妄執の川（マイルス・デイヴィス） 川柳66句
七月の考古学者ののびちぢみ
影丸の起床装置にとびこむ蛾
貝あわせダンクシュートをおもうまま
金魚鉢祖国ほろんでゆく団地
酢をもって尊しとなす意味の国
キャプテンの細胞なくす御前崎
まさぐればマッドサイエンティストの書
未来へとおくる豚吉境涯句
生と死とうずらの卵せめぎあう
アフリカを完全言語もてかたれ
固体の日ともだち消える人造湖
病み垢にまわりつづけるフラフープ
巨人らのはげしいまでのかなづかい
火蛾よ我よブッチャーの脳よぎりけり
わんたんが嘘の世界に熱をもつ
この世からズボンの騎士が消えるとき
長瀞のどうぶつえんがただねむい
筆順を書きたしている昼のうた
与太郎の生死をめぐる変電所
お庭番からえらばれた顕示質
性としてノスタルジアの干昆布
詩語尽きてバックヤードを透過する
グルジアのもうすでにない猫食家
銀閣のアイコンをふむ世のみだれ
カスパール・ハウザーの手にふきだまる
雨のおとロック芸者を撮るアラキ
南米と北米として生きて死ぬ
遠未来粉ざんしょうをふりかけず
雷電をはばかっているミソジニー
人造のテニスコートにすごい雹
しのびあいタイムボカンの犀をみて
画中画の三角錐をかんがえる
ベム群れる都市を飛脚がはしりぬけ
こん平のカバーアルバムでの凱歌
武家しずみなにもうかんでこない壺
牧場の吃水線をやりなおす
あせちれん・らんぷをばらす修行僧
人の世にはたらきかけるピーチ姫
ボクサーの戦後に虹を喰うくじら
どんぶりの宇宙有限にて黄猿
赤猿の心にルビがふってある
灘中に父のアイアン・クローかけ
貸しボート十三号という倭国
傾国のヒヤリハットをゆかに彫る
ゆがむ月おまえが生きてゆくだけで
混線のはばたき部屋にテムズ河
柏原芳恵がえがくろくでなし
榊原郁恵と二物衝撃し
タバスコの次からつぎへ詐欺機械
にごり川ロマンス詐欺の毬藻みて
やわらかく揚陸艇をでてゆこう
ケバブ屋の栄え東京都知事選
言表が栄螺パンチとくいちがい
鳩をだすめし屋のよこに鱒二像
情報化社会をのぼる仏壇屋
角栄がのっそりをするながい午後
ダスキンに荒れてちきゅうのながい午後
「本郷の部分改造会」会費
ギャラクシー・クエストにみる劇中歌
ほんものの牛に沈黙する乱歩
かりの世の牛に饒舌なる安吾
マリックのズンドコ節をはなつそら
リユースの踏み絵にマツコ・デラックス
「われをふめ」踏み絵のマツコ・デラックス
ふたりとも踏み絵がマツコ・デラックス
のり弁を気象予報士からゆるす
いいなと思ったら応援しよう！
