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こんな舞台を観てきた(2023年3~4月)

ミュージカルの観劇率が非常に高い二ヶ月だった。


これまでの記録はこちら。


ジキル&ハイド

何度も再演されている作品だけれど、なかなか機会がなくて今回が初観劇。

久しぶりにこういう王道?ミュージカルを見た気がする。
キャスト陣が役柄にハマったキャスティングで、歌唱力も高く、とっても良かった!

物語は、「善と悪」という二元論の面白そうなテーマなのに、割と雑な脚本だなという印象。
楽曲の力とキャストの熱量で、そこを凌いでいく感じなんだろうな…。
(その辺りは昔観た「フランケンシュタイン」のミュージカルと同じような雰囲気がする)

正直、登場人物はあまり共感できる人がおらず、物語の波には乗り損ねた感が否めない…。
ルーシーとエマ、プリンシパルの女性二人とも純真なキャラクターな辺りとはか、割と紋切り型な感じがして、渋いなと思った。

演出は、暗転せずにシームレスにセットが動くところがすごく良かった。
BWとかウエストエンドから演出ごと輸入しているミュージカルではよくあるけど、日本版の演出でセットが自動で動くのは珍しい気がする。

銃声がそんなにうるさくないSEだったので助かった。
(劇団四季とかも使ってるような軽めの発砲音。)


2023/3/18のキャスト

太平洋序曲

すごくよかった!

マシューさんの演出作品を見るのはおそらく初めて。
将軍役を女性キャストが演じたり、天皇を人形浄瑠璃(であってるかな?)で表現したりと、工夫に富んだ演出が面白かった。
特に”Please Hello”のナンバーは、日本に開国を迫る諸外国の様子を風刺っぽく描いていて、とても好みだった。
物語最後の”Next!”だけは、抽象度が高く、ちょっと焦点がぼやけた感じがして、少し残念だった。(とはいえ、ガシガシと踊るアンサンブルと、山本耕史さんの語りに魅了されたのは確か。)

出演者は、プリンシパルもアンサンブルも実力者ぞろいで、ソンドハイムの難しい楽曲を見事に歌いこなしていた。

"Four Black Dragons"のソロを歌っていた染谷さんが特に印象に残った。
また谷口あかりさんは、四季を退団されてからはめっきり拝見していなかったので、おそらく10年ぶりくらいに観た気がする。
(自分の中で、「マンマ・ミーア!」のソフィと言えば、谷口あかりさん)

「アリージャンス」を見たときは、日本の描写に少し違和感を覚えたけれど、この作品ではあまりそれを感じなかったのも嬉しかった。


アリージャンスのひと言感想はこちら。

集客的には少し苦戦していたようだけれど、また再演してほしい作品。

2023/3/19のキャスト

ジョン万次郎の夢

2014年ぶりの観劇。
(前回拝見したホイットフィールド夫人役の織笠さんは、今回も同役でご出演されていた。)

四季のファミリーミュージカルの中で、一番好きな作品。
「劇団四季は演劇界のNHK」だと思っていて、この作品もすごく丁寧に当時のことを調べて作ったんだろうなという感じがする。
(同じ幕末の話で割と史実からぶっ飛んでいる「太平洋序曲」も好きだけれど!)

「明日は近づく」や「心を開いて」など三木たかしさんの曲も素晴らしく、完成度が高い作品だなと思う。

キャストでは、高倉恵美さんが踊っている姿を久しぶりに拝見できて嬉しかった。

2023/4/2のキャスト

マチルダ

ファミリーミュージカルとはいえ、がっつりダークでシニカルな雰囲気が「イギリスだな〜」という感じだった。

英米で数々の賞を受賞しているだけあって、完成度が高い作品だなと実感。
3階のB席からだと、照明の美しさや転換のスマートさがよくわかった。

一方で、いくら本人が果敢に現実に立ち向かっているとはいえ、ネグレクトされているマチルダを見るのは辛いものがあった。
最終的にマチルダが家族の元を離れ、ハニー先生と暮らすあたりは、「子どもが必ずしも親の愛情を得られるとは限らない」という現実を見せられた気がする。

あと、音響がオーブ仕様でかなり聴き取りづらく、せっかくの韻を踏んだ歌詞があまり聞き取れず、残念だった。
(オーブの公演でもそんなに音響が悪くない作品もあるけれど、違いは何なのだろう…。)

2023/4/8のキャスト

この日は終演後にトークショーがあり、斎藤司さんが司会で、木村達成さんと大塚千弘さんが登壇されていた。
木村達成さんのお母様もご観劇されていたらしく、しきりに斎藤さんが話を振っていて、お母様も満更でもなさそうに応えているのが面白かった。
終演後のトークショーはこれまでも何度も観たことがあるけれど、斎藤さんは芸人ということもあって、とてもスムーズな進行だった。
しかも、短い間で何度も笑いどころを作り出していて、プロの方はすごいなと、芸人さんの腕に感動したトークショーだった。


ブレイキング・ザ・コード

チューリングの話ということで、勝手に映画「イミテーション・ゲーム」のイメージで観に行ったら、ちょっと肩透かしをくらった感じ。

「叫び過ぎ」という感想を見かけたけれど、確かにトラムのキャパならもう少し抑えた芝居でも伝わる気がした。

プロデューサーの笹岡さんが今後どんな作品を企画するのかは、すごく楽しみ。

詳しい感想はこちら


ザ・ミュージック・マン

一言でいうと、古き良きブロードウェイ・ミュージカルという印象。
歌と踊りを楽しむ作品という印象。

美術は松井るみさん。
シンプルなセットながらも、日生劇場の広い空間を埋めていて、さすがだなと思った。

主演の坂本昌行さんと花乃まりあさんを拝見するのは今回が初めて。
お二人とも舞台経験が豊富なだけあって、安定感が抜群。
特に、花乃まりあさんは高音の響きが美しく、その歌声に聴き惚れた。

しかし、藤岡さんは出番も少なく、歌もほとんどなくて、何とも勿体無い使い方だった…。


二次会のひとたち

脚本の岡田惠和さんのファンに誘われて観劇。

場内は女性が多めだったけれど、ミュージカルの客層とも微妙に違う感じがして、新鮮だった。
(ちなみにミュージカルと一括りに言っても、劇団四季と東宝ミュージカルの客層もまた異なる気がする)

序盤は世界観が掴めず、何となく置いてきぼり感があったけれど、終盤は物語の波にちゃんと乗れて楽しめた。

美村里江さん(個人的には旧芸名のミムラが馴染み深い)は映像のイメージが強かったけれど、口跡がよく、とても舞台向きだなと感じた。

最近ミュージカルによく出演されている東啓介さんは、空気を読むのは苦手だけれど人がいい若手社員の役で、果敢に笑いを取っていた。

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