聖なるミミ（ブラック・サバス） 川柳50句
豚小舎の紫式部までふくむ
牛窓の乳房図鑑を借りあさる
マン・レイに乳ふふませて旭日旗
北極がこわいところでゆまりする
芋あらし原始言語にみられるゔ
オードリー・タンにとどける象は鼻
蕉門がまた抜けおちているサバト
戦前の終わりに韮を語りつぐ
ジョン・ケージ女性心理を書くまでの
マシリトの世界が終わる朝ぼらけ
ボケ役が鉄条網を超える朝
大気圏突入前のずんだ餅
感情をまじえずに書くりんご飴
北極を北極熊とひきはがす
贋引田天功消える海苔館
かまどからピンチランナー発生す
復活のなまこに意味をわけあたえ
代官でなかった父の予言して
青沼のサッフォー泣かず世のくねり
バカ殿がゆく原子力発電所
オレンジの無意識ひそむ発電機
ウォーホルとたばこ公社の門たたく
キャプテンのまじりあいする成田山
別称の逃げる男に朝陽さす
ハンマーを侮りもせずおおみかど
超自我のプラスチックをそぎおとす
女子プロのシュルレアリスム固め解け
割れる間もなく直木らのビスケット
司会者にリスとよばれるリスを飼う
あきらかな喪主にあらざる茸飯
肺魚など釣れずネガティヴ・キャンペーン
朝焼が田沼意次だとおもう
兵隊の石屋に行ってきたかえり
ころもあげどこにかえればいい白書
ラコステにあなあいていて聖書売る
蕪を抜くアマンドピンク売国奴
横ぶえが横たわるまま落ちる船
２の段に滴化のための言葉ふえ
不夜城に今夜もゆらぐ散骨者
松島の巨大生物やみうちす
病院のシルクハットの姿勢とる
鍛冶屋からいたみともなう仔犀の句
寅泰の詞による仔犀物語
友蔵が窓をあけたら二重季語
全女から蝶々蛾々が飛んでゆく
風船をはなてば全女社長室
悪役の列車ならべて居るそば屋
セルゲイがホーム・ヴィデオを〈意味〉と言う
秋晴れてユダが立ちよるまんだら屋
イディオムにぶらぶらとする真狸
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