夏の自由研究2021 ~ありものブレッド選手権~

ある週末のこと。お昼ごはんの準備をしようとキッチンに向かいました。お腹空いたなぁ、今日はパンの気分だな~と、パンのストックを保存している冷凍庫を覗いてみます。が、なんと、パンのストックが、切れている…!

がっくりと頭を抱える状況の中、私の脳内は二派閥に分かれて闘争が始まりました。

「今日は絶対に、パンを食べたい気分だ!」と理想を語る革新勢力と、
「そうは言っても、お腹が空きすぎて、外に買いに行く元気はないぞー!」と現実を諭す保守本流との間で、激しい対立構造が生まれます。議事妨害が続く中、私のお腹はどんどん空いていき、ますます判断力が下がっていきます。

何か、良い落としどころはないのだろうか・・・

そんな中、ふとSNSで見かけたレシピを思い出しました。パンというより、パウンドケーキに近いような、クイックブレッドの簡単なレシピです。もしかして、作ってしまったほうが早いんじゃない…?ベーカリーへ買いに行く手間と、自分で作る手間を天秤にかけた結果、「家でクイックブレッドを作ろう、できるだけ早く」という妥協案が採決されました。

ここからは、ひとりタイムアタック。「キッチンにある材料と道具で、できるだけ早くクイックブレッドを作り、胃に入れる」選手権です。私の空腹とランチが掛かった大事な一戦。合意した二派閥も固唾を飲んで見守る中、頭の中でゴングが鳴り、「天国と地獄」が流れ始めました。

さっそくオーブンを予熱します。予熱の間10-15分くらいで、生地を作ってしまおう。

使えそうな材料は…小麦粉、砂糖、牛乳、卵、バター、ベーキングパウダー、オリーブオイルあたり。バターは有塩、砂糖はブラウンシュガーだけど、まぁいいや。

泡だて器はあるけれど、ゴムベラがないな…ちょっと大きいけど、無印のシリコン調理スプーンを使おう。パウンドケーキ型の代わりに、耐熱ガラスの保存容器にクッキングペーパーを敷いて焼こう。

手も頭も動かしながら、材料を混ぜ生地を作ります。型に入れたら、タイミングよく暖まったオーブンへ。焼き上がりまで30分ほどかかる間に、まずは生地作りで使った道具を洗います。といっても、ボウルに泡だて器、調理スプーン、ザルくらい。余った時間で、パン以外のランチのメニューを作り、テーブルセッティングも進めてしまいます。

準備があらかた終わった頃、クイックブレッドが焼き上がりました。

選手は、空腹でそろそろ倒れそうです。本来、粗熱をとってから切り分け食べるところ、待ち切れず焼き立ての状態で食べることにします。まだ熱くて柔らかい生地は、パン用の包丁だと切れないかと思い、えいや!と、手で割ってしまいました。ほかほかと上がる湯気と、バターの香り。ああ、おいしそう・・・おなかすいた・・・

いそいそとテーブルに着き、さっそくいただきます。

かぶりつくと、ほんのり甘い生地にバターが香ります。空腹の胃の中に、待ちに待った出来立てほかほかのクイックブレッドが沁みてゆきます。材料も道具もちゃんと揃っていなかった割に、こんな美味しいものが出来上がるとは!選手、口に運ぶ手が止まりません。これには見守っていたオーディエンスも、拍手喝采。空腹のあげくの解散総選挙は何とか免れたのでした。

これが結構楽しかったので、それからも何度か作っています。うっかりバターを入れ忘れたところ、やたらクリスピーに仕上がってしまい、後乗せのバターでリカバーしたことも。意外となんとかなる、ありものブレッドの懐の広さを感じました。

先日作ったのは、バナナブレッド。小麦粉・砂糖・卵・バター・ベーキングパウダーのいつもの生地に、バナナとクルミを入れて焼いただけ。たまたま安く売っていたバナナと、晩酌用のクルミを横流ししました。こちらも、とっても美味しかったです。

もちろんベーカリーの美味しさには敵わないし、発酵させないお手軽なクイックブレッド。それでも、お腹が空いている状態で買い物に行く元気がないな~、作ったほうがラクかもな~と思う時、これもアリ!な選択肢だと思います。

☆手元にある材料や道具で、クイックブレッドは作れる。
☆空腹に出来立ての料理は、さいこうにしあわせ。

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