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大型読み聞かせのこと
わたしは、小学校の読み聞かせボランティアをしている。一旦は卒業したが、人手不足のためお呼びがかかり、今年度から再び活動し始めた。
朝のクラスでの読み聞かせ以外にも、年に一回秋に、小学校の体育館で、大型読み聞かせをしている。絵本をスクリーンに映し出し、十数人ほどのメンバーで、読み聞かせをするのだ。絵本の絵は、パワーポイントで動くように加工するし、絵本に合った音響もつける。わたしは久しぶりの参加だ。
コロナ禍で、規模を縮小したり、2部制になったりしたが、なんとか辞めることなく、今まで続けてこられたそう。今年で、確か17年目。子どもたちが楽しみにしてくれている。我が家の子どもたちも、大好きだった。今年度は、久しぶりに、全校児童に向けて、一度に読み聞かせる。笑っても泣いても、本番は一度っきり。
春に出版社を通じて、作者さんに読み聞かせの許可を得ることから、準備は始まる。今年の絵本も無事に決まり、それから絵本を印刷して台本を作り、ナレーション役、各セリフ役、音響、映像と担当分けをしていく。
その後、絵にどんな動きをつけたいか、音はどんな感じのものがいいかを、みなで話し合う。絵本の絵をスキャンして、パソコンに取り込み、文字を消して、その後映像を少しだけ加工する。作者さんには、許可を得てある。同時に、絵本に合う、場面場面の音楽を選んでいく。ナレーションやセリフ役の人は、各自の練習を進め、各担当で、この準備が9月頭まで続く。
9月になったら、すべてをまとめて、練習に入る。本番までに、6回ほど集まり、どんどん内容を詰めていく。最後は、リハーサルに半日。本番の日も午前中に練習を重ね、午後に本番という流れだ。
わたしは、今年、OGだからとお手伝い程度の気持ちで参加を決めたのだが、できる方がいないという理由から、映像担当となり、セリフももらって、がっつり参加することになった。人手不足、思いの外深刻だった。
そうならばと、気持ちを切り替え、本の半分の映像を加工するも、5年前にもやったことがあるにもかかわらず、すっかりと忘れてしまっていて、四苦八苦することになった。そんなこともあろうかと、しっかり、やり方のメモを、過去のわたしは残しておいてくれたのだが、それを見ても全く思い出せない…途方に暮れた。
また、自前のパソコンが古くなり、動きが鈍く、父のパソコンを借りたが、あまり作業スピードは上がらず、最終的に、夫のパソコンを借りてやることになった。わたしと父は、Windows、夫はMac。文字消しはすでに終えた絵をもらい、Windowsのペイントを使いトリミングし、Macのパワーポイントで動きをつける。フォトショップが使えたら、もっと簡単なんだろうけれど、そんな余裕はなかった。
メンバーでこうできたらいいな、と話していた、川の水面がキラキラと光る様子、夜空の星が瞬く様子、子どもたちが走っていく場面など、無事に加工できた。こう書くと、簡単に感じるが、夏中、1日2時間くらい、パソコンとにらめっこして、なんとか9月頭の打ち合わせに間に合った。少しずつ、思い出し、試行錯誤の繰り返しで、ギリギリセーフ。ふぅ。2台のパソコンを交互に使い、機械音痴のわたし、よくやったと思う。
9月からは、セリフの練習がスタート。わたしは、推定40代の男性役だ。心配症で、走るのが速い。低い声で、またオロオロ感も出したい。
さて、こうして日々は過ぎ、リハーサルの日になった。この日は、秋の遠足の日。6年生のみ、学校に登校している。修学旅行に行くため、秋の遠足には行かないからだ。子どもたちに内緒で、練習するにはまずまずの日。
朝9時に体育館に集合。張り切って、小学校まで歩いてゆく。わたしは、体を動かしているのが性に合うらしい。とにかく、動けるだけ動いていたら、緊張もまろやかになる。
換気のため、体育館の2階の一部の窓を開けて、暗幕を締める。用意していただいた機材を設置して、それぞれが舞台袖にスタンバイ。舞台は真っ暗になるため、ランタンの灯りで台本を読む。
通し練習を2回して、お昼休憩になった。セリフ、「もう少し低めの声で」と、助言をもらい、ぶつぶつと練習する。それから、映像の変更も。映像担当の友達とふたりで、ああだこうだとやってみるが、うまくいかない。
お腹が空きすぎて、朦朧としてきた。だから、素直にそれを伝え、弁当タイムにしてもらった。以前は、こんなことすら言えず、ひたすら気力で耐えていたなぁ。後から、寝込むパターン。
弁当タイムには、それぞれが持ち寄ったお菓子の交換もして、山ほどのお菓子にほくほくする。普段自分では買わないお菓子もあり、テンションは爆上がりだ。おしゃべりに花が咲く。とっても楽しい。学生時代に戻って、文化祭準備をしてるみたい。
お腹もふくれ、気力回復。映像も無事に調整ができて、事なきを得る。やっぱり、空きっ腹ではいけない。通しをもう一度して、今日はお開き。片付けをしたら、時刻は14時をいくらかまわっていた。疲れているけれど、気持ちがいい。帰り道、あちこち写真を撮りながら、帰る。
うちでセリフをまた練習。自分が出せる一番低い声で、はっきり、しゃべるのは、なかなか難しい。練習あるのみ。のどを痛めないようにしないと。ただ、しゃべりにしゃべっているから、声は出やすくなっている。便乗して、記事の朗読、何か録っておこうかな。
本番は、もうすぐだ。
と思ったら…
風邪の大流行で、読み聞かせが延期になってしまった。張り詰めていた緊張感、ぷつんと切れた。
読み聞かせ、今年度中に、無事できますように。
読み聞かせ、無事にできました!