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4営業日分の商談目標数を創出する“生成AI×インサイドセールス×メールマーケティング”
はじめに
こんにちは。IVRyのインサイドセールスのマネージャーの森本(@175cm71kg)です。
つい先日、セレブリックス社の今井さん主催のインサイドセールスのための生成AI活用選手権や、OPTEMO社主催のインサイドセールス研究会に登壇させていただきました。その2つのイベントで『メールマーケティング×生成AI』というテーマにも触れつつお話しました。
セレブリックスさん/OPTEMOさん、登壇機会をいただき有難うございました!
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上記イベントの登壇後に『より詳しく、作業ベースで生成AIの使い方を詳しく教えて!』『実際には使っているプロンプトはどんな内容?』等、生成AIの活用についてご相談を頂くことが多かったため今回noteに纏めてみました。
はじめにお伝えしておくと、今回は『あまり知られていないような、テクニカルな生成AI活用方法を公開します!』という内容ではありません。『誰でも明日の朝から真似できるtips』をテーマに執筆しています。
そのため、既にセールス業務やメール作成業務で生成AIをがっつりと活用中で「テクニカルな生成AIの活用方法を知りたい」という上級者向けの内容とは異なりますので、ご了承ください。
改めて、今回のnoteはこんな方々のお役に立てると幸いです。
・メールマーケティングを担当するマーケターの方
・1to1メールの作成に苦戦されているインサイドセールスの方
・反応率の高いナーチャリングメールのテンプレートを短時間で作りたい方
そもそも生成AIの活用の前に「インサイドセールス × メールマーケティング」の合わせ技について知りたいという方は下記noteもおすすめです。
また「インサイドセールス組織の業務生産性の向上&商談化率の改善、両方に取り組んでいきたい」という方は下記noteもご覧ください。
なぜ、IVRyのインサイドセールスでは生成AIを活用しているのか?
結論としては、メールマーケティングにおいて「より読み手の心を動すことができる」メールコンテンツを「より短時間で」作成するためです。
ではそもそも「IVRyのインサイドセールスはなぜ、メールマーケティングに注力しているのか?」という点もよくご質問いただくので補足します。IVRyというプロダクトは「売り手都合でかかってくる営業電話をシャットアウトしたい」という用途でご検討いただくことが半数以上あり、実はインサイドセールス殺しのプロダクトです。実際に様々な業界にて「不要な営業電話への対応工数削減」という用途でご導入いだだいております。
つまりIVRyの顧客特性を配慮すると、IVRyのインサイドセールスは「電話以外」のアプローチ手段も磨く必要があります。そこで「メールマーケティング」という手段を模索し始めました。
もちろんメールマーケティング以外にも「通話データの文字起こし」をはじめ、他の業務においてもAIを活用しておりますが、今回は先述イベントの中で多くの質問や相談をいただいた「インサイドセールス×メールマーケティング×生成AI」という切り口に絞って、明日から使える実用的なTipsをご紹介します。
生成AIを活用してメールコンテンツを作成する際のポイント
有識者の方からすると「それは基本だろ!」とツッコまれそうな内容ですが、大事なポイントなので一応記載しておきます。
① 生成AIの活用においては「プロンプト&ラリー」が前提
よく「プロンプトを一度書いても、自身が期待した回答が生成AIから中々返ってこないからAI活用が定着しない」という相談をよく頂きます。しかしそもそも、生成AIとのコミュニケーションは、一問一答で完成するものではありません。「良い回答が返ってこないな…」と感じた際には「自身が生成AIに良い依頼が出来ていないんだな」と考えることが必要です。そのためにプロンプト&ラリーという形で生成IAと対話を重ねながら、精度を高めていく必要があります。
②プロンプトは具体的に、そして抽象表現を排除する
プロンプトが具体的であれば、生成AIから具体的な回答が返ってくる可能性が高くなります。特にプロンプトの目的を明文化しておくと、効果的です。例えば「分かりやすい表現にしてください」よりも「読み手が“詳しい情報を追加で聞くために、打ち合わせをしたい”と思うような文章にしてください」等、より具体的なプロンプトを書くことがおすすめです。
③生成AIにメール作成業務の全てを任せない
生成AIが提示する回答をコンテンツや文面にそのまま採用するのはおすすめしません。理由は、生成AIは「人間の情緒」や「倫理観/道徳心」を完璧には配慮できないためです。そのため、人間の手でそれらを補完する必要があります。メールコンテンツの作成においても、生成AIにまるっと全ての業務を任せるのではなく、あくまで“作業時間を短縮するための補助ツールとして活用する”という意識をまずは念頭に置きましょう。
導入事例メールの作成時に使えるプロンプト集
上記のポイントを踏まえつつ、“明日の朝から使えるノウハウ”として「実際にメール作成時に使えるプロンプト集」をご紹介します。
①「あなたは、営業メールのコピーライターとして世界でトップ1%の専門家です」
先述の「プロンプトは具体的に&抽象表現を排除する」にリンクする内容ですが、生成AIに対して「期待する役割」を明確に指定することで、自身が求める精度の高い回答が「より少ないラリー」で返って来ます。
②「次の2つの導入後の成果のxxとxxについては言及してください」
導入事例コンテンツに興味を持たせるためには「Before→Afterの具体性」や「定量的なメリット」が肝になります。しかし生成AIは「人間の情緒を読み取れない」ので、“読み手の心を動かす情緒的表現”は人間が考えるプロンプトで補完する必要があります。
③「文面を3パターン考えてください」
複数パターンの回答を求めることで、自身が期待するクオリティの回答に早く辿り着けるようになります。また例えば、生成AIが提示する3パターンの回答に対して更に「2パターン目のニュアンスを保ちつつ、●●というキーワードを入れてさらに3つ考えてください」等のプロンプトでラリーを重ねることで、生成AIの回答の精度が上がります。余談ですが、指示するプロンプト数は3である必要はないので「5パターン、10パターンで指示してみる」等、個人の好みで色々と試してみると良いかと思います。
④「7秒以内に読める文章量にしてください」
生成AIにメール文面を書かせると内容が長くなることが大半です。しかし、メルマガは平均的に7秒までしか読まれません。そのため、7秒以内で読めるように、1メール1メッセージに絞り文量をシンプルにするのがおすすめです。生成AIではこのような「反応率を高めるためのメールマーケティングノウハウ」を完全には考慮出来ないため、プロンプトにて調整することが必要です。
⑤「ITツールを検討したことがない方が読んでも分かるような表現にしてください」
こちらは「より顧客目線の文章」を作成するためにおすすめのプロンプトです。特にIT業界(SaaS)の場合、メールの読み手には「ITツールの導入検討が初めて」という顧客が多く含まれるかと思います。メルマガ担当者の主観のみで文面を作成すると、ついつい読み手にとって「難しい横文字や文章表現」や「売り手都合の表現」が含まれる可能性が高くなります。このリスクをなるべく抑制するために、こちらのプロンプトを提示しておくことがおすすめです。
そして、上記のプロンプト集を1枚の画像にまとめました↓
(まだまだ私も模索中ですので「こんなプロンプトも有効ですよ!」などのノウハウがあれば、教えていただけると嬉しいです)
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生成AIを活用した事例メールの作成プロセス
では実際に上記プロンプトを活用し、生成AIとのプロンプト&ラリーを繰り返して、メール文面を作成するプロセスを公開します。
今回は、飲食業界の顧客に対して「同業他社での導入事例メール」を配信するために、一蘭様での導入事例を取り上げて事例メールを作成するというシチュエーションでの、プロンプト&ラリーのプロセスを公開します。
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前提として、生成AIが提示するメール文面を全て、本記事内に掲載するとボリュームが大変な量になるので、一旦プロンプト側の内容のみ一部公開します。
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そんなこんなで更に何度かラリーを重ねた結果、最終的に完成した事例メールはこちらです。
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その後、得られた成果
上記の文面のフォーマットをさらに、CTAの位置や件名のワードなどの細かな検証を経て「送付したら10%で商談化する」というフォーマットに磨き上げることができました。
そしてその"送付したら10%で商談化する、勝ちフォーマット"を、インサイドセールスメンバーがお客様に向けてご送付する「1to1メールのテンプレート」に転用しています。さらに各メンバーが、他の業種やニーズのお客様にも送付できるように、横展開式にテンプレートを拡充をしています。業種別/ニーズ別の事例メールテンプレートは、今では合計 50パターン以上 まで拡充されています。
上記の“地道な草の根運動”がIVRyのインサイドセールス組織が架電という手段に依存せずに「4営業日分」の商談数を獲得できるようになった秘訣の1つです。
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IVRyで一緒に働きませんか?
IVRyのインサイドセールスでは、新規プロダクトのインサイドセールス組織の立ち上げも今年1月から始まっております。そして今後もいくつもの新規プロダクトのリリースが控えているので「営業組織の“仕組み作り”や“組織作り ”にチャレンジしたい!」という想いをお持ちの人にとって、刺激的な挑戦機会が今後も増えていきます。
「前職までのフィールドセールスの経験を活かして、IVRyでは新規プロダクトのインサイドセールス」というキャリアステップで大活躍中の湯本さんのnoteもぜひ、お読みください。
また下記のような形で、”インサイドセールスだけど、人格の1/3はマーケター”として活躍しているメンバーも複数在籍しているので「ゆくゆくはマーケターにも挑戦したい」というキャリアステップを志望される方にとっての挑戦機会も転がっています。
入社2ヶ月目から早くもメールマーケティング施策の企画〜効果測定までみっちり携わる坂爪さんのnoteもご参考にどうぞ。
今後も、IVRyのインサイドセールス組織は拡大していきますが、私個人としては「労働集約型で疲れる、飽きるインサイドセールス組織にならないようにしたい」という想いがあります。そういった想いから「自由と責任」を大事にしつつ、上記のようなインサイドセールスに閉じず、他のスキルも体得できる挑戦機会をどんどん提供していきたいと思っています。
この記事を読んで、IVRyのインサイドセールス組織に興味を持っていただけた方はぜひ、一度カジュアルに「こんなことをやってみたい!」などの想いを聞かせてください!
📣最後に、告知事項です
告知① カミナシさんと「インサイドセールスNight」をやります!
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2月19日(水)にカミナシ社のISマネージャーの伊藤さんと『インサイドセールスNight』を開催します! モデレーターはIVRyの営業戦略責任者の伊藤基明さんです。場所はIVRyのオフィスです!(田町/三田)
カミナシ社&IVRy、各社のISの組織作りにおけるしくじり話など「ここだけのオフレコな話」も惜しみなくお話しする予定です!
▼応募はこちらからお願いします!
告知② #THE LEADERSに取り上げていただきました!
SALES ROBOTICS社の取材企画、#THE LEADERSにてIVRyのインサイドセールス組織についてインタビューしていただきました。
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今までの登壇イベントやnoteでも話してこなかった「メールマーケティングとSMSの使い分け」「配信リストのセグメントを考える際の思想」についても話しているので気になる方は読んでみてください。
▼記事はこちらです!(インタビュー音声も記事内にあります)