詩)ハナモクレン
駅前に並ぶ木蓮
花 つけ出す季節
今年も
思い出すあの 春
地面しか
見えなかったあの 冬
午後八時三分
待ち続けても来ないバス
月 見上げた痛み
忘れてしまった 体
重ねたセーター
寒さの記憶
呼び起こされる 白
そして
青空 映える木蓮の花
未完成の希望
茶色い斑
汚れながらも
木にとまる 花びら
しがみつく夢
人ごみ 避けた視線
注いでいる 花
思い出す 青
そして 出会い
決意秘めた胸
さらしてみる 風
たたきつけられる 花
地面 はりついたモクレン
午後三時
明日の予報 雨
思い浮かべる 水
泥水 白い花
はりついたアスファルト
踏みつけられる 白
流されぬ宿命
やさしすぎたモクレン
花木蓮
色なくも
白さゆえ 鳥
飛び立てぬあの 希望
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