メビウスを唱える（裁き） 川柳42句
クリスマス・ソングの犀をみたかえり
メビウスの輪唱団が超えてくる
魔神像ひろう夢子の夢の島
エディオンの東にまわる心理戦
ミファソ屋の見出しが廻る輪転機
まいたけの文体模写につづく象
稚内市を捨てて両棲類史
象がくる類語辞典をひらかねば
傷痍者の一覧からのポトフ煮る
火の鳥のケンタッキーに畸人論
時そばのあるときタイム・パラドクス
倫理学講義に餅が煮えている
地軸とは何か島崎俊郎忌
過食後のノビタランドが沈下する
チューリップ革命というかげひなた
Ｙの悲劇にあるまじき談志棚
妻とらえプラトニックのとろろ摺る
匿名の盆栽にジョン・ヒューストン
ピクミンに覆われ冬の海の家
煮崩れる上等兵の阿闍梨餅
淫夢後のみなが喩える螺子のやま
フィリップ・ディックが隠すねぎ置場
無性名詞へと下線をひくラ・ムー
餃子焼け未だにながれないサン・ラ
ミポリンに死後ありわれに盲汁
鯨みにゆくとトーマス・マン音頭
銀閣にネオテニーしてしまう姓
マゾッホの全集を買う染之助
アニソンの帝王の忌に偽甘酢
羅生門くずれて地球牛なりき
少年にあうさいはての茄子の唄
寿がきやに似ていたひとのボタン押す
磁石はりつかず天草四郎の碑
うつくしく姉のならべる酵母菌
すきとおるばかりの時間ダンプカー
シベリア超特急の巣をとりまとめ
ナウシカの街にいわゆるカーディガン
東京の補助輪にレヴィ＝ストロース
小松崎茂の忌へと電書鳩
重力の浸みる漬物すまけい忌
白鳥へ小松政夫の忌を換える
文学の領土あんたはエライ以下
2024.12.6-12.7
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