白亜紀にひつまぶし　　川柳33句

包丁を白亜紀前に突き立てる

イコールが成立しない赤と赤

付箋からここは渡辺家と信ず

六畳と気付かないままカフカの死

香山リカ特集す恐怖新聞

神童にふいごを渡す主義者たち

クスクスを死亡遊戯のあと炒め

ペンギンが太陽系を微動せず

セミナーの鳥の名前がみな同じ

空間の大部を占めるビスケット

パーカーが無い惑星で悲恋する

野いちごに透視図法をつかう部屋

森に入るカウンタックを目印に

中華鍋以外のラッパ禁止法

髪質がユースホテルである鏡子

隊商にガム奪われて朝の靄

天窓にふだん使いの珊瑚虫

モイスチャーミルクと発す京言葉

湿原のトミーとマツが静止する

安宿に父の遺したバンテリン

眼科医をにくむアフリカへの道路

ゴムを売り大河小説完結す

カーテンをやりきっている異母の兄

鮫を塗るまだカツレツと思われて

朝寒しゾンビ映画に出る紅茶

たて笛で落着しない一揆など

非Ａの蕎麦屋支店の狭きこと

エジソンの唄やむ雪のブランコに

サンガリア同士瞬間移動する

賭博者が吸い物つくる以上の句

苔玉を金子みすゞが投げつける

腐敗したリック・フレアー友の会

缶詰もアルゼンチンも在りながら

#川柳 #詩歌 #文芸 #創作