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【臨床栄養学】呼吸器疾患

病気は患ってからでは遅い。病気を患ってから、今までの食習慣や運動をしておけば良かったと後悔することになる。闘病生活が始まった後は通院と治療に時間とお金を割かれ、この病気は本当に治るのかと不安や心配にも襲われる。幸せの定義は人それぞれだとは思うが、その幸せな状態を達成するためには身体、精神、自由な時間、お金などが必要不可欠だ。病気になってしまうと、それらのリソースが問答無用で奪われてしまうためQOLが一気に下がってしまう。
こんなことは百も承知だとは思うが、病気を患っていない内はどうも現実味が湧かない。現実味が湧かないから食生活改善などの行動に繋がらない。ではどうしたら現実味を帯びるか。それは病気のことを知識として知っておくということが重要だと自分は考える。
この記事では臨床栄養学の教本を参考に、病気の概要とその症状、治療法についてまとめていきたい。自分の将来に起こり得る症状と、どんな治療法が待っているのか。それらを知っておくだけで日々健康的に過ごそうと思えるはずだ。

呼吸器疾患概要

栄養療法を必要とする呼吸器疾患には、慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息、気管支炎、肺炎、肺結核などがあり、中でも慢性閉塞性肺疾患は高頻度に体重減少が見られ、体重減少は気流閉塞とは独立した予後因子であることから、栄養療法は非常に重要である。気管支喘息では、発作の増悪因子の特定と除去、気管支炎、肺炎では消耗性疾患に対する低栄養素、脱水予防、治療のための栄養療法が重要である。

慢性閉塞性肺疾患

・疾患の概要
タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することなどにより生ずる肺の炎症性疾患であり、呼吸機能検査で気流閉塞を示す。気流閉塞は末梢気道病変
気腫性病変がさまざまな割合で複合的に関与し起こる。ほとんどの慢性閉塞性肺疾患は禁煙によって予防が可能であり、重症例でも禁煙による予後改善が期待できる。全ての病期で禁煙を奨めるべきである。
慢性閉塞性肺疾患は肺以外にも、全身性炎症、栄養障害、骨格筋機能障害、心・血管障害、糖尿病、貧血など全身性の影響をもたらして併存症を誘発することから、近年では全身性疾患として捉えられている。

・症状
特徴的な身体初見としては、肺の過膨張による樽状胸郭(肋骨が水平になり樽型の胸郭となること)や口すぼめ呼吸が挙げられる。
症状としては慢性の咳、痰、体動時の呼吸困難である。初期段階では症状が見られないこともあるが、末期になると日常動作や安静時にも呼吸困難が見られるようになり、QOLが悪化する。

・治療
禁煙指導、薬物療法、呼吸リハビリテーション、酸素療法、換気補助療法、外科療法などの治療に、全身併存症や肺合併症に対する管理を加え包括的に実施する。

気管支喘息

・疾患の概要
気道の慢性的な炎症により気道の過敏性が亢進しており、種々の刺激に対して気管支が反応し、広範に気道の狭窄を起こす慢性疾患である。
病型の分類としてはアレルギー性のアトピー型と非アレルギー性の非アトピー型がある。非アトピー型は排気ガスや工場排煙、タバコの煙、住宅建材に使われている塗料、また食品添加物やペットの毛、ハウスダストなどの生活環境が喘息の要因になる。

・症状
息切れ、喘鳴などの症状を示し、特に夜間から明け方にかけて激しい呼吸困難発作を伴う。

・治療
吸入ステロイド薬を初めとした薬剤を適切に使い、発作を予防する。発作時には即効性のある気管支拡張やくの使用が有効である。

気管支炎、肺炎

・疾患の概要
気管支炎は気管支粘膜の炎症を指し、急性気管支炎と慢性気管支炎に大別される。環境要因として喫煙、大気汚染、刺激性ガス、粉塵などがあげられるが、ウイルスによる上気道の風邪症候群が気管支に波及して発症することが多い。
肺炎とは肺気道系の最終部分である肺胞道あるいは肺胞に起こる炎症を指す。高齢者は肺機能の低下とともに全身の免疫能力の低下、呼吸器系の感染防御能力低下などのために、肺炎にかかると重症化しやすい。

・症状
主症状は咳、痰であり発熱、食欲不振、全身倦怠感を伴うこともある。高齢者でははっきりとした症状を示さない場合もある。

・治療
安静、水分栄養補給などの対症療法、または病原体に対する抗菌薬で治療する。

肺結核

・疾患の概要
結核菌によって発症する感染性疾患を結核と言い、このうち飛沫感染により肺や気管支が感染したものを肺結核と呼ぶ。結核菌に初めて感染することを初感染と言い、免疫が正常な結核菌感染者の90%は生涯発病しないが宿主の免疫状態が衰弱すると数十年経過していても内因性再燃といって発病する。

・症状
咳、痰、血痰、胸痛、呼吸困難などの呼吸器症状だけでなく、発熱、全身倦怠感、体重減少などの全身症状を伴う場合も少なくない。

・治療
治療の中心は化学療法である。結核は慢性の消耗性疾患であり、宿主の免疫能に左右されることも多いため、低栄養や免疫力低下を防ぐための栄養・食事療法は大変有効である。

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