームの終了

このようなやり取りを山札の24枚が尽きるまで繰り返し、最後のカードが引き取られたらゲームは終了。最後にカードのマイナス点と、チップのプラス点を足し引きして、もっとも点数が高い人がゲームに勝利します

上記した通り、連番の数字はまとめて、一番小さい数字だけがマイナス点になる事に注意しましょう。

ちなみに、一般的には「最もマイナス点が少ない人」が一番点数が高い人になるのですが、ごくまれにプラス点になる場合もあります(私は一度だけ見ました。相当なやり手で運も味方についてましたね😅)。

ゲームが終わったら、みんな一つのゲームで遊んだ仲間同士!お互い健闘を讃え合いましょう!


本作を楽しむための「ここがツボ!」

さて、ゲームの流れを大まかに説明してきましたが、いかがだったでしょうか。

え?連番にワクワクした?
自分が34を握ってて場札が35の時、みんなが苦渋の表情でチップを重ねる中「まだ受け取れませんねえ」とニヤニヤするシーンを想像して失禁しそうになった?

実に結構!本作はこういった意地悪が許される、というよりむしろ意地悪を推奨しているゲームです。本作の原題「Geshenkt」はドイツ語で「贈り物」の意味です。マイナス点ばかりのとんだ贈り物もあったものですが、このタイトルの意味を知ってニヤリと出来たあなたは、大人の楽しみを知っている紳士淑女とお見受けしました!共にこのゲームを心ゆくまで楽しみましょう! 笑

ただし!

意地悪し放題になるのは「全員が共通見解を持っている場合」の話です。
そのためには最初の導入でこのゲームの本質をしっかり伝えておく事が「何よりも」大事です

私は本作のルール説明をする前に必ず「このゲームは汚い大人のためのゲームです!」と言い切るようにしてます。むしろ、優しい人でも意地悪な大人を「演じる」くらいのつもりで良いので、人に苦渋の選択を迫ってニヤニヤして欲しい! 🤣
この事を最初に伝える事で「楽しむためだから…!」とエグい選択を他人に迫る事もできる、そんな気持ちで本作を楽しんで欲しいのです。


そして、本作を楽しむためにもう一つ大事なこと。
それは「ゲームが終了したらノーサイドの精神」です!

ノーサイド精神はどんな場面でも大事ですが、
ゲシェンクみたいな「ちょこっと意地悪するゲーム」では特に大事かもしれません。

ゲームを遊んでる最中は勝ちを真剣に目指した方が面白いし、そのためには意地悪な手も打った方が良い。その結果、誰かが大量失点をする事もあるかもしれない。でも、それはお互い様。1回のゲームで上手くいったからといって、次はさっきの勝者が負けるかもしれないんです。

勝っても負けても、終わった後は爽やかに。
参加者の大人力が試されるのは勝ってる時ではなく「大量失点を受けた時」「負けた時」。そんな時こそ、皆様の大人力を見せつけてやってください!

「いやー負けたわー!負けた負けた!」と明るく敗者が笑い飛ばせた時。
そのゲームを最後まで楽しく過ごせたのは敗者のおかげとなり、その人がゲームの最大の功労者となる。と、私は思います☺️


最後に

意地悪をしたりされたりするゲームは多分ファミリーで遊ぶにはマッチしてないと思うんです。パーティー風に遊ぶにも、相手次第では気を悪くしないか、ちょっと心配になることもあるでしょう。そういう忖度は、本作を遊ぶために適した態度とは言えません。

そういう意味でゲシェンクはまさに「大人のためのゲーム」なのです。

意地悪を楽しんで、かつ最後は爽やかに終わる。
そんな大人だけが知ってる楽しみを、この作品で味わってみませんか?^^


以上です!
まず最初に、やり過ぎたかもしれないことをお詫びしておきます!笑
比較的ルールがシンプルな小箱についても熱く語ってしまう癖が私にはありまして…にしても、まさか6千字を越えるとは思いませんでした^^;

なるべく流れや心理をイメージしやすくしたいと思い、具体例なども織り交ぜながらの説明をしたらこの文字数に…反省はしていますが後悔はしてません!🤣

最後まで読んでいただいた皆様には本当に厚く御礼申し上げます!🙏🙏
その上で、もし紳士淑女の皆様が「よし、ゲシェンクやってみようじゃないか!」と思っていただけたのなら、これに勝る喜びはありません☺️✨
もし本記事で心が動く何かがありましたらスキ・フォローをよろしくお願いいたします!明日への活力になります!!

それでは、次の記事でまたお会いしましょう!^^

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