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砂をかける少女(混在と時間)  川柳44句

火時計でシノがれて居る鍋島家

罪人にピンク・レディーの蓋開く

集合を詠むジョン・ウェイン短歌会

演歌でのボールボーイに冬が来る

図書館のパラドックスに埋まるひつ

障子貼るマリア・カラスの熱死まで

蝶の死にしばしたたずむ衒学者

北の湖らが扱った目的語

交配すひとりの詩嚢ふくらませ

飴を噛む神話まだ無し電子戦

双六にカフスボタンを千切られて

新自由主義者のギャグに銅用い

老童にパニック映画観せて消す

肉塊をサンタクロースぶらさげて

審神者さにわからエンドルフィンを抜いておく

蔑称のブルーノートに滝の聲

スキャナーの蠢くなかに鼓打つ

切符切りヒンデンブルク号に蠅

非時間にジョガーパンツを縛りつけ

大波濤秋田書店のあを叫べ

ミニチュアの街押し潰す南瓜祭

性欲につながるヨハン・セバスチャン

肉まんを借りて氷上都市遁げる

小麦挽く久生十蘭コレクション

犬を飼う潜水艦に若いひと

アンテナを植木等の蔵に立て

英仏の映画の妻を巻きもどす

十月の最後に知世砂をかけ

パンの樹の十一月を流転させ

感情のみにくいあひる死んでゆく

冬に星消防団が獏とらえ

ケーキ挿す小鹿を父の影に挿す

デパ地下の物理学者が酢をおとす

音楽屋出れば安禄山の変

温水にモンゴロイドが禊する

蕪を貸すところがたぶん東京都

三重県のパンナコッタが沸き立つ日

はとこらの交接による太い耳

『どん底』に北島マヤがタコス焼く

蟻を飼う双子郵便配達夫

肉の会ブラック・ジョーク集配り

重力を視にゆく意味で納屋を焼く

盲点が絶えずひろがるとろろ汁

幌馬車の幌を外して冬相撲



#川柳 #現代川柳
#詩歌 #文芸 #創作 #原田知世 #NovemberRain

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川合大祐
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