フレンチ・コネクション（断腸亭日乗）　　川柳47句

歳月に団鬼六の羊歯さがし

盲点に紡錘形を入れなさい

ゲーセンが蘇我馬子と沈む海

東京の落語を超える目玉焼き

六波羅をみこすり半で割ると夏

各部屋に狂人軍の卵置き

牛窓に真の意味での坊主狩り

オチとして井戸へと落ちる陶芸家

ブルガリア半身浴をずっとやめ

まばたきをゾンビハンターふやす朝

力士らが形容動詞はぶくなか

ぶぶ漬けをサーチライトのままに詠む

さびしさがあちこち倒れ扇状地

山勘で池田満寿夫の指紋指し

友だちの心臓を置くブダペスト

落雁の色に蕪村が崩れ落ち

他者性が在るヨセミテの粉ふきいも

子音無きボディペイント後の一句

庭石がひとつ南極物語

領域が棚田ばかりの田端駅

稲川に月蝕領の肉団子

家庭用蜥蜴図鑑を買いに出る

砂嵐岩鬼正美が棒立てて

性欲の深いかたちのアロハシャツ

同盟と具体の夏が混じり合う

吐血して泉ピン子の廊下拭く

神経がつながってゆくムーを買う

都々逸で五重ノ塔を自称する

言語論さざめく眠狂四郎

非天然パーマかけ合う午の星

惑星に麻雀牌の史書書かれ

うなぎ屋に探偵団の紐たらす

序章にてジュークボックス分解し

キャラクター小説館で視る岐阜市

点描の競艇場の街に鳥

仮定でのうなぎの山が劣化する

ミツカン酢一滴たらす死と生と

県知事が生涯に視る浮遊霊

ソビエトの部屋にひろがる笑気ガス

ガムを売る日に新たなる虫さされ

月島の軍団内で濾すあんこ

生命の木陰覆面レスリング

父親の手に異星人文化鍋

比喩の夜たけし軍団全滅す

球場に切手と呼べるものを貼り

猿股が夜にはためく猿の星

音楽にぶれるサディストマゾヒスト

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