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線香と冬

何処かで何かが燃えている。
煙に纏われ苦しくて。
匂いだけが漂って、
逃げているのか、進むのか。
この場で蹲るのが最善か。

何処かでいつかを思い出す。
それは九歳までの冬の日で。
眠るまで一緒に居たはずの、
週に一度だけ遊んだ記憶の片隅。

繋ぎ合わせていつからか、
線でなぞった輪郭と、涙の跡。
微熱の中で泣いていた。
煙ではなく、それは線香の匂い。
私から燃え燻る諦めた匂い。

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