メッセージの力で勝敗が決まる時代:2024年米大統領選の教訓
今回の米大統領選挙は、政策の内容や実現可能性よりも「伝わるメッセージ」をどれだけ効果的に発信できるかが勝敗を分ける要因となることを改めて印象づけた選挙戦であったと感じる。候補者同士の論戦や討論会、広告やSNSなどのキャンペーン活動は、選挙戦が進むにつれて、主張の正当性や具体的な政策よりも、いかに共感を呼ぶメッセージを作り上げるかに重点が置かれていったと思う。
この点で、トランプ氏のアプローチは非常に効果的だった。ビジネスマンとしての豊富な経験を背景に、巧妙に組み立てたられた彼のキャンペーン戦略は、徹底したマーケティングリサーチとデータ解析に基づき、支持層が抱える不安や不満に的確に訴えかけるメッセージ性を重視したものだった。彼の言葉は聴衆の心に直接響く「感情」に訴えるものであり、「実現可能な政策提案なのか」「正しいかどうか」よりも「自分たちの声を代弁してくれるかどうか」という焦点へ有権者の意識を向けた。
また、トランプ氏の戦略の背景には、ビジネス界で培った「結果を出すための論理的な思考」があるような感じる。時に強引な印象を与える話法や、対立候補に対する攻撃の仕方など、一連の挙動はある種の計算のうえなのだろう。結果として、社会が抱える不安定さや分断を背景に、多くの有権者が彼を支持したことになる。
トランプ氏は一貫して自らの主張を強く打ち出す一方で、対立候補や主流メディアを「敵」と位置づけ、対立構造を明確にすることで、自身の支持層との強固な結びつきを作り上げた。彼の発言の多くは物議を醸すものもあったが、それがかえって彼の個性を際立たせ、「支持層の声を代弁する存在」としての印象を強めた。
2024年の大統領選は、こういった「伝わるメッセージ」の重要性を強く示すものとなった。
良い悪いは別として、トランプ氏の戦略は、現代の票集めにおいて「何を言うか」より「どのように伝えるか」が重要であるということ再認識させるものとなった。
これは会社や組織の中でも同じなのかもしれない。
意見や主張の正しさ、正当性ではなく、いかに聴衆に受けるか。いかに顧客に刺さるか。いかに上司を説得させられるか。
そこにゲームのゴールがあること、そしてそれが全てではないが、それ”も”大事であることを忘れてはいけないと自分への教訓とする。
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