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立ち止まったままの夏がやっと動き出す

行って参りました映画『THE FIRST SLAM DUNK』復活上映!

私はドンズバに世代ですので、スラムダンクに関しては並々ならぬ想い入れがございます。

公開当初はアニメ版からの声優交代や3DCGの活用など、恐らく全国のスラムダンク世代の方達と同じ不安を抱え、ナーバスになり、観に行くかどうかを悩んでみたりしておりました。

それが!!!
蓋を開けてみると一転。大興奮の出来に7回程は観に行ったのではないでしょうか!!!

以下、映画『THE FIRST SLAM DUNK』で感じた印象的なシーンの感想など
書いていきたいと思います!!
※スポイラーにご注意ください。

そんなサイドストーリーがあったんだリョータ!

映画『THE FIRST SLAM DUNK』の公開直前に、どうやらメインの主人公が桜木花道ではなく、宮城リョータにフォーカスの当たるストーリーになりそうだと告知されました。
破天荒な初心者・桜木花道やクールなルーキー流川なんかに比べても
一番一般的に見えるキャラクターであるリョータに、ストーリーを引っ張って行けるだけの深い魅力と、複雑な背景がありとても驚きました!
みんな、絶対リョータのことが大好きになったでしょう!!

リョータを抱きしめてあげる大人の不在

夫を亡くし、傷の癒えぬ間に精神的な支えであった長男まで亡くすという想像を絶する不幸を経験しているリョータの母親を責める意図は全くないのですが、だからこそ、誰か周りの大人が不安定な母親の代わりにリョータを抱きしめてあげて欲しかった。
近所のおじさんおばさんでも、ミニバスのコーチでも、学校の先生でも、誰でも良かったんです。
本人は後悔しているようですが、自分も傷だらけになりながら、家族を支えたりケアするなんて本当はする必要はなかったのです。
だってリョータだって子供だったんだから。
大人から庇護されるべき存在だったのです。

不安定な家庭環境の中で自分を押し込め、自分が支柱になることを暗に強要されたリョータに、自分の子どもの頃の家庭環境が重なり、とっくに終わったはずなのに少しだけ苦しくなりました。

ただ、私はこのような子供たちは日本中に沢山いるのではないかと考えています。
どうか全国の小さなリョータ達が、きちんとした大人の庇護下で安心して生きていけることを強く祈ると同時に、
現実はそんなに都合よく助けてくれる大人に出逢えるわけではないので、
強く生き抜くリョータを良いロールモデルとして、一筋の光さえ差さない今日を越えていって欲しいと思います。

え!10FEETってカッコ良いじゃん!


The birthdayがかっこいいのは勿論のこと、テンフィを初めてカッコいいと思いました!
作中、この曲のドラムの音とドリブルの音が被るような演出(これは絶対演出でしょう!)があり、めちゃくちゃ興奮しました!!
テンフィのライブは音楽フェスで何度か遠目で観たことはあるのですが、
今度はちゃんと観てみようと心に誓いました!

赤木から宮城へのキャプテンシーの伝承

円陣を組むリョータ

映画終盤、円陣を組んで気合をいれる時、赤木は薄々気が付いていた、リョータの潜在的なキャプテンシーが確信に変わります。
このシーン、本当に胸が熱くなります!
一抹の寂しさと膨大な安堵。自分の観察眼への自己評価の向上。感謝、後悔、自己嫌悪、未来への期待。
赤木の感情が流れ込んでくるようでした。
恐らく一度でも本気でキャプテンやリーダーをやったことがある人は共感するポイントじゃないかなって思います!

私たちの立ち止まったままの夏がやっと動き出す

スラムダンク原作のラストは本当に鮮やかなものでした。
あっけない。
本当にあっけなく、あっさりと、山王戦で力を使い果たした湘北は3回戦敗北によりこの大会から去っていきました。

使われなかった雑誌用の写真1枚と数行の文章で3回戦敗退だけ伝えられるという衝撃的な終わりを迎えました。
「山王戦より面白い試合は描けないと思っていた」原作者の井上雄彦は話します。

そのあまりのあっけなさに、それ故の鮮やかな幕切れに、私たちの心はあの夏に立ち止まったままになっていたのかもしれません。
あの夏に囚われたままに。

映画『THE FIRST SLAM DUNK』ではそんな私たちに未来を見せてくれます。
その未来は、もしかすると連載当時では夢物語と捉えられていたのかもしません。
今現在、NBAで多くの日本人選手の活躍により一気に現実味のある未来となり、完璧な終わり故に、青春真っただ中だったあの夏から動けなかった私たちを、明日に、未来に運んでくれるようでした。

”あぁ、物語が動き出したんだ。。いや、現実はずっと動いていたんだ。私たちもみんなに負けないように頑張らなきゃな“

青年期が終わった自分の人生に、リアルな登場人物たちの未来を重ね合わせ胸を熱くさせました。
恐れていたモラトリアムの終焉は、想像以上にエンパワメントされる力強いものでした!

『THE NEW SLAM DUNK』

映画『THE FIRST SLAM DUNK』は原作の絵がそのまま動いているような作画やリアルな人間の動きなどの映像の技術的な新しさと、山王戦のクライマックスのプレイに繋がる作戦の立案がリョータだったことや、リョータと三井との過去からの因縁など、改変や大幅な加筆を加え物語としても新鮮なものになったことにより、
THE NEW SLAM DUNK』として古参のファンだけでなく、スラムダンクに馴染みのない方でも楽しめる映画になっているのだと思います。
この映画は新しいスラムダンクなのです。


最後にひとつだけリクエスト!
回想シーンを挟まず試合シーンだけまとめて見てみたいなー!!!



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