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ユーザーに「いくら払いますか?」と聞いていませんか?〜プロダクト価格戦略ガイド

ChatGPTによる要約

  • 価格戦略は、Product-Market Fit (PMF) を理解すること関係している

  • 顧客に与える価値を深く理解することで効果的な価格設定ができる

  • ユーザーインタビューでは、代替手段の体験をもとに価格範囲を聞き出す

  • 適正価格は市場に出して初めてわかる。価値に基づいた継続的な分析が必要

  • 定期的な価格変更は、ユーザーの行動や市場の状況を反映し、企業の競争力と収益性を維持するために重要

前提

  • 価格設定には汎用的な計算式はなく、製品、市場、ビジネス環境に応じて検討する必要がある

  • あくまでもプロダクトマネジメントの視点であり、UXリサーチや、Strategyの視点からは別の考え方もある

はじめに

はじめまして。米国のSaaS企業でプロダクトマネージャーをしています、ハヤカワです (https://twitter.com/kzkHykw1991)

プロダクトやサービスの価格を考えるに当たっては、まずプロダクト マーケット フィット (PMF) を特定して理解することが重要です。 さらに、PMFを考えるにあたっては、顧客価値、価格設定要因、ユーザーインタビューが重要です。 この記事では、適切な価格の仮説立てから市場へのリリース後の分析まで、プロダクトマネージャーが考えるべき価格設定プロセスを通じて、製品が提供する価値に合わせて価格を決定する方法を紹介します。

プロダクトの価格設定フェーズ:現在地を把握しよう

企業の価格戦略を考えるにあたっては、3つのステージがあります。

3つのプロダクトの価格設定フェーズ
  1. PMF: 市場を見つける
    解決すべき課題を見つけ、その課題を抱える人を見つけ、プロダクトがその課題を解決できる市場を見つける

  2. Grow: ビジネスモデルの策定
    安定的に利益を生むビジネスモデルを作る

  3. Scale: ビジネスの拡大
    価値と利益をスケールさせ、繰り返して成長する

私はビジネスモデルの策定やビジネスのスケールについては専門ではないので、プロダクトマネージャーの視点で「1. PMFに基づいた価格戦略プロセス」についてこの記事では解説します。

PMF(Product-Market Fit)を活用した価格戦略

効果的な価格戦略を構築するための最初のステップは、Product Market Fit(PMF)を特定することです。これは、製品を使用したいユーザーグループを見つけ、製品がその問題を解決し、十分な市場があることを確認することを意味します。さらに詳しく見ると、以下の3つのステップがあります。

  1. 市場で十分な需要があることを特定すること

  2. 製品のバリュープロポジションを創り上げる

  3. 市場でバリュープロポジションを検証する

PMFと価格戦略は密接に関連しており、どちらか一方が欠けていると、ビジネスやプロダクトの拡大が難しくなると考えられます。

ここでは、Product Market Fitそのものについては別の話題として割愛しますが、以下のツイートに簡潔なサマリーがまとめられていますので、ぜひ併せてご覧ください。

価格を決定するための具体的なステップ

さて、プロダクトが市場で価値提供し始めたら(PMFの前後)、いよいよ価格を決めるプロセスが始まります。このプロセスでは、プロダクトマネージャーは以下のステップを行います。

  1. コスト理解:コストや原価を把握し、価格決定の基準とする。

  2. 顧客の価値感の理解:顧客が感じる価値を理解し、価格設定の方向性を定める。

  3. 価格設定の要素:製品価格決定に影響する要素を定義し、正確な価格を設定する。

  4. 価格設定の目的の策定:目的や方針を明確にし、効果的な価格設定を行う。

  5. 価格の決定:上記ステップに基づき、製品価格を決定する。

プロダクトマネージャーの役割は、提供価値に基づいて「0円から∞円」の範囲から適正価格を見つけ、提案することです。

価格戦略においてプロダクトマネージャーが考えるべきフレームワーク

特に今回取り上げるのは、2.価値の理解と3.価格設定の要素です。
つまり、顧客にとって価値のある価格はなんなのか?そしてそれらは何をもって決まるのか?を考えていきます。

顧客にとっての価値を理解しよう

プロダクトの価格を考える際、まず重要なのは「顧客の視点で考えること」です。しかし、多くの人が陥る誤りが、顧客に「このサービスにいくらお金を払いますか?」と直接質問してしまうことです。会社紹介や製品資料を見せたり、プロトタイプやコンセプトを披露しながら聞いてしまいます。

あなたが質問された立場だと、どう答えるでしょうか?

  1. 相手を傷つけず、お世辞を言う。これは、どんなに「遠慮なく」と言われても無意識に行うものです。

  2. 製品は欲しくないが協力したいため、客観的に見て専門家のふりをして答える。場合によっては現実離れした発言をしてしまいます。

  3. 製品を試したいが、どれだけ欲しいか分からない。結果としてランダムな数字を言う。

  4. 人間の感情や性格によって回答が左右される。

以上の理由から、顧客に直接妥当な価格を聞くことはNGです。多くの場合失敗を誘発します。
では、どうすれば良いのか?

最適な価格を見つけるためのリサーチ方法

決して、顧客に何も質問するな、と言っているわけではありません。ただし適切な質問を見つけることが重要です。それには、まず顧客体験を深く理解しましょう。

価格決定には多くの要素が関わりますが、ここでは4つの要素に焦点を当てます。


価格を決める4つの要素
  1. 課題と需要:ユーザがどんな問題を抱えているかどうか、そしてそれはどのくらい強い需要なのか?を特定します。

  2. 代替手段へのコスト:既存の手段や競合他社に対するコストや課題解決にかかる時間を検討します。Excelで十分だから、という理由でユーザーは低い価格を求める場合もあります。

  3. リスクと損失:ユーザーが問題解決にどれくらいの費用や労力を投入できるか、そして失敗時のリスクや損失を評価します。達成しない場合のリスクや、うまくいかない時の損失を含めた期待値を特定します。

  4. サービスの価値認知度:ユーザーがサービスを通してどのくらい価値を認識するかを特定します。フリーミアムやConsumption-basedなど最初は無料で使わせて価値を認識させる場合にも重要です。

プロダクトの価格はこれら4つの要素から決まります。適切な価格は、最高値である天井価格と最低値であるベース価格の間に位置します。
(便宜上、4つの要素を左右2つに分けていますが、もちろん高コストであれば天井価格への作用をしますし、低いサービスの価値の認知度であればベース価格のベクトルに作用します。)

ここでは「課題と需要」に焦点を当てて考えていきましょう。

課題と需要から製品価格を考える

「課題と需要」を知るためには以下のことを考えましょう。

  1. あなたの顧客にとって、なぜこの製品が重要なのか?

  2. どんな問題を解決しようとしているのか?

  3. それはどれくらい価値があるものなのか?

  4. それは金額に表すといくらに相当するのか?

一般的には、Value Proposition CanvasNorth Star Metric,ジョブ理論などに基づいてプロダクトがどのような価値を提供するのかを定義します。

どれくらい価値があるものなのか?

例えば、ジョブ理論を用いた価値の定義には、以下のメリットがあります。

引用: あらためてジョブ理論の話をしよう

4つ目の成果の計測ができる、というのが今回の価格設定に役立ちます。
いくつかのジョブの定義方法がありますが、その中の一つが「アウトカムベース」の仮説定義です。

引用: あらためてジョブ理論の話をしよう

顧客がプロダクトを使って、[どのような指標]を達成しようとしているのか?を定義できます。
例えば、時間短縮やコスト削減、商談化率や解約率のようなビジネス指標で定義できる価値を見つけましょう。感情的な価値も定量的に評価できるとベストです。

ジョブ理論やNorth Star Metricによるプロダクトの最大/最小価値の定義

それは金額に表すといくらに相当するのか?

基本的にはアウトカムベースで定義した定量的な指標は、金額に変換することができます。もし、金額に直結しないもの、例えば

  • 社会的な認知を得ること

  • 信頼を得ること

  • 幸せに感じること

などの感情的・社会的な価値しか定義できない場合、ユーザーが現在どのような代替手段を利用しているかを調べましょう。
つまり、「ユーザーは何をしてその目的を達成しているのか?」を調べます。例えば、InstagramやTikTokで多くの時間を過ごす、または気分転換のためにサウナやマッサージに行くなど、同じ目的を達成するために行っている別の行動が存在します。その行動にかかるコストを参考にすることができます。

さて、これで「課題と需要」に基づいて、ユーザーに提供すべき価値を金額で換算することできました。この中でいくつかの小さな要因が作用して、適正価格に近づきます。

プロダクトの価値を決める小さな要因をもとに価格を考える

ただし、これはいわば「金額の仮説」にすぎません。次に、これを検証してみましょう。

ユーザーインタビューでの価格についての質問のポイント

適切な金額を特定するには、ユーザーとリサーチャーが深く理解し合い、サービスの問題や意見を聞いた上で、価格範囲を決定する必要があります。以下の4つの質問が役立ちます。

  1. サービスの品質に疑問を持つ最低価格はいくらですか?

  2. サービスを使用することさえ考えない最高価格はいくらですか?

  3. あまり高すぎず、購入を考えさせられる価格はいくらですか?

  4. どの価格があなたにとって理想的ですか?

記事冒頭で「いくら払いますか?」と直接聞くのは避けるべきと述べました。ここでは、あなたが今作っているサービスやコンセプトではなく、同じ課題を達成するためにユーザーがすでにとっている行動について、上記の質問をしましょう。
先ほどの例に出したInstagramやTiktok, スポーツジムやサウナ、またはコンサルティングサービスやイベントへの参加、読書や友人を使った壁打ちなど他の代替手段について聞きましょう。

これにより、課題を達成するためにユーザーが行動する最高価格と最低価格の範囲を把握し、適切な価格帯での上限と下限を導き出すことができます。

もちろん、このような直接価格を聞く質問も「顧客は未来を語らない」という規則を意識しましょう。特にUXリサーチャーが十分な課題の特定や行動原則を検証し切った上で質問しましょう。

市場に出して考える

プロダクトの価値をユーザーインタビューを通じて把握し、推定の適正価格を算出しました。ただし、実際の価格は市場投入後にしか分からないものです。最初は信頼のあるユーザーに高めの価格で提供しても、好奇心が強いアーリーアダプターや関係性のあるユーザーは利用してくれるでしょう。しかし、プロダクトが拡大すると、ユーザー層が変化し、適切な価格も変わります。
そのため、リリース後の分析が重要です。B2B SaaSでは5%の有料化率、B2Cアプリでは次の日に30%以上のユーザーが戻る率などがPMFの指標になります。さらに、North Star Metricやジョブ理論で定めた価値に基づき、適切な価格を分析しましょう。

本当の適正価格は市場に出して分析を繰り返して決める

いずれにせよ、適正価格は市場に出して初めてわかります。ただし、闇雲に価格を変えるのではなく、製品が提供する価値に基づいて考えましょう。

価格は常に変わる

これまで検討してきた価格設定は、時が経つにつれ変化すべきです。
日本の多くの企業は、価格を変えることに消極的な印象があります。アメリカではHW/SW, B2C/B2Bに限らず、Apple、Google、Amazon、Salesforce、Microsoftなどの企業は定期的に価格改定を行っています。
これは、価格がユーザーの行動に基づいて変動するためです。価格変更の際は、「プロダクトが提供する価値」に立ち戻って検討しましょう。競合が安い価格を提示したり、ユーザー数を増やしたいだけの表面的な戦略で価格を変えないように注意してください。

そのほかの要素

価格戦略にはもちろん多くの要素が作用します。例えば、

  • 企業の製品戦略、ビジネス戦略

  • 企業ブランドや認知度、マーケティング

  • パートナー企業とのアラインメント

  • マルチプロダクトの場合、ほかのプロダクトとの価格差

  • 誰からマネタイズするか?と言う観点。ユーザーだけではなくパートナーやプラットフォーマーとしてエコシステムのようなマネタイズ戦略もあります。

  • ハードウェアかソフトウェアか?B2BかB2Cか?

さいごに

製品の価格にはPMF, そしてプロダクトが提供する価値を考えることが最も重要です。決して、顧客を信じて「いくら払いますか?」とは聞かないようにしましょう。顧客の視点で価値を理解し、適切な価格範囲を決定するために適切な質問をすることが重要です。

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謝辞

この記事は以下に示す参考文献を参照しました。また、ChatGPTによる要約や解説、GlaspによるYouTube動画の文字起こしを参考しました。

参考文献


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