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嘉穂
2024年5月15日 22:57
キンカン、と手元で音を鳴らしているようなインターホンが鳴る。居室の戸を開けて布団をひいており、廊下から玄関までが寝た体制で見通せる。廊下は暗く、覗き穴からの光が控えめに青く光っていた。キンカン、がもう一度。私は居室の戸を閉めて、綿入り半纏を羽織り、團さんを出迎えに行く。「災難だね。俺も気胸は五回くらいなったんだけどね、昔。今回初めてでしょ、手術しなくていいの。」がいがいがい、團さんの口癖
2024年4月3日 23:02
「お前、もうしばらくそっちに住んでもらわんとなあ、すまんな」川本次長がたいへん申し訳なさそうに、そう電話をかけてきた。広島で、家を探すことになった。もちろん家賃は会社が出してくれるし、マンスリーマンションで会社が指定してくれる物件の中でだったら、どこに住んでも良いと。團さんも篠宮も、鹿児島から広島に引っ越して、現場と下宿の往復を続けてもう二年近くになるらしい。そういえば、転職前の会社は、親元