舞踏会へ向かう三人の農夫（シャバのめし） 川柳50句
地球儀をシャウエッセンの目でごらん
うらごしてトールキン忌の砂の家
みみず鳴くＤ坂に文鮮明忌
悪人がのべられている雲を超え
ブルシット・ジョブのいたこと同じ部屋
焼きかけのアグニの神のみそだんご
かまぼこをみんなで名指す嵐山
風呂桶にちぢんだノイズ・ミュージシャン
陽だまりに姦淫聖書辰野中
辰高の語尾にラッパが付く九月
ナンかじる蘇我馬子の脳あらば
濁点がうたれてからの夢の貌
十二支と花王石鹸むかいあう
旗本のしょくパンマンが焼けるまで
テロップが火焔映画をおおうなか
犬の名をクマソタケルとおもう家
粗塩のまかれ冷凍睡眠後
うまれないはずのわが子と視る魚竜
海胆の名をたたえ戦艦ポチョムキン
橙が六角錐というこの世
げそというげそのあつまる修羅盆地
海鞘うばうみまかっている教師たち
文法をねじまげまめる探偵社
電柱の置場にタコス置いてゆく
眉毛からしらす干し降る統一場
聖からん自慰をおぼえる老ザネリ
薀気たつ銀河鉄道車庫の昼
きりひらけ渋谷区民の鶏に首
綿棒をわたされている死後の恋
モイスチャーミルクとおなじ草書体
秋の夜レモン哀歌の零ならぶ
菊をみてずっと横山さんが仮死
あたらしいタームとなえる地鎮祭
関節をたくさん呉れるボッコちゃん
火焔噴くタイプライター屋のまつり
地球儀をにくんで嘉門達夫かな
焼けおちて地に反日のベルボトム
ＦＭの大仏殿をかたちどる
サロマ湖を比喩につかった呪い歌
人の世よにんにくパズル解けざりし
編むひとがひとでなくなる裏詩集
にんげんのほうの轟さんへ雷
すばらしい端子をひろう浪曲師
日蝕の日に納豆の数そろう
不倫の書人名すべてみな梵字
京劇が終わるあたりのサンオイル
磯野家のメリケンサック手わたされ
時間屋にあらゆるひとのうつくしく
遷都して香たきしめるブックオフ
害獣の落ちゲー化する神の國
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