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554○ 純なる罪として

「純なる罪として」


世話をかけたお礼として

あなたの望むものをひとつ叶えたい

ただあなたが誰なのか

よく知らないのが躊躇の種である

多忙にかまけ一月また一月と

時間は感謝の純度を薄める

離れていくベクトルと

詳細の賞味が切れていく中で

二人は出会う前の全くの他人となり

こうして物語は書き損じることとなった

忘れた頃に車窓からみた景色が

記憶の断片をくすぐった

全身に確かに感じた熱は

終わったはずの話を引っ張り出して

書き始めてしまった

ここからは罪の薫りしかしないと

分かっているのに

人はなぜその先を知りたがる

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NAKAJI

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