ビリー・ザ・キッド全仕事（ラヂオの時間）　　川柳33句

番号が美事な猿を借りてくる

Ｅ．Ｔ．を弓道場で待った週

滝そばにコンクリートの茶道室

駅伝の駅に五島を待ちながら

月面のマイムマイムを愚考する

知によってアイスランドに取る魚拓

空港に戸川昌子の言語学

牛骨をたくさん書いている午前

支那竹の色が暗号文だった

くじらショーから帰りつく偽の兄

文体に軟化はじまるテムズ川

ネバダから比喩に使える針とどく

バスカヴィル家が話し合うあたま山

子供無き昼の世界にフラミンゴ

つらいときキーマカレーを名詞にし

弟の孵卵器盗む劇に題

湯たんぽが黄色ばかりの飛行都市

宗匠がハルマゲドンのあとに立つ

巨大なる分銅前にかじる芋

ど根性ガエルのなかの夏時間

上皇の窒素をあつめ沈む島

太陽がいっぱいも無い夢の島

宇宙へと裸電球さらに消す

文体がこれほど長い水蜥蜴

スプロール現象をみる皿うどん

デパ地下に安禄山の乱溜まる

ドーナツ化現象と云う河馬が居る

長崎のバンドが探る汽水域

信仰の現場で蕪が抜けてゆく

風が吹くときから厚くなるおむつ

温度計音頭を誰も作詞せず

編曲をしながら島に夏が来た

美容室「時間」に辿りつけず夕

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