アリストテレスの散歩と僕
「彼は湖のほとりを散策しながら思案した。」「彼はリュケイオンの歩廊を散歩しながら学生に講義した。」アリストテレスの学派が逍遥学派と呼ばれた所以だ。
聞けば、歩くことは脳の血流を増やし、脳機能が活性化することにつながるらしい。アリストテレスが学問の祖と呼ばれるようになった数々の発想は、彼が散歩が思考に与える影響を知っていたから生まれたのか。
僕も歩くことが自分の考えに与える影響を感じ始めた一人だ。
自転車で駅に向かう5分を徒歩で向かう15分に変えるだけで、何かが起こるなんて少し大袈裟に聞こえるかも知れないけど。
アリストテレスのように歴史を変える発想の一つもできはしないけれど、今日の1日の予定を整理することはできる。朝刊の内容を反芻することはできる。ビートルズの曲を聴きながら、歌詞を書いたポールの気持ちを想像することだってできる。
たったこれだけのことだけれど、近頃の僕にはこれだけの情報を整理する時間すらなかったのだと気づいた。自分がどこにいるのか見失わないように、NPCになってしまわないように、今日を生きていきたい。