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経営の技法 #27
3-8 学習と成長
経営は人を使うことである。そして、社会が変化し、会社も変化しなければならないから、従業員も変化しなければならない。現在の業務だけ効率的にできればよいのでないから、経営学では従業員の学習や成長が重要なテーマとなっている。リスク管理も、この研究成果が活用されるべき分野である。
<解説>
1.概要
ここでは、以下のような解説がされています。
第1に、会社(特に下の正三角形)を人体に例えた場合、体中に張り巡らされたリスクセンサー機能は全ての従業員が担います。その意味で、全従業員の意識を高める必要があり、経営学から学ぶことがある、と説明しています。
第2に、『ゼミナール経営学入門』での分析を整理しています。すなわち、①組織に対する従業員の関与、②従業員の行動を決める原動力、③原動力を決める基礎要因、④従業員への働きかけ方、というプロセスを経て、経営行動が分析されているのです。
第3に、この分析にリスク管理の在り方を当てはめ、検討しています。
第4に、リスク管理と経営の一体性を確認しています。
2.組織は人なり
組織は人なり、とよく言われますが、ガバナンス(上の逆三角形)だけしか理解していない人たち、すなわち会社法で会社が全てをコントロールできると考えている人たちにとって、この言葉は、それぞれの会社がご苦労され、ご判断されること、せいぜい関係があるとして、経営者の人選、という程度の意味でしかありません。
けれども、人材への投資は、会社の将来への投資です。この投資が、会社のリスク管理と無関係で良いはずがありません。
このように、内部統制(下の正三角形)の観点は重要なのです。
3.おわりに
書籍でも言及しましたが、経営学は、決して技術的機械的なものではなく、もっと人間的なものでした。社内弁護士や社外取締役など、弁護士の中でも、特に会社経営に多少の関りのある弁護士は、ぜひ、経営学に興味を持ってもらいたいと思います。
※ 『経営の技法』に関し、書籍に書かれていないことを中心に、お話していきます。
経営の技法:久保利英明・野村修也・芦原一郎/中央経済社/2019年1月